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『Nスタ』『ひるおび』制作現場の効率化に貢献!TBSグロウディアのエンジニアが語る、テレビで使われるシステム開発秘話

TBSでは、生成AIをはじめとする多様なテクノロジーを駆使した業務改善が精力的に進められています。 現場で以前から親しまれている文字起こしエディタ「もじこ」といったアプリに加え、2026年からは映像・音声AI解析アプリ「Uzit(ユージット)」の本格的な運用が開始されました。 これにより、『Nスタ』『ひるおび』など番組制作の現場における業務効率化はさらなる加速を見せています。

こうしたシステム開発に携わっているのが、TBSグロウディアのIT事業本部です。開発の裏話や、テレビ業界のエンジニアとして働く魅力について、同部署でエンジニアとして活躍する、明日大喜(ぬくい・ひろき)に話を聞きました。

Uzitはエンジニア一人体制で挑んだ、初の大規模サービス

明日さんが所属するTBSグロウディアのIT事業本部 フロントデザイン部とは、どんな部署でしょうか。

明日 2026年4月に発足した、システムエンジニアとデザイナーが所属する部署です。これまでは開発部の中にフロントエンドエンジニアリングチーム、クリエイティブデザインチーム、システムエンジニアチーム、システムソリューションチームの4つのチームに分かれていましたが、そこからフロントエンジニアリングチームと、クリエイティブデザインチームが統合しました。兼務を含めて18人ほど所属しており、男女比は4対1ほどです。

明日さんは、どんな業務をしていますか?

明日 メインの業務はシステム開発です。TBSにはさまざまなシステムが存在しますが、私は映像・音声 AI解析アプリ「Uzit(ユージット)」やTBSが独自開発する双方向配信アプリ「Kustamie(カスタミー)」、文字起こしエディタ 「もじこ」などの開発に携わってきました。

最近はクライアントと開発スタート時の要件定義や、開発メンバーのマネジメントなども担当しています。

では、それらのシステムについてうかがいます。まずはUzitについて教えてください。

明日 Uzitは「Geminiを活用した収録等素材のアーカイブ・メタ付け管理の業務改善」を目的に、TBSテレビのメディアテクノロジー局と共同で始まったプロジェクトです。

これまでは人の手作業で映像に関するメタデータ(※データに関する説明や付帯情報)を作っていましたが、映像内容のテキスト化やテロップ情報の抽出、音声の文字起こしを自動で行い、映像のタイムスタンプに紐づいたメタデータの作成を実現しました。これらのメタデータは映像の検索に活用され、アーカイブ映像の有効活用に貢献しています。

例えば、従来は約3時間かかっていた1時間のインタビューの素材起こし時間は、約30分に短縮。また、外国語の翻訳では、最初にUzitに翻訳させ、そのデータを元に通訳が作業することで作業時間と費用が削減されました。

開発期間はどれくらいですか?

明日 2024年夏から2年弱です。2024年度にPoC(※新しいアイデアやコンセプトが実現可能か、想定した効果が得られるか検証するプロセス)を行い、一定の成果を得られたので、2025年度から現在まで本開発を続けています。

苦労したところは?

明日 弊社側の開発メンバーは、エンジニアの私を含め、デザイナー、プロジェクトマネージャー、営業担当が各1人の計4人です。実は、私はUzitのような大規模サービスを一人でゼロから作ることは初めてでした。もじこなどの開発で、ある程度は知見やノウハウを得てきましたが、ゼロからのスタートだったので、基礎から勉強をし直しました。

とにかくコードを書いて動かしてみて、動かなければ調査して修正する、トライアルアンドエラーをひたすら繰り返しました。試行錯誤の連続でしたが、弊社のエンジニアはこうした手法をとる人が多い気がします。先輩にもたくさん相談にのってもらいましたね。

実はもじこも、立ち上げ時はエンジニア2人、デザイナー1人で担当していたため、少数で担当することが多いかもしれません。規模によっては、エンジニア4人体制のものもあります。

文字起こしアプリ「もじこ」とは、どのような違いがあるのでしょうか。

明日 もじこで使用する一般的な音声認識サービスは、音声を忠実に文字起こししますが、UzitはGeminiによって映像の内容まで理解するので、話者が複数いた場合にそれぞれが話した内容を捉え、背景を含めた上で文字起こしできるところが強みです。例えば、インタビュアーの発言と、回答者の発言を分けて表示してくれます。

現場からの反響はいかがですか?

明日 『Nスタ」『ひるおび』など報道や情報番組で使われています。「空いた時間で他の作業ができた」「早く帰れるようになった」という声が多数寄せられたそうで、Uzit制作現場導入チームは、TBSテレビの情報制作局内で表彰していただきました。

現在も精度向上や新機能追加、UI・UX(※)改善などの開発を進めている真っ最中で、2026年中に大型アップデートを予定しています。

※UI(ユーザーインターフェース)は、ユーザーとサービス・製品との接点、UX(ユーザーエクスペリエンス)は、ユーザーがサービスや製品の使用で得られる体験のこと。

TBSグロウディア明日大喜

次に、Kustamieについて教えてください。

明日 KustamieはTBS独自の動画配信プラットフォームです。従来のテレビ番組や配信は、基本的に送られてくる映像を視聴者が見る一方通行のサービスですが、Kustamieは番組出演者と視聴者をつなげたり、視聴者同士でつながったり、双方向かつインタラクティブな視聴体験を可能にする動画配信プラットフォームを目指して開発されました。

例えば、配信視聴者が配信映像を見ながら自身のスマホでゲームに参加し、その様子が配信画面に映像として流れてくるような仕組みです。視聴者も一緒になって番組を作っていくような、新しい視聴体験を提供したいという思いを込めています。

どんな番組で使われているのでしょうか。

明日 『ラヴィット!忘年会'25』です。2025年は、番組初の“参加できる”生配信イベント施策を行うことになり、配信プラットフォームとして採用されました。

現在は、TBSのイベントや社内研修の配信などで使われることが多いそうです。

明日さんは、どのような立場で携わっていますか?

明日 エンジニアとして、開発支援に携わっています。弊社からは若手エンジニアと私の2人が参加しており、主にフロントエンド(※ユーザーの目に直接触れる部分)を担当しています。試作や統括を行っているのは、TBSテレビの方です。

苦労した点は?

明日 Kustamieはスマホユーザーをメインターゲットにしていますが、私自身、一般ユーザーを対象としたスマホ向けのシステムやサービスを展開した経験がなく、いざ試してみるとうまく動かない機種もありました。どの端末でも正常に動作することを担保し、動かなければその理由を見つけて解決することにはとても苦労しました。

※Kustamieの詳細はこちら

ユーザーファーストの精神を叩き込まれた、もじこの開発

続いて、もじこについて教えてください。

明日 もじこはTBSをはじめJNN 系列局でも利用されている、文字起こしエディタです。

AIリアルタイム字幕生成システムの「もじぱ」などを含め、「もじ家」と称したビッグプロジェクトであり、私が現在の部署に異動してからまもなく携わりました。エンジニアになるきっかけとなったアプリと言っても過言ではありません。

どのような思い出がありますか?

明日 新卒で入社後、データ放送コンテンツを作る部署に配属され、それから現在の部署に異動しました。まもなく担当したのが、ビッグプロジェクトのもじこで、先輩と一緒にコードを書きながら取り組んだ経験は、とても勉強になりました。

また、もじこプロジェクトのリーダーのTBSテレビの方は、ユーザーファーストを強く意識されている方でした。ボタンの位置や大きさなど細かなところまでユーザー視点で考えて作り込まれています。

これを機に、「依頼されたものを単純に作るだけではダメなんだ」と実感して、大きな刺激を受けました。現在もユーザーファーストを常に意識しながら業務に取り組んでいます。

「もじこ」シリーズには、現在も携わっていますか?

明日 現在は少し立ち位置が変わり、開発リーダー的な役割で携わっています。これまでは自分も手を動かして開発したいと思っていましたが、作るメンバーをサポートすることも、また違った魅力があると気付きました。

難易度の高いアップデート後、正常に動作したときにとても喜ぶメンバーの姿を見て、見守りサポートすることの大切さも感じました。昔の自分を見ているような気分になり、新たなモチベーションになっています。

TBSグロウディア明日大喜

就活生向け仕事体験の立ち上げにも貢献!採用活動も積極的参加

明日さんはTBSグロウディアの採用活動にも関わっているそうですね。

明日 はい。数年前に弊社のIT部門の「仕事体験」を立ち上げた頃から携わっています。

仕事体験では、一日を通して弊社ITエンジニア職の業務の一部を体験することができます。2025年までは「ハイブリッドキャスト(※)をみんなで作ってみよう」という課題でした。社会人になってからは学生さんと接する機会がなかなかないので、とても良い刺激を受けます。

ありがたいことに、仕事体験をきっかけに入社してくれた社員もいます。ある後輩は「明日さんに憧れて入社しました」と言ってくれました。会社として良い取り組みになっていると感じます。

2026年は、従来のハイブリッドキャスト体験から、より身近なWebアプリ開発へと体験内容が進化しています。全3回開催予定ですので、「メディア×エンジニア」の仕事に少しでも興味がある方はぜひご参加ください!

【2026年 1day仕事体験&交流会 日程】詳細はこちら
①7月31日(金)…募集期間:7月3日(金)午前10時まで
②8月26日(水)…募集期間:7月30日(木)午前10時まで
③9月10日(木)…募集期間:8月10日(月)午前10時まで

※ハイブリッドキャスト:テレビの放送とインターネット通信を連携させ、画面上にさまざまな情報を同時に表示できるテレビサービスのこと

TBSグロウディアでエンジニアとして働く魅力は何でしょうか。

明日 弊社はTBSテレビと関係性が近く、データ放送などメディアに密に関わるサービスを開発できることが強みです。他のIT企業とは少し違うかもしれません。エンタメが好きで、なおかつ新しいものや技術が好きな方にはぴったりだと思います。

部署の雰囲気はいかがですか?

明日 株式会社トマデジ(※TBSグロウディアの前身企業)の時から現在まで、変わらずアットホームな印象があります。オフィスでは、談笑の声が聞こえてくることも多いです。聞いているとニッチな技術の話で盛り上がっているときもあり、とても面白いです。

以前、開発に行き詰まってデスクで悩んでいたら、上司から「こんなバグ見たことない!」と嬉しそうに声をかけられたことがあって(笑)。この仕事を始める前は、エンジニアは一人で黙々と作業するイメージがあったので、良い意味でギャップがありました。

上下の隔たりを感じさせないフラットな接し方をしてくれる先輩ばかりなので、非常に和やかな雰囲気です。

ちなみに、明日さんが就職活動のときにしておいてよかったことは何でしょうか。

明日 大学ではエントリーシートの書き方や面接の練習などの講義がスポットで開催されていましたが、自分らしさが損なわれてしまうような気がして、あえて参加しませんでした。

株式会社トマデジの面接では、以前かかった病気の話までしてしまいました。最終面接が終わったときは「ここまで正直に話してくる学生は初めて」と言われたほど(笑)。それがよかったのかどうかはわかりませんが、結果的に自分らしさを伝えることができたのかもしれません。

TBSグロウディア明日大喜

将来はグロウディア発案のシステム開発を目指す

ところで、明日さんはどんな経緯でTBSグロウディアに入社されましたか?

明日 TBSドラマ『SPEC~警視庁公安部公安第五課 未詳事件特別対策係事件簿~』(2010年)の大ファンということもあり、漠然と「TBSテレビ(JNN系列)で働きたい!」と思って就職活動を始めました。最初は番組制作を志望していましたが、業界研究をしているうちに「ハイブリッドキャスト」を知りました。

ハイブリッドキャストは、放送とインターネットを融合させた次世代のテレビサービスです。テレビでサッカーの試合を見ていたら、画面上に選手が走った距離や得点、フォーメーションなどの細かな情報が表示されたんです。その「近未来感」に衝撃を受け、未来のテレビの技術を扱う仕事をしたいと方向転換しました。

高校、大学と工業系の勉強をしていたため、技術にはもともと関心が高く、トマデジに入社を決めました。

入社後は、どのようなキャリアを歩んでこられたのでしょうか。

明日 まずは研修です。当時はエンジニア、デザイナー、データ放送を作る部署の3つに分かれており、それぞれ1か月ずつ回って業務内容を学びました。

その後、最初に配属されたのは、データ放送コンテンツを作る部署です。ここでは『オールスター感謝祭』や野球中継で使用するコンテンツを扱い、日々たくさんのコンテンツを作りました。

この業務は、少しのミスでも放送事故につながってしまいます。学生時代にプログラミングの勉強をしていたので、少し知識はありましたが、実際に放送されて視聴者に触れてもらうようなプログラムを作ることは当然初めてです。正常に動くプログラムを作るため、約20種類のさまざまなメーカーのテレビを使ってテストを行い、徹底的にチェックをして品質を担保することを学びました。

この部署には約3年所属し、その後は現在までシステムエンジニアとして働いています。

印象に残っている番組は?

明日 『珍種目No.1は誰だ!?ピラミッド・ダービー』のコンテンツ作りは、とても興味深いものでした。クイズ系の番組で、スタジオ出演者は対決の勝敗を予想して、手持ちのコインをベットする仕組みです。スタジオの出演者がコインをベットするときの効果音が馬の鳴き声だったのですが、視聴者もデータ放送で参加する際、ボタンを押すとその鳴き声が聞こえるような仕組みにしました。細部までこだわりを持って作ることができたのは、とても面白かったです。

当時はオンエアの度にSNSで反響を確認していましたが、楽しんでくださっている方もいらっしゃったようで、手ごたえがありましたね。

今後の展望をお聞かせください。

明日 普段はTBSテレビから依頼されたものを形にしたり、共同でプロジェクトを進めることが中心ですので、自社として自発的に発信できるプロダクトを検討して生み出していくことに挑戦したいと考えています。企画から開発、そしてサービス展開までをすべて自分たちの手で手がける。そんな「グロウディア発」と言えるような新しいサービスを、チームで形にしていきたいです。

最後に、TBSグロウディアのIT事業本部を目指す就活生に向けて、メッセージをお願いします。

明日 エンジニアとして必要なスキルは、何事にも前向きで前のめりに取り組む姿勢だと考えています。プログラムを書く技術も必要ではありますが、クライアントの意見を聞きながらものづくりを進めるので、相手と同じ立場で考えつつ、「こうしたらもっと良くなりそう」と先を読んで考えられる方を、個人的には重要視しています。

新卒採用の場合は入社の時点での技術的なスキルは求めていません。実際に、システムソリューションチームのチームリーダーは文系出身ですが、現在はエンジニアとして活躍しています。

それと、私は工業系の出身ですが、学生時代に学んだことが役に立ったのはほんの一握りです。学校で学んだプログラミングと、製品として実務で取り組むプログラミングは全く違うものだと痛感しました。経験は問わないので、テレビやエンタメが好きな方、ぜひお待ちしています!

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TBSグロウディア明日大喜

明日大喜
2015年株式会社トマデジ(現TBSグロウディア)入社。データ放送コンテンツの制作を経験し、IT事業本部 フロントデザイン部へ異動。現在は映像・音声 AI解析アプリ「Uzit(ユージット)」やTBSが独自開発する双方向配信アプリ「Kustamie(カスタミー)」、文字起こしエディタ 「もじこ」などの開発に携わっている。

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