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TBSラジオの新営業部長・平野雅丈に聞く、ラジオ営業の魅力

ラジオ業界の衰退が不安視されつつある昨今、Podcastを筆頭にさまざまなコンテンツ展開に力を入れているTBSラジオ。ラジオといえばコンテンツに目がいきがちですが、社の存続には営業部による営業活動は欠かせません。

TBSラジオでは、昨年から新たに人事制度の一環として昇進試験を設けました。その試験を突破し、2023年7月に営業部長に就任したのは、2010年入社の平野雅丈。TBSラジオでは最若手の部長就任となりました。そんな彼に、ラジオ営業という仕事の魅力やTBSラジオの今について聞きました。

きっかけは草野球大会?会話が苦手なのに営業部への異動が決まる

TBSラジオに入社した経緯は?

平野 僕は野球に関わる仕事がしたいと思って就職活動をしていました。だから、テレビの技術職も視野に入れていて、TBSテレビを受けたら選考が進んだんです。結局ご縁がなかったものの、面接で話した方々が良い人ばかりだったので、たまたまホームページで見つけたTBSラジオを受けることにしました。正直、野球中継以外のラジオ番組は全然聴いてなかったし、そもそもTBSにラジオがあることもこのとき初めて知りました。

学生時代は何の勉強をしていましたか?

平野 理工学部で、プログラミングの研究室に所属していました。だからTBSラジオにも技術職として入社して、一生技術職で生きていくんだろうなと思っていました。ところが、入社4年目に突然「営業だよ」と言われて。

異動の希望は出したんですか?

平野 出していません。TBSラジオは当時草野球の全国大会を主催していて、僕は野球をやっていたこともあり、主催者としてTBSラジオチームで出場する際に声をかけていただいたんです。その2週間後くらいに異動の連絡があったような…。現在は営業11年目です。

技術職で入社したのに、営業へ異動になることがあるんですね。当時どんな心境でしたか?

平野 実は、TBSラジオでは、技術採用で別部署への異動は珍しいことではないんです。でも、異動当時は何をすればいいのかわからなくて、すごく戸惑いを感じました。営業マンたるもの寡黙では仕事になりません。とにかく話すしかないですが、昔からなるべく黙っていたいタイプだったので、人と会話するところから勉強し直すレベルで…。改めて会社に入り直す感覚で、先輩たちの姿を見て学んでいきました。

仕事内容も随分違いますよね。

平野 そうですね。技術職のときは、世の中に馴染みのある仕事でいうと、スタジオ(サブ)で音を調整する音声の仕事でした。営業では、ラジオの広告枠をいろいろな企業の宣伝部や広報部の方々にご案内し、企業・商品のプロモーション活動のお手伝いをしています。スポンサー様に向けた資料を作ったり提案したりという業務ですね。

営業のおもしろさを感じるようになったのはいつ頃ですか?

平野 異動して半年後に、あるスポンサーの担当者の方からとても怒った表情で「もう君来なくていいよ」と言われたことがあります。すごく悔しかったですが、当時の上司は「そう言われたことは受け止めるけど、向こうから何か言われても『御社の担当は平野しかいません。それが嫌なら出稿していただかなくて結構です』って言い返すよ」と仰ってくれたんです。本当に仰られたかどうかはわかりませんが、とても救われるお言葉をいただき感謝の気持ちでいっぱいでしたし、僕にはこう言ったら頑張るだろうとわかっていたのかもしれません。

だから、挽回するためにその担当者の方を食事にお誘いしました。会ってお話して、自分を知っていただくために。10年前のバレンタインデーでしたが、その日は大雪で…話は盛り上がってよかったのですが、帰ろうとしてもタクシーが全然つかまらなくて。一時間くらい外でタクシーを呼び止めようとしたのですが全くつかまらず、結局2人で始発までカラオケして(笑)。とても思い出深いバレンタインデーになりました。

そこでわかったのは、結局、お金じゃなくて人を追わなければいけないということでした。そこから急に成績が上がったわけではありませんが、いろいろな人と話すのが楽しくなりました。

TBSラジオ平野雅丈

とにかく仕事量で勝負!負けず嫌いが功を奏し、成績がぐんと上がる

現在は営業部長になられましたが、ここまで紆余曲折あったと思います。営業成績を上げるためにどんな工夫をしましたか?

平野 時代と逆行していますが…人より多く働くことではないでしょうか。そもそも僕は小さい頃から負けず嫌いで、人に負けたくないんです。この性格は良い方向に作用したと思います。チームの中で一番になるためには、先輩たちに勝たなければならない。そのためには効率よりも量。加えて、もっと稼ぐためには量を質に変えていかなければならないし、そのために時間の使い方を意識したと思います。

まず仕事の量を増やしたと。具体的にどんな風にですか?

平野 新規のスポンサー様をどれだけ探せるかが重要だと思います。例えば、100件のアポイントをとって1件しか決まらないなら、10件決めるには1000件アポイントをとる必要がある。だから仕事量を増やさければならないし、そうなると効率も求められます。僕がレギュラーでご縁をいただいている企業様は20~30社でしたが、新規でも契約を獲得しなければならないので、それ以外に100社以上の企業様に常にアポイントを取れる関係を築いていました。

成績が上がったのはいつ頃ですか?

平野 7年目くらいでしょうか…。年次も重ね、徐々に大きな企業様を任せていただけるようになり、それと並行して、数年前から個人売上目標が数値化されるようになったので、それをクリアするために頑張りました。

テレビの営業とはどう違いますか?

平野 テレビと比べてラジオはスポンサーとの向き合いの割合が大きいので、TBSラジオに限らず、ラジオ局の営業は直接企業様に営業しに行くケースがほとんどです。ラジオの魅力を一番わかっているのは我々なので。

コロナ禍前後で仕事の仕方は変わりましたか?

平野 全然違います。コロナ前は「誰から買いたいか」の時代で、人と人との関係性の中で購入いただいている感覚がありました。それがコロナによって対面でのコミュニケーションができなくなり、コンテンツの力で勝負することになったと思います。ラジオはスポンサー様の要望に対してどうカスタマイズして応えていくかという時代に変わりました。

例えば、スポンサーさんの要望を汲んで番組を作ったり、番組内にオリジナルのコーナーを作ってそれを二次展開としてデジタル上で拡散させたりと、スポンサーさんに寄り添ったコンテンツを作る。コンテンツパートナーとしての立ち位置になったと思います。スポンサーさんと一緒に番組を作れるので、ラジオが好きな企業のご担当者様やそうでない方も、とても魅力を感じていただけると思います。

TBSラジオ平野雅丈

仕事を越えた友人関係を築けるのは、ラジオ営業の魅力

平野さんはTBSラジオで昨年から導入された人事制度を利用されたんですよね。昇進試験を受けようと思ったのはなぜですか?

平野 ずっと育ててくださった先輩方の影響が大きいです。それと、仕事で愚痴をこぼしてしまったときに、とある社内の偉い方から「そう思うなら、おまえがやればいいじゃん」と言われて妙に納得したことが記憶に残っていて。結局、愚痴で終わってしまうものを、自分で実際に行動に移すためには、仕事でしっかりと結果を出して、チームで戦う必要があると感じたのも理由の一つです。

部長になってどんな心境ですか?

平野 まだ戸惑っています。長く担当してきたスポンサーさんがたくさんあるため、1~2週間で引き継ぎできるようなものではないですし、自分でやりきらなければならない仕事もありますから。部長の仕事として、部員の営業活動の管理やサポートも加わったので、単純に仕事量が…。

部長としての目標は?

平野 営業部は3つに分かれているのですが、僕は負けず嫌いなので、いつかチームで一番の売り上げを達成したいと思っています。そのために今はどんな営業スタイル、マネジメントが最適なのか、日々勉強中です。

平野さんにとって、ラジオ営業の魅力は何ですか?

平野 さまざまな業種・立場の方々とたくさん知り合えることです。最終的にはいかに仕事をこえて友達になれるか、というモチベーションで日々仕事をしています。大先輩方の中には、退職されてからもお客さんとつながりがある方がいて、見ていて楽しそうなんです。だから、退職後にどれだけ友達がいるかということも大切なことだと思っています。

一つ自信を持って言えるのは、これまで名刺交換をしてきた数です。現時点で約5000枚。人との出会いがスポンサー・友人になってもらえるチャンスなので、出会いを大事にしていきたいです。

TBSラジオではどんな人材を求めていますか?

平野 ラジオに関わる全ての仕事を楽しめる人ですかね。それと、変革を迫られている今、新しいことをたくさん考えられて、挑戦できる気持ちはすごく大切な気がします。

TBSラジオをはじめ、ラジオ業界を目指す就活生に向けてアドバイスをお願いします。

平野 この業界を目指すうえで必ずしておかなければならないことは特にないですが…ぜひ後悔しない学生生活を送ってきてください。夢を持って入ってきてくれた方がいいのかもしれませんが、入社してゼロの状態でも全然大丈夫です。僕みたいに、ラジオをあまり聴かない人でも、ライトリスナーとしての意見を言える貴重な人材になるかもしれません。だから、「ラジオは聴かないし…」という理由で受けないのはもったいないです!TBSラジオで一緒にチャレンジしましょう。

TBSラジオ平野雅丈

平野雅丈
上智大学大学院理工学研究科を修了後、2010年技術職としてTBSラジオへ入社し、夢であったプロ野球に関わる仕事=中継業務などに携わった。2013年に営業部門へ異動。営業外勤として、TBSラジオの広告枠を売り続けて丸10年。11年目を迎えた2023年7月より営業部門でチームを持つことに。チームのモットーは「金を追うな、人を追え」。

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