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美顔器が1億2000万円売上のメガヒット!“生活を豊かに”をモットーに制作するTBS『ブランチショッピング』のこだわり

TBSでは、『ブランチショッピング』(毎週土曜ひる11時38分頃~)や『キニナルチョイス』(毎週月~木曜あさ9時55分~10時25分のうち7分間)、『カイモノラボ』(毎日深夜)などのショッピング番組を放送しています。

これらの番組企画・制作に携わっているのは、TBSグロウディアのショッピング事業本部です。日々どんな工程で、どのような思いを込めて作られているのか、ショッピング事業本部の番組制作部に所属する江部香帆に、話を聞きました。

モニターによる実証実験で、商品の効果を徹底検証

江部さんが所属するTBSグロウディアのショッピング事業本部とは、どんな部署でしょうか。

江部 ショッピング事業本部は、TBSグループの番組やコンテンツを生かしながら、テレビやラジオ、ECサイト「TBSショッピング」などを通じて通販事業を展開している部署です。商品の企画・開発から番組制作、販売までを一貫して手掛け、「放送×ショッピング」を掛け合わせた幅広いビジネスを行っています。

私が所属している番組制作部は、TBSテレビをはじめ、系列局やTBSラジオなどで放送される全てのショッピング番組を手掛ける部署です。番組制作部のほかに、オリジナル商品を開発する商品開発部や、ドラマ・バラエティ番組のグッズを企画するライセンス事業部などがあり、多彩なショッピングビジネスを展開しております。

番組制作部は“制作”という名前ですが、映像編集などの技術的な作業を行う部署ではなく、番組内で紹介する商品の企画や構成など、商品まわりを中心に「プロデューサー/アシスタントプロデューサー」として番組作りに携わる部署です。スタジオ収録や演出部分は、TBSスパークルをはじめとした制作会社と協力しながら番組を作っています。

江部さんの仕事内容を教えてください。

江部 現在はショッピング番組のアシスタントプロデューサーとして、オフィスでのデスクワークのほか、スタジオ収録や街録インタビューロケ、ハウススタジオでの商品撮影など、さまざまな現場に関わっています。今は、『ブランチショッピング』と特番『千原ジュニアの話題沸騰ニュースSHOW』〈次回は2026年5月放送予定〉、『衝撃スクープ!チョコプラ砲』〈2025年12月14日(日)ごご3:30~〉を担当しています。

入社1年目は『キニナルチョイス』をメインに、ほかに『ひるおびショッピング』(毎週月~金曜あさ10時25分~11時30分のうち3分間)を担当し、先輩方に支えていただきながら日々の放送に携わっていました。2年目の現在は、1年目の経験を生かして『ブランチショッピング』を担当しています。関わるメーカー様の数も増え、より丁寧に一つ一つの仕事に向き合うようになりました。

では、『ブランチショッピング』について詳しくうかがいます。まず『ブランチショッピング』はどんな番組ですか?

江部 『ブランチショッピング』は、『王様のブランチ』(毎週土曜あさ9時30分~)内で放送中のテレビショッピング番組です。

美容・シェイプアップ関連の商品を扱うことが多く、中には有名タレントとのコラボ商品や、TBSグロウディアが自社開発したオリジナル商品もあります。

2024年には「IKKOプロデュース MEラボン」という美顔器が、1回3分の放送で約5000万円売り上げるメガヒットを達成し、テレビショッピングの持つ大きな可能性を改めて感じました(※下の写真は「MEラボンエクラ」です)。また、私の入社前ですが2021年には「ReFa 4 CARAT」という美顔器が、1回3分の放送で約1億2000万円を売り上げたこともあります。

IKKOプロデュース MEラボンシリーズのハイクラスモデル「MEラボンエクラ」
IKKOプロデュース MEラボンシリーズのハイクラスモデル「MEラボンエクラ」

具体的な仕事内容を教えてください。

江部 まず、商品開発部のMD(マーチャンダイザー)がメーカー様と商談を行い、番組で紹介する候補商品を提案してくれます。それをもとにプロデューサーが実際に番組で扱う商品を決めます。その後、メーカー様とのやりとりや、収録・ロケに向けた準備を進めていきます。

ハウススタジオでの商品撮影や、出演者さんとのスタジオ収録では、商品の使い方をお伝えしたり、実演の準備をしたりと、スムーズに進行できるようサポートしています。そのために、取扱説明書を読み込むだけでなく、実際に自分でも商品を試して使い方をマスターするようにしています。

収録・ロケが終わってVTRができあがったら、映像チェックを行います。『ブランチショッピング』は1回3分尺と短いので、どの部分を残し、どの部分をカットするかをディレクターと相談しながら、VTRを完成形に仕上げていきます。チェックの際は、商品の情報が正しいかどうかだけでなく、テロップの表記や漢字にも注意を払います。例えば、「早い」と「速い」、「足」と「脚」など、どちらを使うべきかを確認しながら、細部まで丁寧にVTRチェックを行っています。

商品の選定から放送まで、どのようなスケジュール感で進んでいるのでしょうか。

江部 商品の選定は、スタジオ収録の1か月半くらい前に行います。商品が決まったら、メーカー様と商品会議を行い、その後ディレクターと台本構成を決める会議をします。この会議では、台本の流れだけでなく、出演者さんのキャスティングについても話し合います。その後、収録や商品撮影などのロケを経て、編集期間に入ります。VTR内の情報や表現に誤りがないかを何度も確認し、ようやく完パケになったらあとは放送を待つのみです。商品決定から放送までは早くても2~3か月、長いときは4~5か月かかることもあります。

モニターのオーディションは、どのように行っていますか?

江部 オーディションに参加してくださる方が多いほど選択肢も広がるので、多い時は50人ほどご参加いただくこともあります。でも、そのうち採用させていただくのは5名ほどで、実際に放送で登場していただくのは1人ということもあります。

オーディションには、商品のメーカー様にもご同席いただき、意見を伺いながらモニターを選考します。実際に、候補者の皆さんに商品を体験してもらい、商品の効果や魅力をしっかりと視聴者に伝えられる方を採用しております。

スタジオ収録はどのように行われていますか?

江部 収録は『王様のブランチ』の放送後、そのままスタジオセットを使って行っています。『ブランチショッピング』はオンエア尺が3分と短いため、収録時間は1商品につき40~50分ほどです。月に4回放送があるので、1回の収録で1か月分(4商品分)をまとめて撮影しています。

TBSグロウディア江部香帆

視聴者目線を貫き、豊かな未来を想像できる番組作りを

他のテレビショッピングとの差別化で意識している点は何でしょうか。

江部 『ブランチショッピング』を担当するようになってから意識し始めたことは、「耳だけで聞いても魅力が伝わる言葉づかい」です。というのも、この時間帯は家事などをしながら耳だけでテレビを聞いている方も多いからです。『ブランチショッピング』は特に、お昼ごはんの時間帯なので、より耳だけになりやすいようです。

心に刺さって買いたくなるような訴求をいかにできるかという点は重視していて、プレゼンターさんの台本には、商品の魅力を最大限届けられるような言葉を詰め込んでいます。

ショッピング番組にも台本はありますが、プレゼンを受ける出演者さんのリアクションやコメントはその場で出る自然なものです。商品を使用したときのリアルな表情や驚きの瞬間を見ていただけると思います。

『ブランチショッピング』では美容商品を中心に紹介
『ブランチショッピング』では美容商品を中心に紹介

制作でのこだわりを教えてください。

江部 視聴者目線で制作に携わることを大事にしています。商品の魅力そのものを伝えることはもちろん重要ですが、「商品を使うことでどんな嬉しい変化が起きるのか」、「どんなふうに生活が豊かになるのか」を想像していただけるよう意識しています。

例えば、調理家電を紹介するときは、その商品で作ったおいしそうな料理をたくさん紹介することで、「自分の食卓も、こんなふうに彩り豊かになりそう」と想像してもらったり…などです。

視聴者の方には、「この商品を使うことで、自分の生活はどんなふうに豊かになるだろうか」という視点で番組を楽しんでいただけたら嬉しいです。

「効果」だけでなく、「使ってみたくなる空気感」まで感じてもらえる番組作りを心がけています。

収録現場に立ち会った際に、印象に残っているエピソードを教えてください。

江部 以前担当していた『キニナルチョイス』の収録時、配属されて数か月でまだ慣れていない頃、MCの松嶋尚美さんがフレンドリーに接してくださったことはとても嬉しく、印象に残っています。

一番印象に残っているのは、約10万円のネックレスのスタジオ収録を行った時のことです。複数の出演者さんにそれぞれ一人ずつスタッフがついて、ネックレスをお着けするのですが、高価な商品かつ、収録を止めてはいけないプレッシャーで緊張してしまい、他のスタッフがスムーズに着け終える中、私だけうまく着けられずにいました。その時に、松嶋さんが「いつも頑張ってるよな」とフォローしてくださって…普段から見てくださって、優しく言葉を掛けていただき、その一言に本当に救われました。以降、その役回りは他の方にお願いすることになりましたが...(笑)。あの緊張感や松嶋さんの温かい言葉は、今でも鮮明に覚えています。

この仕事を通してやりがいを感じた瞬間を教えてください。

江部 この仕事でやりがいを感じるのは、無事にオンエアを迎えられた瞬間です。
一つの番組が完成するまでには、出演者さんやメーカー様、技術制作スタッフなど、本当に多くの人の力が関わっていて、その中で自分の関わりが少しでも形になっていると実感できたとき、とても嬉しいです。

また、撮影現場で工夫した演出を上司に褒めていただけたときや、担当した商品の売上が伸びたときにもやりがいを感じます。

まだまだ学ぶことばかりですが、自分の小さな工夫や努力が、誰かの「欲しい」や「見ていて楽しい」につながるのが、この仕事の魅力だと感じています。

TBSグロウディア江部香帆

学生時代のアルバイトで得た経験が今の強みに

ところで、江部さんはどんな経緯でTBSグロウディアに入社されたのでしょうか。

江部 元々テレビが大好きで、幼少期からエンタメやテレビ業界に何らかの形で携わりたいと思っていました。小さい頃から家族でテレビを見る家庭で育ち、バラエティからドラマまで、テレビが1週間の大きな楽しみでした。学校に行くのが面倒な朝でも、「今日はあのドラマがあるから一日頑張ろう」と、テレビが毎日の原動力になっていました。そのため、大学でも自然とメディア社会学を専攻しました。

就職活動を始め、テレビ業界の道を志す中で、「エンタメを通じて人々の生活を豊かにしたい」と考えるようになりました。私自身が番組やグッズから日々活力を得ていたからです。ですが、番組やグッズといった形に限らず、自分が携わるコンテンツで誰かの毎日に“楽しみ”や“活力”を届けたいと思い、コンテンツビジネスを手掛ける会社を探しました。

数ある企業の中でも、TBSグロウディアのインターンシップに参加した際に、社員の方々の優しさや温かさに触れ、「グロウディアの一員になりたい、一緒に働きたい」と強く感じました。「温かい雰囲気の中で自分も成長し、人の生活を豊かにできる仕事がしたい」、そう思えたことが入社の決め手です。

学生時代はエンタメ業界でアルバイトをされていたそうですね。

江部 学生時代はTBSのフラッグシップストアとして東京・赤坂にあったTBS THE MARKET(※現PLAZA NEWSSTAND赤坂店)と、テーマパークでアルバイトをしていました。

TBS THE MARKETは、TBSグロウディアの面接のたびに願掛けのように立ち寄っていた場所で、最終面接を終えたあと、そのままお店に向かって「ここで働かせてください」とお願いし、実際に採用していただきました。振り返ると、これまで購入してきたドラマグッズなどの商品はTBS関連のものが多かったので、自分が好きなTBSの商品を自分の手で届けたいという気持ちがありました。

テーマパークでのアルバイトは、小さい頃から憧れていて、ディズニーファンとして「人生でやりたいこと」の一つでした。「やるなら今だ!」と思い、大学時代に往復3時間ほどかけて通勤していました。8時間のロングシフトもあっという間に感じるほど楽しく、今でもパークに遊びに行くと、働きたくなるほどです(笑)。自分の人生において、かけがえのない経験となりました。

この二つのアルバイトの仕事には、「エンタメを通して人々に活力を与える」という共通点があります。提供側として「どうすればお客様に喜んでもらえるか」、「どうすれば元気に、明日からも頑張ろうと思ってもらえるか」といったギブの精神は、今の仕事にも生きています。

就職活動中にしておいてよかったことは何ですか?

江部 志望する会社をしっかり調べて、好きになる努力をしたことです。ただ情報を集めるだけでなく、「この会社のこういうところがすてきだな」と思える部分を見つけると、自然とモチベーションが上がりました。

私の場合、TBSグロウディアを志望したときは、社長のコラムを読んだり、採用ページを何度も見返したりして、会社の雰囲気や考え方をできるだけ深く知るようにしていました。 その中で、社員の方々のプロフィールを紹介する「グロウディアガチャ」という社内の取り組みがあることを知り、「社員同士のつながりを大切にしている会社なんだな」と感じたことをよく覚えています。

こういった「楽しい」要素をたくさん見つけることで、会社への興味がさらに深まり、「ここで働きたい」という気持ちが強くなりました。就職活動はどうしても大変なことも多いですが、会社のことを知れば知るほど前向きな気持ちになれると思います。“好きになる努力”をすることが、自分を最後まで支えてくれる原動力になったと感じています。

今後の展望を教えてください。

江部 まずは目の前の目標として、小さなコミュニティーでもいいのでリーダーになることを目指しています。この目標を掲げたきっかけは、上司との定期面談で「リーダーに挑戦してみたら?」と声を掛けていただいたことでした。TBSグロウディアは「バリュー」(※社の価値観、信念)でリーダーシップの重要性を掲げています。また、園田憲社長がコラムで紹介していた「明るい雰囲気を作ることこそがリーダーの仕事」という言葉を読み、引っ張るだけがリーダーの役割ではないのだと気が付きました。まずは、自分なりのやり方で、小さなリーダーを目指していきたいと思っています。

業務のほかに、採用活動にメンターとして関わる機会もあるので、そうした場でもリーダーシップを発揮していきたいです。

キャリアプランはまだ漠然としていますが、「楽しさや感動、わくわく感を届け、人々の免疫力をあげる」というTBSグロウディアのパーパスに共感しているので、今後もエンタメを届ける側としてあり続けたいと思っています。

これからも番組制作部での仕事を突き詰めたいと思いますが、同じショッピング事業本部内の商品開発部でMD(マーチャンダイザー)としてメーカー様と連携し、新しい商品を世に送り出す仕事にも魅力を感じています。

ほかに、TBSグロウディアにはコンテンツ事業やイベントラジオ事業の部署もあります。会社全体の事業にも理解を広げ、さまざまな事業で経験を積みたいです。

TBSグロウディアに入社してよかったところを教えてください。

江部 入社して一番感じているのは、成長できる機会がとても多いところです。社名の「グロウディア」の通り、挑戦の機会を多くいただける環境で、自分の意見を求めていただける場面も多くあります。もちろん、うまくいかないこともありますが、先輩方が丁寧にアドバイスをくださるので、一つひとつの経験から確実に学ぶことができています。そうした日々の積み重ねの中で、「少しずつ成長できているな」と感じられるのが嬉しいです。

また、周りの方々が本当に温かく、仕事の相談はもちろん、日常のちょっとした会話も楽しめる雰囲気があります。そうした人の温かさも、前向きに頑張れる大きな原動力になっているなと感じています。

最後に、就活生に向けてメッセージをお願いします。

江部 学生時代は、「やってみたい」と思うことに、ぜひたくさん挑戦してみてほしいです。私自身、大好きなテーマパークのキャストさんに憧れてアルバイトを始めたのですが、ゲストの笑顔のために自分に何ができるかを考える日々は、本当に多くの学びがありました。

また、今になって「もっと海外旅行に行っておけばよかった」とも感じています。社会人になると長期休暇が取りづらいという現実的な理由もありますが、何より、異なる文化や価値観に触れることで、自分の世界がぐっと広がるからです。一つのことしか知らないのはもったいないなと思うので、海外旅行を通じて遊びながら、さまざまな発見をしていただきたいです。

就職活動においては、企業研究をしっかり行うことが大切だと思います。私自身、当時は「就活=つらいもの」と感じていましたが、振り返ると、自分の興味や好きなことを見つめ直す良い機会だったと感じています。大変なことも多いと思いますが、少しでも楽しみながら向き合ってみていただきたいです。

私も学生時代、TBSグロウディアのインターンシップに参加した際、先輩社員の方から「就活を楽しんでね」と声を掛けていただきました。当時は正直、「楽しむなんて無理だ…」と思っていましたが、今になってその意味がわかる気がします。いろいろな会社のオフィスに行って、多くの社会人に出会えるのは就活生の特権ですし、その中で「こんな働き方をしてみたい」と思える人や会社に出会えたら、それが一番の収穫だと思います。

私自身も就活中は不安や焦りを感じていましたが、焦らず、自分のペースで、素直に向き合うことが大切だと思います。きっと、自分に合った会社が見つかると思います。

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TBSグロウディア江部香帆

江部香帆
2024年TBSグロウディア入社。ショッピング事業本部 番組制作部。
『キニナルチョイス』、『ひるおびショッピング』を担当後、現在は『ブランチショッピング』とショッピング特番『千原ジュニアの話題沸騰ニュースSHOW』、『衝撃スクープ!チョコプラ砲』のアシスタントプロデューサーを務める。

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