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なぜNHKからTBSに?南波雅俊の知られざるアナウンサー人生
TBSは、キャリア採用を積極的に受け入れています。南波雅俊アナウンサーもそのうちの一人です。2020年に入社し、現在は『Nスタ』や『ラヴィット!』などに出演。2023ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)では、テレビ中継の実況を担当するなど活躍の場を広げています。
TBS入社前の南波アナは、一体どんな活動をしていたのでしょうか。転職時のエピソードやアナウンサーを目指す若者へのアドバイスなどを聞きました。
野球に関わる仕事がしたくてアナウンサーを目指す
NHKからTBSへ転職した南波アナ。そもそもアナウンサーを目指したのはなぜですか?
南波 野球に関わる仕事に就きたいというのが一番でした。そのなかでもアナウンサーに興味を持ったのは、いつも野球中継を見ていたことや、高校3年生の夏、ピッチャーとして出場した試合が放送され、実況してもらったことが大きいです。大学生時代、ラジオ局でアルバイトをしており、ナイター中継を聴いたり、アナウンサーと話す機会が多くあったりしたことも、実際に受けてみようと思うきっかけになりました。
学生時代はアナウンサー職の一本で就職活動をされていたんですか?
南波 一本ではないですね。就職活動を始めた頃は、興味はあったものの、正直無理だろうと思っていました。「野球取材」を軸に、新聞社や通信社もエントリーしました。野球以外だと、営業職にも興味があったので、金融やIT、メーカー、広告なども、幅広く受けていました。
“本気で”アナウンサーを目指したのは、キー局の試験に落ちたタイミングです。遅いですね(笑)。「ダメでも良いから受けてみよう」くらいの気持ちでしたが、いくつかの放送局で選考が進み、TBSでは最終面接の手前までいきました。そこで「ここまで残ったなら、頑張ればアナウンサーになれるかもしれない」という気持ちに変わったんです。
その後、キー局の試験が終わってから、NHKやプロ野球中継のある民放局を目指して、アナウンススクールに通いました。
アナウンサーの勉強をしなくてもある程度までは通っていたものの、アナウンススクールに通ったんですね。
南波 目指すからには、今からでも、やれることを最大限やろうと思ったんです。「野球の実況がしたい」と言うからには、実況の練習をしていなければ説得力がないと思いましたし、実況らしい強い声を出すため、発声練習などもやりました。当時は、アナウンサーの勉強を早くからやっていれば、あと一歩の壁を越えて、受かっていたかもしれないという後悔もあり、真剣に取り組みました。
ラヴィットでお馴染みのB’zネタはNHK時代から
新卒でNHKに入社されました。当時はどんな仕事をしていましたか?
南波 いろいろやりました。NHKは全国転勤があり、1局目は岡山放送局、2局目は大分放送局で、ニュース読みやリポートなど、仕事の基礎を学びました。高校野球やJリーグの実況に加え、夕方のニュースキャスターも担当していました。
番組を制作する機会もあり、企画書や構成を書いて、時にはデジカメを回し、自分でナレーションを入れるといったこともやっていました。
3局目は、広島放送局に転勤し、プロ野球や甲子園の中継など、スポーツアナウンサーの仕事が中心でした。
TBSでは『ラヴィットでB’zを歌う人』として認知されているようですが、NHK時代はB’zのモノマネは抑えていたんですか?
南波 NHK時代にも、ディレクターが企画して、似たようなことをやったことがありました(笑)。
夕方のニュース番組の中継で、B'zの曲を歌って登場したり、船の上で『OCEAN』を歌う映像を、旅番組のエンディングで使ってもらったり(笑)。もちろん、今と比べたら、頻度は全然少ないですが。
まさかのキャリア採用、決め手は…
転職活動を始めたのは、いつ頃ですか?
南波 TBSのキャリア採用を知ってから考え始めました。先輩の土井敏之アナウンサーが、1990年代にNHKからTBSに転職して以来、途中から入ったアナウンサーはいなかったので「キャリア採用やるんだ」と最初はとても驚きました。新卒から入った組織で働くなか「一生この道で良いのか」など、迷ったり、転職について考えたりした時期はありました。
ただ、TBSのキャリア採用を知ったタイミングは、NHKに入って8年目になる頃で、目標だったプロ野球中継には関われていましたし、甲子園の実況も、ラジオからテレビへとステップアップする時期でした。この頃は、NHKで実況を頑張ろうとしか思っていませんでした。
それでもTBSに転職した理由は?
南波 DeNA戦のホームゲームを全試合中継していること、NHKにはないWBCやプレミア12など野球の国際大会の中継権を持っていることが、一番大きかったです。スポーツコンテンツ全体を見ても、陸上、サッカー、バレー、ゴルフなど豊富にあるなか、出身地の東京に定住しながら仕事ができるのは、理想的な環境だと思いました。
一方、NHKに育ててもらったという気持ちはありましたし、辞めることで組織や先輩に迷惑をかけるという気持ちもありました。甲子園の実況ができなくなることも、最後まで悩みました。高校野球は、学生時代の全てというくらい打ち込んでいて、仕事としても情熱を注いでいました。取材をするのもすごく楽しかったですし、解説の皆さんとの交流も貴重な経験でした。
本当にいろいろと考えましたが、TBSなら、常に全国放送で勝負できる。野球における最高峰の国際大会WBCもある。情熱を注げる新たな大舞台があるなら、思い切って挑戦しようと思い、決断しました。
現在、TBSで活躍中の南波アナのように、アナウンサーを目指す方や、就活生に向けてアドバイスをお願いします。
南波 月並みですが、好きなことに打ち込んで、いろいろな経験をしておくことが大事だと思います。学生時代、似たようなことを社会人の先輩に言われ「本当かな」と思いましたが、本当でしたね(笑)。
自分の場合は、高校まで本気で野球をやっていたことが、今の仕事にもすごく活きています。野球中継に活きるだけでなく、いろいろな仕事への向き合い方や嫌なことの乗り越え方、考え方の部分でも支えになっています。
全く想像していませんでしたが、B’zが心の底から大好きで、毎日歌っていたことも、たくさんの仕事に繋がっています(笑)。好きなことに一生懸命になる経験は、アナウンサー試験にも、仕事にも間違いなく活かせると思います。
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ラヴィット!のB'zモノマネで話題、WBCで実況デビュー!南波雅俊アナの快進撃
南波雅俊
2020年キャリア採用でTBS入社。WBCをはじめさまざまなスポーツ実況、『Nスタ』『ラヴィット!』など、ジャンル問わず、分野を横断してアナウンサーとして活動。