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TBS初のイノベーションスペースが本格始動!テック×デザインを高め合う「Tech Design X」の裏側

TBSは、グループを通じて初となるイノベーションスペース「Tech Design X(テックデザインクロス)」を、東京・赤坂のTHE HEXAGON9階にオープンしました。今後はここからTBSのR&Dを促進していく予定です。

Tech Design Xが作られた経緯や内装デザインのこだわりについて、メディアテクノロジー局未来技術設計部の藤本剛とデザインセンターの王怡文に聞きました。

有志のR&D集団・TBS Tech Design Labを中心に構想された

Tech Design Xが作られた経緯は?

藤本 TBSは2030年に向けてグローバルコンテンツカンパニーになることを目指しているのですが、良いコンテンツを作るには、テクノロジーとデザインの双方を向上させていくことが求められています。そのための有志団体として、2018年にTBS Tech Design Lab(テックデザインラボ)が作られ、ラボのメンバーが活動する場所を作ろうというところからプロジェクトが始まりました。

TBS Tech Design Labはどんな団体ですか?

藤本 TBS Tech Design LabはTBSグループを横断して、テックやデザインに興味がある人が所属する団体です。会社の正式な組織ではなく、あくまでも有志で集まっています。これまでソニーさんと共同でボリュメトリックキャプチャの実験を行ったり、現地の光景をスタジオに再現するXRステージを開発したりとさまざまな活動をしてきました。ラボのグループチャットには約170人が参加していて、コアメンバーで週に一度定例会を行っています。

TBS Tech Design Labの活動は、本業と両立させながらやっているんですか?普段の業務内容を教えてください。

藤本 そうです。それぞれ抱えてる仕事は多種多様で番組やイベント制作、事業など様々です。僕は普段、未来技術設計部に所属していて先進技術の開拓をしています。テックデザインラボを運営する管轄部署でもあるので、これも大きな仕事です。

 私はデザインセンターに所属し、ドラマのキービジュアルやキャラクターのデザインを担当しているほか、コンテンツ利益最大化ワーキンググループで、ドラマにおける、IPを用いた施策の企画から実施までやっています。最近では、ドラマ『ラストマンー全盲の捜査官ー』のゲーム化企画「ラストマン Your Story」の提案に関わりました。

王怡文

本業に活かされているのはどんな点ですか?

藤本 ラボにはいろいろな人がいるので、それぞれがやったことや得た情報が共有されるのが一番大きいですね。同じ建物で働いているものの、何をやっているのかは意外と知らなかったので、それがわかるようになったのはすごいと思います。

 ラボのメンバーからは自分では出せないアイディアが返ってきたり、「最近こういう会社と知り合ったからよかったらつなげるよ」と言ってもらえたりするので、できることの幅が広がったと思います。普段の業務をしているだけでは関わられない人たちが多いし、悩みがあったら気軽に話せるので楽しいです。

左から:王怡文、藤本剛

イノベーションの木を中心に、こだわりが詰まった空間

Tech Design Xのデザインは王さんが担当されました。どんな点にこだわりましたか?

 できるだけコミュニケーションが起きやすい場所にしたいと思ったので、壁をなくして部屋の中央にミーティングスペースを作りました。普通、会議室といえば壁で囲われているものを想像すると思いますが、壁をなくすことで通りかかった人が覗けるし、自然と誰かの作業が見えたり聞こえたりするので、和気藹々と作業できます。

木があるのはなぜですか?

 この木は「イノベーションの木」と呼んでいます。ここに来る人たちがそれぞれアイディアや意見、思想、夢などの種を持ってきて、その人たちの種がこの木の周りに植えられて育っていくという願いを込めています。一本一本は細い木ですが、寄せ集まって大木に育っていくイメージで、この部屋のシンボルとなっています。

藤本 ここは構造上どうしても柱にせざるをえませんでした。何か素敵なものがないか考えていた時に、「木は育っていくから、イノベーションの種でイノベーションの木が育つというコンセプトにしよう」という話が出て、盛り上がって決めました。みんなで考えたり定義したり、やってみてダメだったら引くし、うまくいきそうなら盛り上げていく。これはTBS Tech Design Labでの活動も同じです。

イノベーションの木
イノベーションの木

場所ごとに名称があるそうですね。

 イノベーションの木があるスペースは「常夏の窓際ベイベー」というフルネームで、略して「常夏」と呼んでいます。窓際で光も入るので、リゾート気分を味わえます。

また、3Dプリンターや工具が置いてあるスペースは、籠って何かを集中して作業するイメージがあるので「アナグマ」という名前になりました。

アナグマ
アナグマ

藤本 機材室は、機材室って名前をつけるとちょっと堅くて、「『常夏の窓際ベイベー』とか言ってるのに違うな」と思ったので、アジトにしました。ちょっと子どもっぽいイメージが素敵だねということで、みんなで決めました。

アジト(機材室)
アジト(機材室)

Tech Design Xの今後の展望は?

藤本 TBS Tech Design Labでの活動が軌道に乗ってきたと思うので、今後は社外との交流を増やしていきたいです。例えば、これまでもWOWOWさんやソニーさんとコラボしていたので、今後もTBSグループと他の企業やクリエイティブ集団とで交流し、その場がここであってほしいと思います。

藤本剛

TBSのテックとデザインを高める、新しい才能に期待

そもそも藤本さんと王さんは、なぜTBSに入ろうと思ったんですか?

藤本 僕は学生時代から自主映画やコンテンツ制作をしていて、国内でコンテンツを作る量や質、いわゆる総合的なエンタメ力が一番高いのは、テレビ局だと思ったからです。テレビ番組を作りたいというよりも、コンテンツ力とコンテンツを作る人たちの能力の高さに憧れて応募しました。

特にTBSは当時からコンテンツの作り方も最先端で、他局とは違うと感じていました。例えば、映画『ピンポン』はCGと実写の両方を使って作られており、今では当たり前ですが、僕が入社した2005年は日本では最先端でした。新しい方法でコンテンツを作りたいと思っていたので、すごく魅力を感じました。

 私はTBSの就職説明会で見た社員さんたちが楽しそうだったのがきっかけです。いろいろな年次の人が仲良く話していて、自分の考えを発言できる環境はものづくりに良い影響があると感じました。

実際に働いてみて、どんなところにTBSの魅力を感じますか?

 いろいろな業務に関わることができるところです。私は入社当初、ドラマの美術デザインを担当していましたが、Tech Design Xの空間デザインをしたり、ドラマのキービジュアルをやらせてもらったり、最近ではTech  Design Labのメンバーと3Dプリンターでキャラクターを制作してみたりといろいろなことをしています。

TBSはやりたいことを何でもやらせてくれて、それを後押ししてくれる環境があるので、入ってよかったと思います。

TBSを志望する就活生にアドバイスをお願いします。

藤本 TBSは今、いろいろな才能を求めているので、自分の才能を最大限アピールしてほしいと思います。Tech Design Xは、それぞれの個性を交えて遊んで議論することができる場所なので、ぜひ皆さんの才能を持ってきてください。

 何か一つでいいので、自信を持って「好き」または「得意」だと言えることを見つけておくと良いと思います。そのためには自分とちゃんと向き合って、理解しておくことが大事です。これからの皆さんとの出会いが楽しみです。

左から:王怡文、藤本剛


藤本剛

慶應義塾大学メディアデザイン学科修了。2005年TBSテレビに入社。番組のオープニングCGアニメーション、スタジオ技術構築、テクニカルディレクターを担当。映画「Rookies -卒業-」のCGテクニカルディレクターを務める。CDTV、オールスター感謝祭など多くの番組制作に関わったあと、現在は新しいテクノロジーの開発、及びコンテンツ活用や事業化を目指した活動に従事。リモート出演システム「TBS BELL」で、日本映画テレビ技術協会技術開発賞、日本民間放送連盟賞 技術部門優秀賞。現地の光景をスタジオに再現する「XRスタジオ」で日本民間放送連盟賞 技術部門優秀賞、第28回AMDアワード優秀賞を受賞。

王怡文

東京藝術大学美術研究科修了。2018年TBSテレビに入社。日曜劇場「半沢直樹」、金曜ドラマ「リコカツ」日曜劇場「DCU」等の美術デザインを担当したあと、現在はドラマにおけるIPを用いた施策の企画から実施や、番組のキービジュアル、キャラクターのデザイン等のグラフィックデザイン、Tech Design Xの空間デザインを担当。

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