• Announcers

ラヴィット!のB'zモノマネで話題、WBCで実況デビュー!南波雅俊アナの快進撃

NHKからTBSに転職した南波雅俊アナウンサー。南波アナは、2023ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)でテレビ中継の実況デビューを果たしました。『Nスタ』では月~水曜日を担当。『ラヴィット!』ではB’zのモノマネを披露するなど、スポーツ実況からニュース、バラエティとオールマイティに対応できる実力派として人気を呼んでいます。そんな南波アナに、これまでTBSで担当した仕事について伺いました。

NHKとTBS、全然違うけれど目指す方向は同じ

NHKからTBSへの転職理由をお聞かせください。

南波 NHKには、7年半いました。最後に所属した広島放送局では、プロ野球中継や甲子園の中継など、スポーツ実況を担当しており、大きなやりがいを感じていました。ですから、当時は全く辞めるつもりはなかったのですが、たまたまTBSの採用を知り、横浜DeNAベイスターズの全試合の中継権を持っているうえ、地元東京で腰を据えて働けることに、とても魅力を感じました。WBCや世界野球プレミア12の放送もしているのはもちろん知っていたので、学生時代に夢見た、野球の国際大会の実況に関われるチャンスがあるかもしれないと、キャリア採用試験を受けました。

両局の違いはどう感じていますか?

南波 全く違うところもあれば、共通していると感じる部分もあります。例えばスポーツ中継では、実況のスタイルや表現方法は違いますが「競技の本質と勝負を伝える」という目的は同じなので、徐々に慣れていきました。両局とも、スポーツアナウンサーの取材への熱量は、同じような文化だと感じています。

報道分野で担当している『Nスタ』は、規模は全く違いますが、NHK時代に岡山と大分で担当していた夕方のニュースと似ている部分が多くあります。特に、キャスターが現場に足を運んで取材したり、親しみを持ってもらうためにフリートークを大事にしたりというコンセプトは、共通している点だと思います。

ただ、バラエティーは全然違いますね(笑)。最初は「これが民放か!」と思いました。

具体的にどう違いますか?

南波 まず、スタッフの皆さんの雰囲気が全然違います。髪型や服装という見た目の部分から、全く異世界に迷い込んだかのように感じていました(笑)。番組に出演するスタンスも、基本的には、アナウンサーは一歩引いて、進行に徹するというのが、これまで経験してきたものでした。自分が思いっきり歌わなくてはいけない場面もあり、最初は戸惑いました。

ただ、回数を重ねるにつれ、どんな空気になっても、凄腕の芸人の皆さんが救ってくれると感じるようになり、やり切る時は、思いっきりやり切ろうと臨むようになりました。いまだに正解は分かりませんが、本当に助けてもらいながら、スタジオや中継現場を乗り切っています。

スポーツ、報道、バラエティといろいろな分野を担当するなかで、最近特に思うのは、どの分野もスタッフと出演者が一緒になって「良いコンテンツを作る」という熱量や目的は共通しているということです。求められることは分野ごとに違いますが、自分なりに、どうやって番組に貢献できるのかを常に考え、それぞれの仕事に臨んでいます。

南波雅俊(TBSアナウンサー)

ラヴィット出演を機に視聴者からの認知度も向上

ラヴィットはいつ頃から出演していましたか?

南波 2021年から1年間、火曜日のラヴィット!内ニュースの担当をしていましたが、ニュース以外で出演したのは、2022年の春頃です。「アナウンサー変身計画」という、アナウンサーの服装をかっこよくする趣旨の企画がありました。

私の私服は、20代前半で購入したロック感のある服が多く、皮ジャンと白いVネック、ぴったりサイズのGパンにブーツで出演しました。自分では結構かっこいいと思っていましたが、麒麟の川島明さんからは「一昔前のカラオケの映像」と言われました(笑)。

その企画のなかで、アルコ&ピースのお二人に、B’zの歌詞を振ってもらい、それを歌うというくだりを繰り返しやりました。当時は必死でしたが、その姿にスタジオが笑ってくれて、そこから徐々に認知されるようになりました。

最近では南波アナの出演後、度々Twitterでトレンド入りしています。

南波 ラヴィット!というコンテンツの力と、アナウンサーがふざけたことをしても、温かい目で見てくれる視聴者の皆さんのおかげですよね。今後も声をかけてもらえる限りは、バラエティ番組特有のどうなるかわからない空気を楽しんでいきたいと思います。

視聴者からはB’zとの共演を望む声もあるようです。歌番組の司会などでいつかお会いできるといいですね。

南波 いつか、何らかの形で、お会い出来たらものすごく有難いですよね。ただ、少しおふざけが過ぎるところもあるので、申し訳ない気持ちもありますが…本当に小学生の頃から大好きで、NHK時代の地方局でのプロフィールに「生まれ変わったら1日やってみたい職業」に「B’z」と書いていたくらい好きなので、泣いてしまうかもしれません。

南波雅俊(TBSアナウンサー)

初めてのWBC実況は、反省点がありながらも今後の大きな糧に

今年3月のWBCでは、初めて実況しました。実際に実況してみていかがでしたか?

南波 スポーツ中継の主役は選手なので、目の前で起きていることを大事にし、邪魔をしない見やすい放送を心がけています。今回は特に、現場の音や間を生かすことも意識して臨みました。放送を終えてみると、解説の皆さんにもっといろいろなことを聞けたなとか、組み立て方は他にもあったなとか、反省が多く浮かびます。

でも、それも含めて間違いなく大きな経験をさせていただいたと思います。特に、WBCデビューの大谷翔平選手の第1球から実況できたことは、人生で忘れられない出来事のひとつです。本当に1球1球、東京ドームがどよめいて、異様な空気感でした。「夢がかないました、はい終わり」というわけではなく、今回の放送に関われた経験を糧に、今後のアナウンサー人生に生かさなくてはと思います。

特に印象に残ったシーンは?

南波 8回裏、1死満塁のチャンスで、ヤクルトの山田哲人選手が3ボールから空振りしたシーンです。この時、解説の原辰徳さんと会話するなかで「これが山田のいいところ。3ボールからでも振れるのが山田の良さなんです。空振りだけれど、これで良い」という趣旨の解説をしてくださいました。その直後、次の投球を山田選手が捉えて、タイムリーを打ちました。一見、ただの空振りに見えかねないシーンを、原さんならではの視点で切り取ってコメントしていただき、それが結果としても表れたシーンはとても印象に残っています。

スポーツ中継の醍醐味は「先読み」だと考えており、起きた結果を話すだけでなく、先の展開につながる布石を打っていくことが、視聴者の興味を引く、大きなポイントだと思います。今回は、原さんに助けていただきましたが、こういう言葉をたくさん引き出せるよう、解説の方との会話力や自身の洞察力を高めていきたいと、強く心に刻みました。

仕事の幅が広がったのは、TBSに転職したメリットでもありますよね。今後の展望はどう考えていますか?

南波 こんなにいろいろな仕事ができるのは、TBSに転職したからこそだと思いますし、それぞれに楽しさも感じています。Nスタは、出演日が週3回になり、役割も増えたので、存在感も増していけるように頑張りたいです。歌のイメージが強いかもしれませんが、きちんとニュースを読めるというところを大事にしていきたいですし、取材やプレゼンも責任感を持ってやっていきたいです。

そして、実況アナウンサーとして転職したからには、実況できちんとした成果を出していかなければなりません。将来的に、TBSの野球中継の中心となるアナウンサーの一人になれるよう、取り組んでいきたいです。TBSの野球中継は、多くの先輩方が支え続けてきた伝統あるものですが、今のままでは到底及ばない部分も多くあります。出来る限り球場に足を運び、経験を重ねてレベルアップしていきたいです。そのうえで、WBCなどの国際大会に継続して関わり、日本シリーズの実況も任せてもらえるようなアナウンサーになりたいと思います。

先日、ある先輩から「覚悟」の大切さについて、話をしてもらいました。いろいろな分野の仕事をするからには、必然的にそれぞれに割く時間は少なくなる。でも、それを言い訳にせず、全てやりきる覚悟を持って、仕事に臨んでいきたいです。

>NEXT

なぜNHKからTBSに?南波雅俊の知られざるアナウンサー人生

南波雅俊(TBSアナウンサー)

南波雅俊
2020年キャリア採用でTBS入社。WBCをはじめさまざまなスポーツ実況、『Nスタ』『ラヴィット!』など、ジャンル問わず、分野を横断してアナウンサーとして活動。

本サイトは画面を縦向きにしてお楽しみください。