- CHALLENGE REPORT
鬼才×TBSテレビ「アフター6テックナイト」でクリエイティブと AI技術を掘り下げる

TBSテレビはテクノロジー企業に!
TBSは、2025年1月23日(木)、Tech Design X(テックデザインクロス)にて、「アフター6テックナイト」を開催しました。
「アフター6テックナイト」は、TBSテレビのテックビジネス推進室が主催する外部向けイベントで、TBSが更なる進化を遂げるため、Tech Design Xを舞台に社外の優秀な人材から「未来につながるビジネスヒントを獲得する」ことを目的としています。
前回の記事:トップクリエイターと可能性を深ぼり「アフター6テックナイト」で “つながる・生まれる”
TBSがAIナレーションを開発

映像制作において、ナレーションの収録は欠かせない工程の一つです。しかし、従来の収録には時間とコストがかかり、制作スケジュールを圧迫する要因となっていました。こうした課題を解決するために、TBS技術部が開発したのがAIナレーション生成システム「音六AI」です。
本イベント「アフター6テックナイト」では、ゲストに開発ユニット AR三兄弟 長男の「川田十夢氏」、VRデバイス開発 Shiftall代表「岩佐琢磨氏」、日米を拠点にするデザイン会社btrax「Brandon Hill氏(以下、ブランドン氏)」と、企画&ナビゲーターにHEART CATCH「西村真里子氏」を迎え、「音六AI」の開発背景や技術的特徴を紹介した後、「音六AI」のビジネス展開をテーマにしたトークセッションを行いました。また、イベント後半では、1月上旬にアメリカで開催された世界最大級のテクノロジー展示会「CES 2025」のレポートも行いました。
AIナレーション「音六AI」とは?

「音六AI」は映像コンテンツにおいて欠かせないナレーションの録音・編集をサポートする、AIナレーションシステムです。原稿をコピーして、システムに取り込むだけで自動的にナレーション音声が作成できます。
当初は、TBS局内における番組制作の業務効率化やコスト削減を目的として開発されました。タイムコードに合わせた音声生成や、読み上げ速度の自動調整ができるため、編集作業の効率化にもつながっています。また、費用対効果の観点で、これまでナレーションをつけてこなかったYouTube動画にも簡単にナレーションを付与できるようになりました。
音六AIは多言語対応もしているため、既存の番組映像に多言語ナレーションを付与する取り組みも行っています。コンテンツの海外展開を、音六AIが後押ししています。
「音六AI」は2025年4月から一般リリース予定です。お問合せ: TBS Tech Portal「音六AI」

TBSテレビ(TBSグロウディア出向) 大西陽一
トークセッション:AI音声技術の可能性と課題

音六AIの紹介を受けて、参加者を含めてディスカッションが行われました。
音六AIには、単語等を選択してアクセントを一音単位で調整できる機能があります。日本語の特徴である、個別の単語と、それを組み合わせた熟語のアクセントが変わる事象に、手動で対応することができます(例「高校」「高校野球」)。これに対し、「関西など方言対応によるコンテンツのローカライズ化のニーズがあるだろう(西村氏)」「アクセントのデータベースの導入ができれば、よりサービスの独自性が高まる(岩佐氏)」という意見が出ました。

Shiftall 岩佐琢磨氏
ブランドン氏からは、音声通話も使った国際ロマンス詐欺など、合成音声の悪用リスクについて指摘がありました。TBS大西は「TBSというメディアの立場からは、技術の進化と合わせて、そうした悪用リスクについて啓蒙していくべきと考えている。Nスタなどの情報番組で発信を行っている」と回答。
岩佐氏からは、技術進化のスピードが早い分野であるため、TBSがクローズで開発に取り組むのではなく、オープンに外部の技術者を巻き込んで開発を行うことの重要性が強調されました。

btrax Brandon Hill氏
川田氏は、TikTokなどのショート動画で"AIらしいナレーション”がウケていることを指摘。TBSのIPを活かしたナレーション、例えば『世界ウルルン滞在記』の特徴的なナレーションを再現するような、テレビ独自の文体をネット文化に翻訳することで新たな可能性が生まれると話しました。

AR三兄弟 川田十夢氏
30名ほどいた会場参加者にも意見を募り、AIを使ったスポーツ実況や新聞記事の自動生成、方言や特定個人の声の再現など、様々な応用可能性が議論されました。
CES 2025レポート

後半は2025年1月7日~10日にアメリカ・ラスベガスで開催された、世界最大級のテクノロジーイベント「CES 2025」についてレポート。今年、TBSテレビは初出展を行いました。
参考)ラスベガスで開催される世界最大級のテクノロジー展示会「CES 2025」にTBSが出展
CES 2025 Innovation Awardの審査員にも携わり、視察を行った西村氏からCES 2025で見たトレンドについて幾つか紹介がありました。ベンチャーキャピタルであるTBSイノベーションパートナーズの西川も議論に加わり、最新のテクノロジートレンドと、今後のビジネスの動きについて考察しました。

HEART CATCH 西村真里子氏

TBSイノベーションパトナーズ 西川直樹
TBSがイノベーションハブに
前回に引き続き、放送業界の枠を超え、多様な業種のクリエイター、ビジネスパーソンにご参加いただきました。本イベントをきっかけに、新たなシナジーが生まれ続けることを期待します。

★次回開催予定情報
日時:2月25日(火) 18時~ @Tech Design X
申し込みサイト
イベント情報はTBS Tech Design Labの公式X(旧:Twitter)で発信しておりますので、ぜひフォローしてお待ちください。
TBS Tech Design Lab 公式X:https://x.com/tbs_TDL