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若き才能がクロスする!TBS初の学生クリエイター主催イベント「Build x」の裏側

TBSは3月9日、東京・赤坂のTHE HEXAGON9階にある「Tech Design X(テックデザインクロス)」にて、「Build x(ビルドエックス)」を開催しました。イベントでは、学生を中心としたクリエイターがアート作品からオーディオビジュアル(音と映像が融合したライブパフォーマンス)までさまざまな表現を披露。その合間に意見交換をする時間を設け、参加者同士の交流を深めていきました。

このイベントの企画・運営を担当したのは、現役大学生のun1qさん、白井雅也さん、髙橋美帆さんの3人です。どんな思いで開催に至ったのか、当日の様子や今後の展望も含め、イベント運営のサポートを手掛けた蓑毛雄吾とともに話を聞きました。

主催者は昨年秋の「Tech Design Camp」で出会った3人

まずは、「Build x」を企画した経緯を教えてください。

un1q 昨年秋に開催された学生のハッカソンイベント「Tech Design Camp」に参加したのがきっかけです。我々3人はそのイベントで出会い、Tech Design Xの設備を使ったイベントをやりたいねという話をして、このイベントを企画しました。

髙橋 「Build x」というイベント名は、Tech Design Xを使って交流を生もうという思いと、異なる分野のバックグラウンドを持った人と新しいコンテンツを作ろうという、2つの目的のX(クロス)をつくる、といった意味合いを含めて考えました。

白井 「Tech Design Camp」を経て、同世代で何かを作ったり交流したりする機会があってもいいんじゃないかと強く感じました。学内や個々のコミュニティではなく、もっと流動性のある関わり方ができる場所があってもいいと思うんです。いろいろなバックグラウンドを持つ人たちが、この場所で出会い(x(クロス)する)、新しい何かを作り出す(Buildする)というサイクルを作り出す可能性があるんじゃないかと思い企画しました。

蓑毛 我々も「Tech Design Campをきっかけに何か新しいコラボレーションに繋がればいいな」と思っていましたので、企画をいただいた時は非常に嬉しかったです。「Build x」というイベント名も秀逸で、初めて聞いた時にとても良いネーミングだと感じたことを覚えています。

初めて企画・運営した学外イベントとのことですが、準備段階でどんなところに苦労しましたか?

un1q 出演者を集めることに難航した記憶があります。髙橋さんと白井くんが同じ学校ということで、先輩などのつながりがあり、そこで人を集めてくれました。

白井 まずは「Tech Design Camp」に参加した方々に声をかけました。それ以外にも、SFC(慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス)の先輩に紹介してもらい、メディアアートやオーディオビジュアルパフォーマンスをやられている方々が所属する他大学のコミュニティにも声をかけました。

髙橋 出演者の数は、先にパフォーマンス一枠にどれくらい時間を用意するのか考えてから決めていきました。私と白井くんはSFCに通っているのですが、テック分野に興味を持つ学生はいるものの、高額な機材や広さのある場所を用意する難しさから、パフォーマンスを実際にやるハードルはとても高いと感じます。やりたいのにできないジレンマを感じていた人が周りにもいたので、TBS Tech Design Labの皆さんのご厚意でここを自由に使うことができてとても感謝しています。

アクトの合間に歓談タイムを設け、他にはない形のイベントに

イベントではさまざまな技術を用いたテクニカルパフォーマンスが披露されたそうですが、具体的にどのような内容でしたか?

un1q リアルタイムで音を生成し、その音を元に映像を作る人がいたり、TouchDesignerやUnreal Engineを使用して3DCGやカメラにエフェクトをつけて映像を映す人がいたり、Tech Design Xの照明をリアルタイムに動かす人がいたりとさまざまなパフォーマンスが見られました。ショーやライブに近いイベントだったと思います。

髙橋 出演者は11人、ユニットで参加してる人もいたので、パフォーマンスを披露したのは6組でした。中には自分がやっている研究のデモ発表に近いことをしていた方もいました。企画段階からTech Design Xを使った新しい遊び方を提案できたらいいなと思っていたので、オーディオビジュアル以外のパフォーマンスをしてくれた方がいたのは個人的にすごく嬉しかったです。

白井 自分はVJとして出演し、自然の力強さと退廃美をテーマに環境音とLiDARを用いてスキャンした廃墟の映像を用いて表現しました。同じ大学の友人にDJを頼んだのですが、お互い初めてだったこともあり、当日はバタバタしてしまいました。どれぐらいの秒数で、どこでどういう音の転換があるかなどちゃんと話し合っておけばよかったです。

反省は残りつつも、「とりあえずやってみる」という機会を与えてくださり非常に感謝しております。商業とは切り離された場所だからこそ、実験的なことや未経験なことに挑戦できるイベントになり得ると感じました。

蓑毛 皆さんの発言と重複しますが、実験的な表現から本格的なオーディオビジュアルまで、パフォーマンスの幅が広かったのが非常に良かったです。さまざまな表現にチャレンジしてくれるからこそ、ラボスペースという側面を持つTech Design Xで行う意味があると感じました。

運営目線で当日を振り返るといかがでしたか?

un1q 出演者の中には実装慣れしていない人もいたので、時間が狂ってしまう部分もありました。大人の管理下で動くのではなく、自分たちでタイムスケジュールを組んだりと初めてのことが多かったので、当日の運営力をもう少しつけなきゃいけないなと思っています。

一方でパフォーマンスの間には歓談タイムを設け、参加者同士で「ここをもっとこうしたらおもしろくなりそう」といった意見交換をするなど、交流を深めることができたのはよかったと思います。

髙橋 それぞれやりたいことがあった上で3人が運営をしている形なので、どうしても抜けがあった部分はありましたが、TBS Tech Design Labの皆さんのおかげもあり、初回にしてはとてもいいイベントになりました。我々3人にとっては、自分のやりたいことと運営のやるべきことを両方やる、という挑戦も良い経験になりました。休日にも関わらずお力添えいただいたこと、とても感謝しています。

また、クラブイベントは開始時間が夜遅かったり、1人で行くには心細いという不安を個人的には感じてしまうのですが、Build xは夕方から開始し、交流できるように意見交換する時間を設けたので、参加のハードルを下げた他にはない形のイベントだったかなと思います。

白井 このイベントは同世代とのつながりを目的に始めましたが、違う世代の方もお越しくださっていたのですごく嬉しかったです。憶測ではありますが、オーディオビジュアルは他の分野と比べてやっている人口が少ないジャンルだと思うので、こういった交流ができる機会は絶対にあった方がいいと思います。

Tech Design Xはアウトプットとスキルアップを両立できる場所

今回は学生の皆さんとTech Design Xをつなげてもらった初めてのイベントです。学生クリエイターの目線として、Tech Design Xを使ってみていかがでしたか?

un1q 前提として、テレビ局の設備なので、一般的な学生が使うものとは次元が違います。例えば、大学では小さめのプロジェクターを使って何かを作ることが多く、規模が大きいものを作りたいとなるとどうしても企業さんのお力が必要になるので、学生からすると「こんな良い設備をこねくり回していいんですか!?」という気持ちが大きいです。

特に印象的だったのは、立面と床面にLEDがあることです。こういったLEDに触れる機会は学生はもちろん、専門的なところに就職しない限り社会人になってもなかなかないと思います。ビジュアルアーティストや我々のようなVJ、照明やレーザーのような明るい光を用いた演出をやりたい人は、プロジェクターよりLEDに触りたい人が圧倒的に多く、LEDを活用できる機会をみんな必死で探しているんです。「Build x」や「Tech Design Camp」を通じて、アウトプットしながら自分のスキルアップにもつながったので、学生にとって非常にありがたく感じています。

髙橋 「Tech Design Camp」の参加者もみんなそう言っていました。普通では考えられないほど貴重な設備を存分に使わせていただけるので、これまで自分の力では実現できず、諦めざるを得なかったことが叶うすごくありがたい環境です。

また、パソコンで作ったものが実空間でどう作用するのか、普通は本番環境にならないとわかりませんが、ここでは何ができるか探しながら作っていけるので、作りながら学べる場所としてすごく機能していると思います。

白井 大学はあくまでも研究をする場なので、アウトプットよりも研究がメインなところが多いという気がしていて、研究の材料になるような小規模なものにとどまってしまいますが、Tech Design Xなら大きな規模で何かを作ることができるので、すごく良い場所だと思います。

また、クラブは音や映像を楽しむ場所がほとんどだと思いますが、ここは”空間”として作品を楽しめる場所です。そこにも魅力を感じています。

次回のBuild xに向けて、今後の展望を教えてください。

un1q 今回初めてイベントを開催し、どこまでが自分たちの力でできて、どこからがTBS Tech Design Labの皆さんの力をお借りする必要があるのか、なんとなくわかったので、次回は演者さんをどこまでサポートをするか見定めながらやっていきたいと思います。今後は例えば歌う人を呼んでライブっぽいことをしたり、VRやXRみたいなことをしたりとイベントの幅を広げていきたいです。個人的にはVJの映像をちゃんと作り、照明の制御を同時にできたらいいなと思います。

白井 今回は演者としてVJを行ったので、次回はこれをブラッシュアップしつつ、ここの照明システムを作ってみたいと思っています。光り方を音と同期させたりVJの映像から色を自動的に拾って照明の色として使用したりするなど、いろいろなことができそうです。Build xはさまざまなことに関心のある学生同士が交流したり、挑戦的に新しいものを作ったりすることができます。そのため、自分が今行っている研究や活動を多角的な視点で捉え直したり、興味分野が広がったりするきっかけになると思うので、次回もぜひ開催したいです。

髙橋 自分はステージに立つよりも、裏方として動くほうが気持ちがよいのですが、Tech Design Xの照明は一般的なステージ照明とは全く異なるものなので、どう活かしたらこの空間がおもしろくなるのかすごく興味があります。その一環として、ここにいなくても照明のシミュレーションができるシステムや、今回のようなイベントで演者の表現を助けるためのツールを作るなど、実験的なことをしたいです。結果的にTBS Tech Design Labの皆さんの負担の軽減や、パフォーマンスの可能性を広げられるといいなと思います。

蓑毛 我々としましても、初めてこうしたイベントをTech Design Xで開催して大変勉強になりましたし、なにより一人の観客としてとてもおもしろいイベントでした。重要なのは継続的に開催していくことだと思いますので、そのために精一杯サポートしていきたいと思います。

本記事で取り扱った「Build x」および「Tech Design Camp」につきまして、5月24日(金)開催の 「Tech Design 2024」内でも紹介いたします。

「Tech Design 2024」はTBSの未来を担うR&D集団「TBS Tech Design Lab」による、新規開発コンテンツや番組演出、イベント活用のタネを提供するイベント。

今年は『miX』 をテーマに、TBSが学生・企業とさまざまな分野で共創した事例を
裏側とともに紹介する予定です。 17時からのオープニングは最新のXR演出でお届けしますのでお見逃しなく!

◆ 「Tech Design 2024」概要 
開催日時: 5月24日(金)  17:00~19:00
配信特設サイト: https://techdesignlab.net/techdesign2024/
※事前登録不要、途中入退室自由 
※当日、開始時刻の10分前から上記URL内に入室画面が表示されます。

蓑毛雄吾 
2023年TBSテレビにキャリア入社。Tech Design Xの設備構築・運用を中心としたR&D業務に従事。同時に、これまでのキャリアを活かし、放送技術・映像技術と最新クリエイティブ技術の接点を模索している。映像情報メディア学会や日本映画テレビ技術協会等の放送技術関係の受賞に加え、近年では文化庁メディア芸術祭・Asia Digital Art Award・やまなしメディア芸術アワード等のアート関係での受賞も多数。

un1q
多摩美術大学情報デザインコースメディア芸術コースに在籍。レーザーインスタレーションやライブ映像などを制作している。池袋アートギャザリング IAG AWARDS 2022入選。

白井雅也
慶應義塾大学環境情報学部に在籍。インタラクション2024でデモ発表を行うなどHCI研究の観点から空間や人の身体性について模索するかたわら、廃墟のような曖昧で退廃的なものの美しさについて神経美学の観点から研究している。

髙橋美帆
慶應義塾大学環境情報学部に在籍。中高生時代に広尾学園ICTルームにて学内FabSpaceの運営や舞台照明を使った演出などに携わる。現在は慶應SFC田中浩也研究室に所属し、ものや空間、人と人など何かをつくることに対して関心を持ち続け制作・研究している。

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