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PLAZA NEWSSTAND から赤坂に賑わいを。TBS×SLHが手掛けた新店舗開発の裏側

TBSグループの「PLAZA」の新店舗「PLAZA NEWSSTAND 赤坂店」がオープンして半年が経とうとしています。PLAZAにとって挑戦の詰まったこの新店舗は、TBSと、スタイリングライフ・ホールディングス(以下、SLH)両社によるプロジェクトチームで作られました。店舗作りの裏側や今後の展望について、チームを代表し、プラザスタイルカンパニー片倉志樹(TBSから出向中)と、SLHの村岡達樹に話を聞きました。

赤坂店立ち上げのために特別什器を開発

PLAZA NEWSSTAND 赤坂店を立ち上げた経緯について教えてください。

片倉 まず、TBSからの「Shake the World AKASAKAを体現するお店を、PLAZAに作ってほしい。」という提案から始まりました。その命題に向き合い、回答するまで時間を要しました。半年くらい話し合い、TBSが新店舗に求めるものとPLAZAの挑戦したいことをすり合わせてから、新店舗の立ち上げが決まり、そこから実現に向けて具体的な打ち合わせが始まりました。

赤坂はビジネス街ですが、PLAZAの他店舗と差別化した部分はありますか?

村岡 僕は以前から、赤坂に来るお客様はPLAZAのターゲット層とは少し違うなと感じていて、忙しい人が多いので、「さらっと立ち寄り、さらっと買っていく」を毎日できるような店舗にしたいと思っていました。また、面積が小さい店舗なので、「ジャンル別に豊富なラインナップが揃っている」というPLAZAの魅力をどう表現するのか意識しました。

片倉 赤坂店はPLAZAの魅力やトレンドをちゃんと伝えつつ、ここだけの特別感を出そうという意味を込めて「the BEST & ONLY」というコンセプトを掲げています。小さい店舗ながらもポップアップスペースを設け、そこで必ずおもしろいことを展開していこうという気持ちを込めた店舗です。

NEWSSTAND(意味:駅や路上などの新聞雑誌類売店)という言葉を決めたのは、当時のリーダーとプレジデント(社長)です。会議ではPLAZAの皆さんがアイデアを出し合い、それをリーダーが言葉でまとめて表現していくのですが、その様子がまさに阿吽の呼吸でした。アイディアがどんどん出てくるミーティングは活気があり、ワクワクしました。

店舗デザインのこだわりは?

村岡 もっともNEWSSTANDを表現しているレジまわりはもちろんのこと、入り口側でもNEWSSTAND感を出したくて、今回は赤坂店専用の商品を展示する棚などの什器を設計しました。海外の例を検索しながら店舗の雰囲気を考えているときに、たまたまキオスク風の売り場が目に入ってピンときたんです。デザインの設計時から、レジ周りの雰囲気をキービジュアルにしようと思っていました。こうやって店舗を作っていくのは、なかなかない機会なのでおもしろかったです。

PLAZA NEWSSTAND 赤坂店キービジュアル
PLAZA NEWSSTAND 赤坂店 キービジュアル

片倉 什器を設計から作るというのがすごいと思いました。この什器は、写真などが入れられる小窓がついていたりと店舗のスタッフが使う際にアレンジを加えられるように計算して作られています。

ポップアップスペースの台も、スライドしてしまえるようになっていて、商品によっていろいろな陳列ができるように表現されています。そこは既製品を使っているのではなく、自分たちで作っている強みだと思います。

小窓がついた什器
PLAZA NEWSSTAND 赤坂店に置かれている小窓付き特別什器

PLAZAは陳列がかわいくて見やすいので、つい立ち寄ってしまいます。どんなことを意識して並べていますか?

村岡 PLAZAは常にプロモーションをしているので、そのテーマに合わせて色味や用途、見た目のテイストなど、ジャンルをざっくり分けて、近しいものたちをかわいらしく表現しています。この「かわいらしく表現」というのをどう説明するか難しいですが、これまでやってきた売り場作りの経験を活かす感じです。

片倉 村岡さんは店舗のイメージ作りや陳列のセンスが本当に長けてらっしゃいます。赤坂店も、何もない状態から、MD課(※)の方たち3~4人で陳列してくださり、一日で終わらせていました。設計図しかない状態から、どんな商品や什器を置くか、隅々まで表現されていて本当に感心しました。

※MD課:店頭のプロモーションや強化商品などの販売戦略を企画し、各店のサイズやニーズに基づいたMDの調整を行う仕事

SLH村岡達樹、TBS片倉志樹

コラボ商品の開発は世界観の合致が必須

SLHは2008年にTBSグループに参画しましたが、同じグループ会社として交流するようになり、どう感じていますか?

片倉 常日頃思っていますが、PLAZAの皆さんは企画力はもちろん、トレンドを見つけてくる力やそれを表現する力が素晴らしいです。陳列も、自分が並べるのとPLAZAの方とでは表現が全然違います。PLAZAはTBSの編集力とは違って、売り場の編集力があります。

村岡 僕はTBSの方々は本当に能力が高いと感じました。若い世代の人もちゃんと上の人と意見を戦わせていてすごいと思います。あとは、テレビもTBSの番組をよく見るようになったり、TBSラジオを聴くようになったりしました(笑)。

PLAZAではTBSとのコラボ商品も販売されています。片倉さんは3つの商品に携わったそうですね。

片倉 最初はドラマ『パパとムスメの7日間』のグッズに携わりました。この作品のプロデューサーがPLAZAをすごく好きなのでコラボをと直接お電話いただき、劇中に登場するランチバッグを作ることになりました。

それを受けて、今度はドラマ『夕暮れに、手をつなぐ』の劇中に登場するクッションを作ってほしいという依頼がありました。「ドラマに合ったデザインで」と依頼されましたが、その段階では「アフリカ」というキーワードしか決まっていなくて…でも、なんとか作り上げました。結果、ドラマのファンの方をはじめ多くの方が買ってくださり、PLAZA内でもすごくインパクトがありました。

その後、劇場版『TOKYO MER~走る緊急救命室~』の公開を記念してアニメ『GO!GO!TOKYO MER 緊急事態と戦う仲間達』とPEZとのコラボ商品を作りました。PLAZAはPEZのアートのライセンスを管理しているのですが、映画との色合いが合いそうだなと思ったんです。この商品はオンラインでも注文が殺到し、イベントでも店舗でも多くのお客様に喜んでもらえてよかったなと思っています。

TBS×PLAZAコラボグッズ
(左から)ドラマ『パパとムスメの7日間』のランチバッグ、ドラマ『夕暮れに、手をつなぐ』のクッション、アニメ『GO!GO!TOKYO MER 緊急事態と戦う仲間達』とPEZとのコラボ商品

コラボ商品の開発はいかがでしたか?

片倉 そもそも、私はTBSにいながらずっと経理部(現アカウント部)にいたので、番組制作に関わったことがないのに、SLHに出向してからいきなり商品開発をすることになったので、転職したような気分でした。「Illustratorのデータがほしい」と言われても、Illustratorの意味がわからなくて(笑)。

特に、TBSとPLAZAの世界観を合致させるのは難しかったです。TBSの方々からは「TBSのグッズをPLAZAに置いてみませんか?」と度々提案を受けますが、そのままではPLAZAのお客様が求める世界観と合致しないので、そんなに簡単に置けないんです。だから、PLAZAらしいコンテンツのグッズを作ってPLAZAに置きたい、と考えながら作りました。

TBS片倉志樹

赤坂のさらなる賑わいを目指して

仕事のどんなところにやりがいを感じていますか?

村岡 やっぱり新店舗を作るというのは達成感があります。そもそも、お客様には気づかれることは少ないのですが、PLAZAでは新店舗のたびに什器や見せ方、備品を毎回少しずつ改良しています。店舗スタッフが使いやすく、お客様も商品を見やすくなっています。PLAZAに興味がある方は、ぜひ注目していただきたいです。

あと、昨年、PLAZA 池袋サンシャインシティアルパ店がオープンし、そこのディレクションを担当したのですが、池袋の店なので自分が好きなドラマ『池袋ウエストゲートパーク』の要素をふんだんに盛り込みました。遊び心の一つだったのですが、これもやりがいの一つかなと思います。主人公の携帯の着信音のレコードを飾っていたり、他にも作品のファンしか気付かない仕掛けがたくさんあるので、ぜひ探してみてください。

PLAZA 池袋サンシャインシティアルパ店外観
PLAZA 池袋サンシャインシティアルパ店 外観
PLAZA 池袋サンシャインシティアルパ店 店内
ドラマ『池袋ウエストゲートパーク』の要素が詰まったディスプレイ

片倉 赤坂店もHarry Potter × Cath Kidstonコラボのポップアップを開催したときは、ハリー・ポッターの要素を仕込んでましたよね。椅子とか古い洋書風の小物とか。

PLAZAは店舗ごとにメッセージがあるので、店舗を作った人が何を伝えたいのか考えながら店舗を見てもらえると、いろいろな発見があっておもしろいと思います。商品も店舗ごとに違っていたり、かなり細部までこだわっているので、ぜひ見ていただきたいです。

最後にPLAZA NEWSSTAND赤坂店の今後の展望を教えてください。

片倉 PLAZA NEWSSTAND赤坂店は「赤坂の賑わいを創出する」という命題を掲げているので、TBSと一緒に、いろいろな形で赤坂の街を盛り上げていきたいです。例えば先日、韓国のメイクアップアーティスト、ウォン・ジョンヨ先生のメイクセミナーを企画し、Tech Design Xで開催しました。これによって今まで赤坂に来たことがなかった新しいお客様を赤坂に招くことができたと思っています。今後もこういったPLAZAだからこそできる企画を考えていきたいです。

また、PLAZAは2026年には創業60年を迎えるにあたり、2月20日に大規模なリブランディングを発表しました。日常の中の何気ないシーンを“HEARTS UP!”する。そんな心拍数を上げる新しいショッピング体験をPLAZA NEWSSTAND 赤坂店からもお客様に発信していきたいと思います。

2月20日に発表されたPLAZAの新ビジュアル
2月20日に発表されたPLAZAの新ビジュアル

村岡 せっかくTBSにPRしてもらえているので、PLAZA NEWSSTAND 赤坂店を通してPLAZAの他店舗に波及するようなものをどんどん生み出していきたいと思います。赤坂店はハリー・ポッターの商品など、他店舗では扱っていないオンリーな部分もありつつ、通常のPLAZAで展開している商品も買えるようにしたいので、そのバランスを大事にしていきたいです。

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TBS片倉志樹、SLH村岡達樹

片倉志樹
2001年入社。アカウンティングサービス局アカウント部を経て、プラザスタイルカンパニーに出向。主にTBSとPLAZAとの連携を担当。

村岡達樹
2006年入社。PLAZA店舗店長を経て、現在は商品本部MD課に在席。PLAZAの食品・雑貨・化粧品のカテゴリーのマーチャンダイザー業務や新店のMDディレクションを担当。

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