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BS-TBS『横浜DeNAベイスターズ』特番は優勝秘話&選手たちの素顔が満載!プロ野球やネーションズリーグの編成担当に聞く、スポーツ番組制作の魅力

BS-TBSは、2025年3月16日(日)ごご4時~5時54分に『開幕直前!横浜DeNAベイスターズ 日本一振り返り&悲願のリーグ制覇へ』を放送します。番組では、2024年に26年ぶりに日本一を達成した横浜DeNAベイスターズの名シーンを振り返り、選手・監督・コーチが知られざる裏話を披露。さらに悲願のリーグ制覇へ向けた選手たちの自主トレや新たな取り組みなどもたっぷりと紹介します。
また、3月28日(金)のプロ野球開幕以降は、横浜DeNAベイスターズ主催の30試合を中心に46試合を“試合開始から終了まで完全生中継”でお送りします(※リレー中継を除く)。
こうした番組に編成担当として関わっているのは、BS-TBSの大野慎介。番組の見どころやスポーツ中継の裏話のほか、自身のキャリアについて話を聞きました。
試合中継では見られない選手の素顔に注目

『開幕直前!横浜DeNAベイスターズ 日本一振り返り&悲願のリーグ制覇へ』は、どんな内容でしょうか。
大野 2024年、リーグ3位から下剋上を果たし、26年ぶりに日本一に輝いた横浜DeNAベイスターズ(以降、「ベイスターズ」)の優勝特番です。開幕を控えた2025年シーズンの見どころも抑えつつ、日本一の舞台裏に迫ります。
まずは新年早々に動き出す選手たちの自主トレに密着し、ロケを行いました。キャプテン・牧秀悟選手、山本祐大選手たちの普段は見られないオフショットに加え、新たな取り組みをご紹介します。
さらに、日本シリーズで大活躍した戸柱恭孝選手、佐野恵太選手、東克樹選手、牧秀悟選手、中川颯選手の5人による座談会では、日本シリーズでの苦労や葛藤、日本一を決めた「最後の一球」秘話も明かされます。

また、26年前に日本一を経験した三浦大輔監督、石井琢朗コーチ、鈴木尚典コーチの首脳陣3人による座談会も収録するなど、選手・監督・コーチの素顔が満載の特番となりました。

大野さんはこの番組にどんな風に関わっていますか?
大野 私は編成という立場で関わっています。番組内容のおおよそを考えて制作プロデューサーに伝えたり、放送日時の選定、営業担当とCMフォーマットの作成をする、といった業務内容です。
特番の企画が決まったのは2024年の11月です。選手の皆さんのスケジュールの都合や、「開幕直前に盛り上げていこう」という狙いから、春季キャンプ中、球団の皆さんが揃っているときに撮影し、3月中に放送することに決まりました。
制作に関しては、番組の方向性、要望、出演してほしい注目選手や番組の構成を伝えるなど、番組制作にも関わることができるのはBS-TBSならではだと思います。
特番に向けて、どんな準備をしましたか?
大野 座談会やトークの収録にあたって、台本などは特に用意していません。「春季キャンプの滞在地でご飯を食べながら2024年シーズンを振り返って下さい…」などの設定や概要はお伝えしますが、監督や選手にトーク内容についての事前アンケートはとっていません。番組スタッフは、日頃から野球中継に携わっているので、試合の内容や成績を把握しています。それをもとにディレクターがお話を引き出していきます。
今回の特番では、試合では見られない選手の素顔やあまり知られていないエピソードを紹介します。主力選手の収録ではここでしか話していない㊙トーク満載の内容となっています。あの場面で選手は何を考えていたのか、どんな準備をしていたのか。プロ野球中継を通してでは、なかなか伝えられない裏側が詰まっています。
昔からのベイスターズファンも、最近ベイスターズに興味を持った方にも楽しんでいただける内容になったと思います。3月16日(日)ごご4時からの番組を、是非ご覧ください。

野球番組には、長年携わっているのでしょうか。
大野 BS-TBSに入社したのは2023年ですが、大学を卒業した2015年に制作プロダクションへ入社し、TBSのスポーツ制作に携わるようになりました。当時の最初の配属は野球中継班でした。私自身はずっとサッカーを続けてきたので、野球はしたこともなければ知識もなく、ひたすら勉強しました。
担当になってから、ルールやスコアの書き方、野球のセオリーなどを見て学んで、まずはリポーター付きのAD、次に放送席ディレクターと徐々に経験を積み、最終的には試合の中継車にも乗れるようになりました。中継車での業務は、その試合の見どころを考え、「視聴者に何を伝えたいのか、何に注目してほしいのか」を、カメラマンと、映像を実際にスイッチングする技術スタッフに伝達する大事な役割でした。今は編成という立場ですが、今後も野球の魅力を伝えていけたらいいなと思っています。

BS-TBSでは、ベイスターズ主催の試合を年間30試合、中継しています(※対読売ジャイアンツ戦は全試合中継)。私は野球中継の編成も担当しており、注目度の高さや視聴率を想定しながら中継するカードを検討し、各球団との交渉を行っています。

2024年のネーションズリーグでは、マルチチャンネルの運用をスタート
ところで、大野さんが所属する「コンテンツ編成局 スポーツ推進部」はどのような仕組みで働いていますか?
大野 コンテンツ編成局には、編成部とスポーツ推進部があり、編成部は23名、スポーツ推進部は5名が所属し、少数精鋭で戦っています(※2025年2月取材時)。人数が少ない分、仕事をしっかりと任せてもらえますし、たくさんの経験を積めるというメリットもあります。
大野さんは、野球以外にはどんなスポーツ番組に携わっているのでしょうか。
大野 現在は野球のほかにゴルフ番組を担当しています。昨年2024年は「バレーボール ネーションズリーグ」の編成も担当しました。
ゴルフは、ツアー中継とレギュラー番組『ゴルフONE ~賞金総取りバトル~』(毎月 第2・第3土曜日 よる11時~深夜0時)を担当しています。
ゴルフ中継では編成と番組プロデューサー業務を兼任しています。ゴルフも野球や他のスポーツ中継と同じで、注目度の高さ・想定視聴率などから判断し、編成や放送枠を決めています。
また、「地上波・BS・CS」の3波でリレー形式で中継する大会があるので、時間帯により変わる放送波をわかりやすく宣伝したり、中継画面に案内のテロップを入れたりと細かい調整も行います。
BS-TBSが単独で中継している大会は、現場に行くことも多いです。試合前には開催地に下見に行ってコースが変わっていないか確認したり、イントレ(※中継用のカメラを設置する台)をどこに建てるか、高さは何メートルあればカメラでボールを追うことができるのかなど、制作や技術のスタッフと相談して目印の杭を打ったり、中継車が入ってくる日程を調整したりと、現場をまとめる立場です。

『ゴルフONE ~賞金総取りバトル~』では編成業務が中心ですが、出演者のキャスティングも提案しています。例えばゴルフが好きなタレントさんやゴルフインフルエンサー、あとはベイスターズ選手などの対決を企画してきました。現場に行ったり、制作スタッフと話せたりと、編成業務以外のこともできるので面白いです。
バレーボール ネーションズリーグでは、どのような業務がありましたか?
大野 BS-TBSでは、2018年から始まったバレーボール ネーションズリーグを毎年中継してきて、2024年は民放BS過去最高の個人視聴率2.8%を獲得しました(※全国で約329万人が視聴した推計)。地上波とBSで日本戦を全試合放送したことも要因の一つだと思いますが、男女とも、パリオリンピックをかけた最後の戦いだったことで、注目度は高かったと言えます。
2024年大会では、編成として放送枠を調整しました。日本以外に中国やヨーロッパでも開催されており、リアルタイムで放送しようとすると日本時間の深夜や早朝になってしまいます。しかし、その時間帯では、日本ではなかなか視聴が難しいと思うので、翌日のよる9時など見やすい時間に放送するよう努めました。
2024年のバレーボール ネーションズリーグでは、時間延長時に「マルチチャンネル162ch」で試合終了まで放送したと聞きました。
大野 はい、BS-TBSは通常は161chですが、主にスポーツ中継で延長した際、視聴者の方がチャンネルを切り替えれば試合を最後まで楽しむことができるマルチチャンネル162chの運用を開始しました。マルチチャンネルがあるのは、TBSグループの中ではBS-TBSのみです。
バレーボール ネーションズリーグ2024年大会でも、バレーボール中継としては初めてマルチチャンネルを用いて延長枠を放送しました。
本大会では、私は編成トラフィック業務も担当し、CMフォーマットを作成しました。試合が何セットで終わるか、試合の進行次第で何ゲーム目に162chに切り替わるかわからないので、想定できる全てのパターンのフォーマットを作って備える必要があったため、本来は1パターンでいいはずのCMフォーマットを、12パターン準備しました。当日使うのは1パターンのみで、残りは使用しません。とても複雑でしたが、事故なく放送を終えるためには必要な業務です。
中継中は、サブといわれる副調整室に詰めて、放送が162chへ切り替わるときにはマスター(主調整室)に連絡したり、放送枠の調整をしたりと、細かな業務が多かったです。
バレーボール中継として初めてマルチチャンネルを運用したときを振り返っていかがでしたか?
大野 新しいことを成功させるためにみんなで取り組めたことには、大きなやりがいを感じました。スポーツ推進部だけでなく、CM部やマスターも大変だったと思いますが、注目度の高い大会を無事に放送できてよかったです。
ご覧になっている方は、スポーツの試合を開始から終了まで見届けたいと熱量を持って視聴してくれていますので、その気持ちに寄り添っていきたいです。スポーツ番組はBS-TBSのブランディングを担うコンテンツの一つだと思っているので、これからも力を入れていきたいですね。

学生時代はスポーツを通した国際支援も経験
そもそも、大野さんはどんな経緯でBS-TBSに入社されたのでしょうか。
大野 BS-TBSには2023年4月にキャリア入社しましたが、TBS放送センターで働いている期間はわりと長いです。大学卒業後、制作プロダクションに入社し、TBSテレビのスポーツ局で約7年間派遣常駐勤務していました。その後、転職して今に至ります。
制作会社を志したきっかけは何ですか?
大野 子どもの頃からテレビが好きだったのですが、高校生の頃、寮生活をしていたときはテレビが禁止されていました。食堂に行けばテレビが一台ありましたが、時間制限があって自分にチャンネル権もなかったので…。両親にテレビ番組を録画したDVDを送ってもらい、ポータブルプレイヤーを使って自室で見ていました。当時見ていたのは、『バース・デイ』や、サッカーのジネディーヌ・ジダン選手やディエゴ・マラドーナ選手のドキュメンタリーです。それがきっかけで、スポーツドキュメンタリーを作りたいと思うようになりました。
大学では、スポーツ関連の仕事をした経験をお持ちでスポーツ業界に詳しいゼミの先生に指導していただきました。先生からの勧めもあり、制作会社への就職を目指すことに決めました。そこから人に面白いと思ってもらえるような経験をたくさんしようと思って、就活に向けた活動を始めました。
具体的に、どんな活動を行いましたか?
大野 ゼミの一環として、スポーツを通した国際支援を行いました。
まず一つ目は、アフリカのジンバブエ共和国でのホームステイです。ジンバブエの野球協会会長のお宅に2週間住ませていただきました。ジンバブエはHIV罹患率が高いことが社会問題となっている国です。ゼミの先生が執筆したスポーツとHIVに関する研究論文の中で、「スポーツをして陽気な気分になっているときに、外国人が性教育の話をすればアフリカの子どもたちも聞く耳を持ってくれるのではないか」という仮説を立てていて、最初の一週間はその実証実験を先生と行いました。
その後、先生が先に帰国されたので、残りの一週間はスポーツヒーローのドキュメンタリーを撮ろうと取材を行いました。当時はサッカーの本田圭佑選手やリオネル・メッシ選手がスポーツヒーローとして活躍していました。
そこで現地で自分なりのスポーツヒーローを探していたところ、ボランティアでサッカーを教えているコーチに出会ったんです。その方は、毎日同じ時間にボールを1つだけ持って、サッカーの指導にやってくるー。子どもたちにとってまさしくスポーツヒーローですよね。
彼のような、世の中には知られていないスポーツヒーローのドキュメンタリーを作りたいと思いました。この出会いも、スポーツ番組を作りたいと思ったきっかけの一つですね。
もう一つは、カンボジアの孤児院やフリースクールの子どもたちに向けた運動会の開催です。ゼミの先生と学生たち15人くらいで、バッグに縄跳びやボールなどを詰め込んで向かいました。私がリーダーのような立場だったので、事前に運動会ができる広さのある場所を探したり、移動するためのバスを借りたりと、いわゆるロケハンのようなことをしました。振り返ると、これがテレビの仕事にもつながっているような気がします。
運動会は、とても盛り上がって、子どもたちも楽しそうに参加してくれました。ある日突然、運動の用具を持った大人たちがやってきて運動会が始まる。その日は、自分たちが子どもたちにとってのスポーツヒーローになれたのかもしれない、と思うと嬉しかったですね。
ほかにも先生の紹介で、ゼミの一環でスポーツ専門チャンネル「 J SPORTS」の訪問などを行いました。
現在の業務でこだわっていることは?
大野 コミュニケーションをたくさん取ることです。業務に携わる部署や人とたくさん会話して、細かいことでも確認するようにしています。それが事故のない放送につながっていると思います。
また、BS-TBSでは自分の席を固定しない、フリーアドレス制を採用しています。事業部、営業部、マーケティングPR部、考査部、総務部とさまざまな部署の方と話すことができ、距離が近いです。自分とは違った視点の意見が聞けたり、「こんなこと出来ないかな?」と思い浮かんだアイデアをすぐに相談して、実現に向けて動き出せたりと、スピード感を持って仕事できる環境にあると思っています。
スポーツ推進部として、今後の展望を教えてください。
大野 放送外収入を目指せるコンテンツの創出を目指しています。一番理想的なのは、『SASUKE』です。あんな風に番組だけでなく、ゲームやイベント、グッズ販売など幅広く展開できるコンテンツをBS-TBSでも作れたらと考えています。
最後に、就活生にメッセージをお願いします。
大野 就活では、自分の志望とは違う業界も見ておくのがおすすめです。私は他の制作現場も経験しておこうと思い、スポーツ以外の番組を作っている制作会社のインターンに参加したこともあります。そこでの仕事は自分の理想と少し違っていて、やはり「スポーツ番組を作りたい」と心が決まりました。こうしたギャップは実際に入社する前に知っておいた方がいいと思います。
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大野慎介
2023年BS-TBS入社。コンテンツ編成局 スポーツ推進部。
大学卒業後、2015年に制作プロダクションに入社し、TBSテレビ スポーツ局にて約7年間勤務。スポーツ中継ではプロ野球中継、ワールド・ベースボール・クラシック、世界野球プレミア12(じゅうに)などの国際大会にも携わる。また、ドラフト会議特番や『バース・デイ』などスポーツドキュメンタリー番組の制作も担当。
現在BS-TBSでは、スポーツ中継とスポーツ番組の編成業務などを担う。