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TBSスパークル竹内みなみが語る、密着ドキュメンタリーの魅力

TBSでは、『バース・デイ』や、『情熱大陸』(制作は毎日放送(MBSテレビ))など、人にフォーカスしたドキュメンタリー番組を放送中です。番組では、長期密着取材を通して、仕事の醍醐味やその人自身の魅力を伝えます。カメラの向こう側には、どんな苦労やこだわりがあるのでしょうか。TBSスパークルのディレクター竹内みなみに、密着ドキュメンタリーの仕事を紐解いてもらいました。

密着ドキュメンタリーができるまで

現在、『バース・デイ』や『ガイアの夜明け』(テレビ東京)、『ザ・ノンフィクション』(フジテレビ)を担当している竹内さん。ディレクターとして、どんな仕事をしているのでしょうか?

竹内 ディレクターは、自分で企画を考え、取材し、放送まで、一貫して関わることができる役職です。まずは、自分の興味のある事柄をリサーチし、時には取材先と実際に会って話を聞きながら、企画書の形にしてテレビ局や担当プロデューサーに提案します。

採用されたら取材を開始。私がこれまで担当してきたドキュメンタリーの場合は約半年から1年近く、取材先の人と日々を共にしながら取材を進めていくので、他の番組と比べるとかなり長期のお付き合いになります。

ロケが終わったら、編集を行います。取材先に入り込んでいる自分とは対照的に、編集マンの客観的な視点も入れながら2週間以上かけて、撮り溜めた素材を「番組」の形にしていきます。その後も、さまざまな人の意見や技術を取り入れながら仕上げていきます。

特に印象深い回は?

竹内 最近担当したのはテレビ東京の『ガイアの夜明け』で、驚きの安さで何でも揃うディスカウントストア「ドン・キホーテ(以下、ドンキ)」に半年間密着しました。グループとして34年連続の最高益を記録するなど絶好調のドンキを支えているのが、オリジナルのPB商品"情熱価格"。リーズナブルな価格はもちろん、他にはないドンキらしい尖った商品が人気を呼んでいることに着目し、それを生み出すエース社員の開発舞台裏を追いました。人気の「ミックスナッツ」や「紅生姜せんべい」など彼が手掛ける商品は瞬く間にヒット。常にアンテナを張り巡らせる仕事ぶりを拝見すると、急遽中国に行くことになったり地方に行ったりと半年間だけでもフットワークの軽さに圧倒されました。

一方、この番組の主人公となったもう一人の主人公が、ドンキを1代で築き上げた安田創業会長です。テレビ初密着で、長年の悲願だった渋谷にドンキ初となる商業施設を建てる挑戦を追えたことは、とても印象に残る貴重な経験になりました。

『情熱大陸』も担当していましたね。特に記憶に残っている回は?

竹内 2021年にO.A.した、パン職人・朝倉誠二さんの回です。取材から放送まで約3カ月という「情熱大陸」としては短い撮影期間のなか、足繫くお店に通い朝倉さんに密着しました。

パン職人・朝倉誠二氏
パン職人・朝倉誠二氏

朝倉さんは、東京港区、白金・高輪の高級マンションが立ち並ぶ一角にたたずむ小さなパン屋さん「ブーランジェリーセイジアサクラ」のオーナーシェフ。この店の名物は「チーズカレー」。スイス産のグリュイエールチーズをたっぷり使った焼きカレーパンは、1日平均500個近くを売り上げるほど人気です。

しかし、ドキュメンタリー番組ではその情報以上に「人柄」を掘り下げなければなりません。取材中に気が付いたのは、朝倉さんの酵母づくりへのこだわり。当時朝倉さんは、ゆずの酵母に力を入れていました。そこで、自らゆず農家も訪ね、徹底的に研究する姿に密着。やがて朝倉さんの娘さんのお名前は“ゆず”が由来になっていることもわかり、家族や食べる人の食卓に思いを馳せた、温かい番組にすることができました。

TBSスパークル竹内みなみ

仕事でどんなときにやりがいを感じますか?

竹内 自分の頭の中で描いていた企画が、取材先での人との出会いや、プロデューサー、放送作家、編集マンなどたくさんのプロの助けを借りてブラッシュアップされ、良い形で視聴者の方に届いたときには大きなやりがいを感じます。

束の間ですが、主人公の人生をカメラを持って並走させてもらう中で、新たしい価値観に気が付いたり普遍的なテーマに出会ったり、または社会の大きなテーマが見えてきたときはそれを伝えられるように編集していきます。視聴者の方に、その内容を共有できたと感じる時は、やりがいを感じる瞬間だと思います。

現在行っている取材について教えてください。

竹内 まだ放送は先なので詳しくは言えないのですが、10月から『ザ・ノンフィクション』と『バース・デイ』でそれぞれの主人公に密着取材し始めたところです。一方は凄腕の漁師、もう一方は一般の学生。全く違った世界に生きる2人ですが、身近でその人らしさを観察し、人生をかけて挑んでいる姿を描ければと思っています。

TBSスパークルなら、若手でもすぐに現場で活躍できる

ところで、竹内さんはなぜこの仕事を志望したのでしょうか?

竹内 高校生の時に見た、インド人の少年のドキュメンタリーに感銘を受けたことがきっかけです。住む世界も環境も違う誰かのことを「映像を通じて伝える力」に興味を持ちました。その後、映像を学べる大学へ進学し、TBSビジョン(現・TBSスパークル)に入社しました。

TBSスパークルの強みは何だと思いますか?

竹内 TBSスパークルなら、年齢や実績は関係なく、チャンスがあれば入社間もない若手でも『バース・デイ』や『情熱大陸』、『ガイアの夜明け』などいろいろなドキュメンタリー番組の制作に参加することができます。

例えば『情熱大陸』なら、他の制作会社では、ベテランのディレクターが手掛けるケースが多い中、若手がチャレンジできることはTBSスパークルならではの大きな強みだと思います。

就活生へのメッセージをお願いします。

竹内 「あんな人に話を聞いてみたい」「こんなすごい人に一度は会ってみたい」「素晴らしい場所を人生に一度は訪れたい」などなど、それを番組にすることで実現できてしまうのがテレビという仕事のおもしろさだと思います。さらに、それらの魅力を視聴者に伝え、共有できる面白さがあると思うので、そんな好奇心を持った方にはぜひ挑戦してほしいです。一緒にいろいろな経験をしましょう!

TBSスパークル竹内みなみ

竹内みなみ

2013年 現・TBSスパークル入社。TBSのドキュメンタリー「夢の扉+」サブディレクター。
2018年 特番「テレビ史を揺るがせた100の重大ニュース」でディレクターに。毎日放送「情熱大陸」にて、プラネタリウム・クリエーター大平貴之氏の企画提案・ディレクターを担当。2023年 フジテレビ「ザ・ノンフィクション~山奥ニートの結婚」で第38回ATP賞テレビグランプリ・最優秀新人賞。現在はテレビ東京「ガイアの夜明け」、MBS「情熱大陸」などを担当。

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