• People

『七つの大罪 黙示録の四騎士』放送開始!アニメ事業部長・渡辺信也に聞く、TBSがアニメ事業に本格参入する理由

TBSは、今年10月から毎週日曜ごご4時30分に全国28局ネットで放送するアニメ枠を新設。その第1弾として、2023年10月8日より『七つの大罪 黙示録の四騎士』の放送が始まります。

TBSが本格的にアニメに注力するのはなぜでしょうか。今年7月に新設されたアニメ事業部の渡辺信也部長に聞きました。

4年ぶりに全国ネットのアニメ枠を新設!『七つの大罪 黙示録の四騎士』にかける思い

10月からアニメ枠を新設するなど、TBSがアニメ事業に注力しようとしているのはなぜですか?

渡辺 『鬼滅の刃』や『君の名は。』といった日本発のアニメ作品が世界中で大ヒットし、エンタメ業界に大きなインパクトを与えたこともあり、我々TBSも今一度アニメ事業に強い意志で臨むことにしました。「VISION2030」という2030年を見据えた中長期経営計画の中にも「アニメへの投資を本格化させる」という方針が謳われています。

その背景には、テレビ局を取り囲む環境の変化も大きく影響しています。テレビ本来のビジネスモデルは地上波のCM枠から広告収入を得るものですから、番組が高い視聴率を取ることが会社の収益に直結してきました。私も事業セクションに異動する前は、バラエティ制作や編成部といった地上波に関わる部署に所属していましたが、担当番組の視聴率に一喜一憂していたことを覚えています。

それが近年、少し様子が変わってきました。もちろん、今もテレビ局の事業は地上波を中心にまわっていますが、広告収入の落ち込みから、アニメや映画、配信、海外販売、商品化といった2次利用セクションの放送外収入に期待される度合いが格段に高まってきたと感じています。

アニメに注力するという会社の方針もその流れの中にあり、今年夏の組織改編で「アニメ事業部」という部署が独立し、人員や体制を強化している真っ最中です。社内の様々なセクションもアニメを力強く応援してくれています。また、Seven Arcs、マンガボックス、韓国のStudio TooNといったグループ各社で連携してアニメ事業に取り組んでいこうとしています。

長年レギュラーのアニメ枠が定着してこなかったこともあり、TBSはアニメ戦国時代の中でまだ後発に位置していますが、ここから全力で追いかけようとしています。

新たなアニメ放送枠の第1弾として、『七つの大罪 黙示録の四騎士』を選んだのはなぜですか?

渡辺 この10月にスタートする「日曜ごご4時30分枠」は、4年ぶりに開かれる全国ネット枠で、TBSが本気でアニメに取り組む旗印でもあります。なので、最初の作品はそれにふさわしいビッグタイトルにしたいという思いがありました。

『七つの大罪』シリーズは、鈴木央先生が10年以上に渡り連載を紡いできた世界的にも大人気のマンガで、これまで何度もアニメ化されてきました。『七つの大罪 黙示録の四騎士』は、現在も連載中であるこのシリーズの最新作のアニメ化ということで、是非TBSの新しい枠で放送させていただきたいとお願いしました。主人公の少年パーシバルが壮大な旅に出て、仲間と出会い、敵と戦うというストーリーが、日曜夕方に家族で見ていただくのにピッタリだと思っています。

『七つの大罪 黙示録の四騎士』キービジュアル

アニメ枠の新設に伴い、宣伝を強化していると聞きました。

渡辺 新しいアニメ枠の認知度を少しでも上げたくて、社内の全面的な協力を仰ぎながらさまざまな宣伝施策を打っています。まず、この枠のスタートに合わせて「TBSアニメ」という新しいロゴを作りました。今後、各種広告物に使っていくほか、このロゴの5秒ムービーをアニメ本編枠の冒頭に流してまいります。

また、JR新宿駅構内、メトロ渋谷駅構内、渋谷スクランブル交差点、山手線ラッピングなどで、多くの屋外広告を展開しましたが、これらの広告デザインや動画制作はTBSグループ内の各部署の協力によってやり切りました。

さらに、乃木坂46の梅澤美波さんに宣伝大使をお願いし、TBSの様々な情報番組でプロモーションしていただいています。今回は系列局であるMBSの日曜ごご5時枠「シャングリラ・フロンティア」との連動プロモーションにより、<日曜夕方はアニメ!>の打ち出しも行いました。MBSはアニメ事業を長年継続してきた放送局ですが、系列の力を結集させて「アニメ連携を今後も強化していきたいと思っています。

とにかく、今のTBSにはアニメのイメージがないと思いますので、あらゆる角度からアピールを続けて、少しづつ視聴者の皆さまに届けばと思っております。

「TBSアニメ」ロゴ

今後の「TBSアニメ」の展望は?

渡辺 TBSのアニメ放送枠は、これまで<木曜深夜25時28分>のみでしたが、今回新設される<日曜ごご4時30分>に加え、2024年1月からは<木曜よる23時56分>もアニメ事業部で運営していきます。この秋まで1枠しかなかったレギュラー枠が急に3枠に増えるわけで、1年が4クールだから年間で12タイトル、アニメは制作に時間がかかるので数年先に放送されるものも動き出しており、いま部内では30タイトル以上が動いています。

さらに、30分枠のテレビアニメのみならず、劇場用アニメーションの企画も複数開発中だったり、ショートアニメ企画にも着手しており、アニメ事業の領域は広がりつつあります。部員はみんなモチベーション高く頑張ってくれてますが、やるべきことが多すぎて、人手が足りていないのが悩みの種です。

TBSアニメ事業部長・渡辺信也

「TBSアニメを見て良かった、作って良かった、関わって良かった」と思ってもらえるように

渡辺さんは、もともとアニメに興味があったのですか?

渡辺 子どもの頃は人気アニメを見るためにテレビにかじりついてましたが、大人になってからは、どちらかというと実写コンテンツの方が好きで、正直アニメファンとは言えません。部の同僚たちの方が圧倒的に詳しいので、毎日いろいろ教えてもらってます。この年になって改めて、アニメの魅力に触れている感じです。

TBS入社時は何を志望していたんですか?

渡辺 僕は長年の趣味が「舞台鑑賞」で、学生時代は小劇場演劇から商業演劇、歌舞伎、宝塚歌劇まで、毎日のように劇場に足を運んでいました。一年で164本観た年もあります。

なので、演劇に関わる仕事ができたら良いなと思って就職活動しまして、TBSは<赤坂ACTシアター>という自前の劇場を持ってるのが魅力的だなと感じ、演劇プロデューサーになることを夢見て入社しました。

入社当初のキャリアは?

渡辺 しかし、すぐに希望が通るほど甘いことはなく、最初の配属はテレビのバラエティ制作、『アッコにおまかせ!』のADからキャリアをスタートしました。1年目からフロアディレクターを担当することになったのですが、毎週失敗してよく怒られていました。好きだった芝居もなかなか見に行けないし、向いてないなと毎日悩んでましたが、一年経った頃にようやく生放送のスタジオを仕切る楽しさを感じられるようになりました。

入社して15年くらいまでは、バラエティ制作と編成部を行ったり来たりしてまして、ADやディレクターとして担当した番組は『ガチンコ!』『学校へ行こう!』『明石家さんちゃんねる』『関口宏の東京フレンドパークⅡ』などです。現場ではいろいろと苦労しましたが、振り返ってみれば、バラエティ時代の経験が今の自分の背骨になってるなと感謝しています。

そこからアニメの仕事にかかわるようになるまでの経緯は?

渡辺 編成部時代、TBSとWOWOWとの共同制作ドラマの担当になりまして、香港映画の傑作『インファナル・アフェア』を『ダブルフェイス』と題してリメイクする単発ドラマのプロデュースに関わらせてもらいました。西島秀俊さん、香川照之さんのダブル主演、監督は『海猿』シリーズの羽住英一郎さんで、幸運にも大きな反響をいただけたことで、同じチームで制作する連続ドラマ『MOZU』に繋がりました。その『MOZU』を映画化するタイミングで映画・アニメ事業部へ異動。実写映画がやりたくて異動したのですが、数年後、土曜の朝に新設されたアニメ枠でプロデューサーをやることになり、『トミカハイパーレスキュー ドライブヘッド 機動救急警察』や『新幹線変形ロボ シンカリオン』といったキッズターゲットのロボットアニメを担当しました。

初めてアニメプロデューサーの仕事をやってみていかがでしたか?

渡辺 アニメ独特のルールと言いますか、業界の文化に慣れるのが大変でした。それまで経験してきたバラエティ、ドラマ、映画と比べると作り方がまったく違いますし、ご一緒するクリエーターも実写コンテンツとは違うジャンルの方々なので、一から勉強しながらやっていました。今もまだ勉強中という感じです。制作にかける時間も実写の比ではない長さなので、その時間軸の違いにも当初は戸惑いました。

また、実写映画の撮影現場には多くのスタッフが揃っていますし、俳優が実際に芝居している様子からある程度は作品の完成形が想像できますが、アニメの制作現場はあらゆるパートに分業されて、さまざまな作業が並行して進んでいます。アフレコという作業で、声優によって役に命が吹き込まれるのもアニメ独特ですよね。

プロデューサーはシナリオを作ったり絵コンテをチェックしたりしますが、それ以上のことは作り手を信用して任せるしかないので、完成した作品を見て、こんな仕上がりになるんだと毎回嬉しい驚きがありました。

現在はアニメ事業部の部長になられましたが、日々どんな思いで仕事に取り組んでいますか?

渡辺 部内では常日頃から、「人」を大切にしながら仕事しようと声を掛け合っています。視聴者、クリエイター、制作スタジオ、パートナー企業の皆さま、TBSグループ内の仲間たち等々…。TBSアニメを見てくれる、作ってくれる、出資してくれる、応援してくれる全ての人に、良かったと思ってもらえるように頑張ろうと。僕らはまだアニメ業界では後発ですが、「人」を大切にしながら地道に頑張ることで、少しづつ階段を上がっていきたいと思っています。

TBSアニメ事業部長・渡辺信也

コンテンツファーストを実現しているのはTBSの強み

アニメ事業部では現在、キャリア採用に力を入れているそうですね。

渡辺 はい。まさに今、キャリア採用を行っております。(詳細はこちら)今のアニメ事業部のプロデューサーの中にも、昨年入社してくれたキャリア採用組が数名いますが、全員がそれぞれの強みを生かして大活躍してくれています。生え抜きのプロデューサー陣が、キャリア採用組に刺激を受けている感じもあって、とても良い空気だなと感じてます。

一方で次世代を担う若手も年々増えてきていて、今年はアニメ志望でTBSに入社した子が一年目からアニメ事業部に配属されて驚きました。先ほどお話ししたように、放送枠も増えますし、アニメ事業の領域は広がっていく傾向にあるので、もっと仲間を増やせたらと思っています。

TBSで働く強みは何だと思いますか?

渡辺 TBSは、コンテンツクリエーターを大事にする会社だと感じています。「VISION2030」でも、クリエーターの育成や獲得、クリエーターが働きやすい環境づくり、クリエイティブを尊重する風土の醸成がうたわれています。
TBSのこれまでの人気ドラマ、バラエティ、映画を思い返すと、自ずとヒットメーカーであるプロデューサーや監督の顔が見えてきますよね。作り手の顔が見える会社といえるかもしれません。このクリエーターファーストの企業風土が、これからの後輩たちにも受け継がれていけば良いなと思いますし、そこに魅力を感じてTBSグループに飛び込んできてくれる方が増えることを祈っています。

TBSのアニメ部やアニメ業界を目指す若者にアドバイスをお願いします。

渡辺 アニメに限った話ではないのですが…自分の「好き」を頑張って貫いてほしいなと思います。若いときに好きになったものを大人になっても好きであり続けるって、結構大変じゃないですか。仕事が忙しかったり、サボる時間もほしくなると、趣味の時間って後回しになりがちですから。僕の「好き」は演劇で、これだけは続けようと思って劇場通いしてましたが、それが人生を豊かにしてくれたと感じています。今携わっているアニメを含め、さまざまな局面で「演劇好き」であることが新しい人や仕事との出会いを産んでくれました。薄く広く色々なものに触れることも大事ですが、「とにかくこれが好き!」という圧倒的な熱量は、他の人を揺さぶり何かを引き付ける力を持っていると思うのです。

社会人になって何かに行き詰ったとき、仲間がほしいとき、進むべき道に迷ったとき、きっとあなたの「好き」が助けてくれると思います。頑張ってください。

TBSアニメ事業部長・渡辺信也

渡辺信也
1998年TBS入社。バラエティ制作部、編成部、映画・アニメ事業部を経て、23年よりアニメ映画イベント事業局アニメ事業部長。
バラエティ制作部で「学校へ行こう!MAX」「明石家さんちゃんねる」「関口宏の東京フレンドパークⅡ」などを担当。編成部で「ダブルフェイス」「MOZU」、映画・アニメ事業部で「劇場版MOZU」「8年越しの花嫁 奇跡の実話」「罪の声」「トミカハイパーレスキュー ドライブヘッド 機動救急警察」「新幹線変形ロボ シンカリオン」のプロデュースに携わる。

■関連記事

興行収入20億円超!映画『五等分の花嫁』を手掛けたTBSスパークル田中潤一朗のプロデューサー論

本サイトは画面を縦向きにしてお楽しみください。