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地上波との違いは?『夫婦の秘密』『町中華で飲ろうぜ』担当の有我健に聞く、BS-TBSでの番組制作の裏側
BS-TBSでは、現在、連続ドラマ枠・木曜ドラマ23『夫婦の秘密』を放送しています。同作は欺瞞に満ちた“愛憎・闇堕ちミステリー”のオリジナル作品で、3月7日に最終回を迎えます。
BS-TBSのドラマ制作は、地上波と比べてどんな違いがあるのでしょうか。有我健プロデューサーに話を聞きました。
『夫婦の秘密』は約40日間で全10話を撮影
ドラマ『夫婦の秘密』の撮影の様子はいかがでしたか?
有我 作品の内容に反して、撮影現場は非常に明るい雰囲気でした。主演の臼田あさ美さんを中心に、同世代の俳優が多いこともあってか、「愛憎・闇堕ちミステリー」の作品を撮影しているとは思えないほど、スタッフ含め、和気藹々としていました。
そんな撮影現場で、地上波ドラマとの違いの一つは、撮影にかけられる日数ではないかと思います。『夫婦の秘密』は1話54分、全10話の作品ですが、放送前に約40日間で撮影しました。地上波ドラマの場合、放送と同時進行で3~4ヵ月ぐらいかけて撮影しているケースもあると聞きますが、BS-TBSの場合は予算などの都合もあり、このぐらいの日数で撮影しています。そのため、演出面などで制限や制約などが生じるケースもありますが、そこはネガティブに捉えるのではなく、脚本などを工夫しながら作ることで生まれるアイディアもたくさんあると思っています。
そんなに短いとは驚きです。撮影スケジュールの組み方にはどんな工夫が?
有我 『夫婦の秘密』は、生花店を営む夫婦を中心としたストーリーで、生花店と夫婦の家、近所のカフェを主な舞台にし、それぞれ集中的に撮影を行いました。11月~12月の撮影でしたが、例えば、生花店は12月に入ると季節柄、撮影のために貸していただくことが難しかったので、11月に3日間、それを3週間連続で撮影しました。夫婦の家やカフェのシーンも同様に集中的に撮って、その他のシーンはそれらの合間に行っていました。撮影場所の数を絞るのも、違いの一つかもしれません。
スタッフ集めや脚本作りはいかがでしたか?
有我 今回、ご縁があってROBOTさんに制作をご協力いただくことができました。近年、ドラマは地上波はもちろん、BSや配信など、非常に多くの作品が制作されています。制作プロダクションや監督、カメラなど、スタッフの数が追いついていないと言われている中、ROBOTさんに相談を始めたのは放送まで1年を切った2023年2月のタイミングでしたので、こんなギリギリのタイミングで受けていただけて、本当に運が良かったです。
脚本も本来は撮影前に全話が決定稿になっているのが理想だと思いますが、今回は間に合いませんでした。関係各所にご迷惑を掛けてしまったことが多々あったと思います。それでも、脚本家の武井さんと蓼内さんには、毎回時間のない中で執筆していただき、本当に感謝しています。
地上波ドラマのプロデューサーは、一つの作品が終わるまでつきっきりだそうですが、BS-TBSのドラマプロデューサーも同様ですか?
有我 BS-TBSの場合は、外部の制作プロダクションに依頼し、そのご協力があって放送に至っているケースが大半です。もちろん、多くの作業に関わりますが、例えば全ての撮影現場に行くことはなかなか難しいです。また、目の前の作品だけでなく、同時進行で先々の企画を考えることもあります。
最終回に向けて、見どころを教えてください。
有我 『夫婦の秘密』というタイトルなので、最初は多くの方が不倫や浮気といったことを想像していたかもしれません。確かに前半はそういったストーリーでもありましたが、中盤から後半にかけては人間の欲望や執着、嫉妬、葛藤など、登場人物の心と心の交わりがより深く描かれています。最終回では、それぞれが抱えているそれらの感情がどこへ行きつくのか注目していただきたいです。そして、SNSで視聴者の皆さまが盛り上がってくださっている、山に埋められている死体は誰なのか?埋める指示をしているのは誰なのか?も気になりますね(笑)。
ドラマ撮影と並行し、『町中華で飲ろうぜ』のイベント企画も
『夫婦の秘密』を担当する傍ら、『町中華で飲ろうぜ』の制作プロデューサーも務めているそうですね。
有我 BS-TBSは人数が少ない組織なので、一人のプロデューサーがドラマやバラエティ、音楽など、ジャンルを問わず様々な番組を同時に担当しているケースは多いです。さらに、番組はもちろん、イベントに携わることもあります。例えば、昨年11月のことですが、『夫婦の秘密』の撮影が始まって間もない頃、BS-TBS初のフードイベント「町中華フェス」(11/3~5 東京・豊洲)が開催され、私は『町中華で飲ろうぜ』の担当として、こちらにも携わっていました。
『町中華で飲ろうぜ』のロケには参加していますか?
有我 現場に行くことはありますが、スペースが少ないお店では、撮影の邪魔にならないように机の下にもぐり込むこともありました(笑)。制作プロダクションのスタッフも、少ない時はディレクターとカメラ、音声の3人ということもあります。
ロケ先はどうやって決めていますか?
有我 コロナが流行する以前は、スタッフがある程度のエリアを決めて、あとは出演者に委ねていたこともありましたが、コロナ以降は、スタッフが事前に客としてお店を訪ねてリサーチを重ねるなどしています。都内近郊の場合は、事前にスタッフがお店に行くことも可能ですが、地方の場合は事前にお店に伺うことが難しいので、電話などでやり取りをさせていただき、ロケの前日にディレクターが初めてお店に伺うケースもあります。
部署を問わず同じフロアで仕事ができる、風通しの良さが魅力
ところで、有我さんは中途入社だそうですね。BS-TBSに入社した経緯を教えてください。
有我 前職は広告会社で営業の仕事に就いていました。新聞や雑誌など紙媒体の広告を扱うことが多く、当時はまだスマホが発売され始めた頃で、ネット広告を扱うことが少しずつ増えてきたという状況でした。ただ、映像に携わる機会には恵まれず、せっかく広告の仕事をしているなら、映像の仕事にも挑戦してみたいといった漠然とした考えで、転職活動をしていました。
当時、放送局が中途採用を行っているとは思っていませんでしたが、BS-TBSがたまたま営業職の中途社員募集を行っていたので応募し、ありがたいことに入社が叶いました。入社から約5年は営業部で外勤をし、その後、編成部、制作部へと異動して現在に至ります。
働きやすさはいかがですか?
有我 数年前にオフィスがリニューアルされ、おしゃれでとても居心地の良い空間になりました。そして、一つのエリアに社長や役員、部長、一般職など、従業員の大半がいます。席はフリーアドレスなので、他部署の人とも距離が近く、コミュニケーションをとれる機会は多いです。例えば、営業の人と編成の人が隣同士に座っていることもあり、他部署にどんな人がいて、どんな仕事をしているのか自分の目で見られるのも特徴だと思います。
また、仕事の状況に応じて、オープンスペースやリモート会議向きのパーテーションがあるスペース、カフェスペースなどを使い分けることも自由にできます。
BS-TBSに入ってよかったと思うところは?
有我 一般的にはなかなかできない経験を積めることです。例えば、営業時代は普段お会いすることができないないような企業の重役の方と接する機会があったり、制作ではタレントや俳優の方々と関わることがあったり。ジョブローテーションもあるので、多くの従業員が、様々な仕事にチャレンジできる機会があることも良いところだと思います。
最後に、就活生に向けてBS-TBSの魅力を教えてください。
有我 BS-TBSでは、ここ数年、新卒採用や中途採用で多くの方が入社され、特に20代~30代が増えました。それでも、従業員が100名ちょっとの規模の会社なので、年齢や職位に関係なく、多様な働き方で、さまざまな仕事にチャレンジできる機会があります。
また、放送局と言っても制作や編成だけでなく、営業や宣伝、事業、スポーツ、報道、総務、経理など様々な部署があり、人それぞれのキャリアプランを描けることも魅力の一つだと思います。
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有我健
2013年、BS-TBSに中途入社。営業局営業部に所属し、外勤として番組CM枠のセールスやスポンサー一社提供番組などを担当。その後、編成、制作へと異動。現在は、連続ドラマ『夫婦の秘密』、『町中華で飲ろうぜ』などを担当。