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谷口悟朗監督が描く、20世紀初頭のパリで“夢追う日本人の少女ふたり”の物語、劇場アニメ『パリに咲くエトワール』

2026年3月13日(金)に劇場アニメ『パリに咲くエトワール』が全国公開されます(配給:松竹)。本作は、20世紀初頭のパリを舞台に、困難な時代にあっても諦めることなく、星(エトワール)に手を伸ばそうとする日本人のふたりの少女の物語です。主人公の継田(つぐた)フジコを當真あみ、その友人の園井千鶴(そのい・ちづる)を嵐莉菜が務めるほか、早乙女太一、門脇麦、尾上松也、津田健次郎ら豪華声優キャストが集結しました。

劇場版『ONE PIECE FILM RED』(2022年)の谷口悟朗監督と、『魔女の宅急便』(1989年)や『崖の上のポニョ』(2008年)などスタジオジブリ作品のキャラクターデザイン・原画を務める近藤勝也氏が初めてタッグを組んだことでも注目を集めています。

本作にはどんな思いが込められているのでしょうか。TBSテレビのアニメ事業部より、村田奈津実に話を聞きました。

作品の魅力を届けるために、さまざまな切り口での展開に挑戦

劇場アニメ『パリに咲くエトワール』キービジュアル

まずは、『パリに咲くエトワール』における村田さんの担当業務を教えてください。

村田 主に、TBSテレビにおける電波宣伝を担当しています。宣伝幹事の松竹様、パブリシティ(※自社の製品やサービス、取り組みに関する情報をメディアに提供し、報道というかたちで取り上げてもらうPR手法)担当のマンハッタンピープル様と密に連携しながら、TBSの情報番組やバラエティ番組へのキャスト出演のブッキング、および番組スタッフとの調整が主な業務です。

電波を通じて一人でも多くの方に作品の魅力を届けるためには、まずは番組を制作している皆さんに「この作品を応援したい、取り上げたい」と思ってもらうことが欠かせません。そのため、可能な限り直接会って、私たちがどのような思いでこの作品に向き合っているのか、その熱量をお伝えすることを大切にしました。その結果、大変ありがたいことに多くの番組で紹介していただくことができ、いよいよ公開初日を迎えます。

また、製作委員会ではターゲット選定やビジュアルの方向性、キャッチコピーといったクリエイティブや宣伝企画に関しても、役割を超えて意見交換ができる環境でしたので、そうした場でも積極的に発信するよう心掛けていました。

劇場アニメ『パリに咲くエトワール』場面写真

今回、TBSチームにおいてどんな挑戦がありましたか?

村田 本作は「バレエ」が作品の中で大きな要素を担っており、バレエシーンもとても本格的に制作されています。そこでTBSチームの取り組みとして、日本を代表するバレエダンサー・熊川哲也さんが総監督を務める「K-BALLET TOKYO」さんにご協力いただき、コラボ施策を展開させていただきました。

具体的には、プロのバレエダンサーの皆さまに本作のバレエシーンなどについて語っていただく座談会の様子や、緑黄色社会の皆さまに書き下ろしていただいた主題歌「風に乗る」をバレエで振り付けしていただいた動画を公開したり、宮尾俊太郎さんにご登壇いただいてバレエファンの皆さまに向けた限定試写会を実施したりと、バレエ好きの皆さまにダイレクトに作品の情報が届くことを目指しました。

劇場アニメ『パリに咲くエトワール』場面写真

また、映画では公開前に作品を紹介する特別番組を制作することが多いのですが、今回はオリジナル作品ですので、せっかくであれば何かご視聴いただくフックを作りたいということで、すでに多くの視聴者を抱えている番組とコラボレーションする形で、『日曜日の初耳学』と『パリに咲くエトワール』のコラボ番組、『初耳学特別編【緑黄色社会&映画舞台挨拶】カリスマの気になる現場突入リモート中継』を制作しました(※3月放送)。

番組内では主題歌「風に乗る」を提供してくださった緑黄色社会さんのリハーサル現場や、2月26日(木)に行われた完成披露試写会の現場を、番組MCの林修さん、大政絢さんたちがいらっしゃるスタジオとつないで、リモートインタビューをしていただきました。

私自身、普段から見ている大好きな番組と、こういった取り組みが実現したことは大変嬉しかったですし、委員会の各社様からも良いリアクションをいただきました。

劇場アニメ『パリに咲くエトワール』場面写真

TBSアニメとして、この作品にどんな思いを込めているのでしょうか。

村田 私は企画の立ち上げ時には、まだ作品チームに参加していませんでしたが、TBSアニメとしてこれまでオリジナルの劇場作品にほぼチャレンジしてこなかった中で、『パリに咲くエトワール』は今後のさまざまな可能性を模索する、一つの大きな挑戦だと聞いていますし、現場でもそれを実感しています。

アニメ事業部としての挑戦に、そして何よりこのすてきな作品に関わらせていただけることは、とても嬉しいです。

劇場アニメ『パリに咲くエトワール』台本

「私はここにいる 私を生きていく」という歌詞に込められた力強いメッセージ

試写会での反響はいかがですか?

村田 試写会を通じて、SNSなどでも皆さまからとてもすてきな反響をいただいていますし、現場に立ち会わせていただくと、それを直に受け取ることができます。

印象的だったのは、3月3日(火)に、日本女子体育大学さんで開催された「公開直前“春休み”特別試写会」でした。まさに「夢」や「将来」というものを間近に感じているであろう学生の皆さまに向けて、當真あみさん、嵐莉菜さんのトークステージが行われ、学生の皆さまからの質問に答えるコーナーがありました。當真さん、嵐さんからの回答がどれも等身大で真摯なもので、まさに作中のフジコと千鶴がそこにいるかのようでした。学生の皆さんも、おふたりからのメッセージに強く背中を押されていたのが印象的です。

その後の緑黄色社会さんのサプライズ登壇では、まさに割れんばかりの大歓声が起き、特別バージョンでの主題歌「風に乗る」生歌唱での、「私はここにいる 私を生きていく」という力強いメッセージに、私も涙が出そうになりました。

劇場アニメ『パリに咲くエトワール』場面写真

映画を楽しみにしている皆さまに向けて、メッセージをお願いします。

村田 物語の舞台である20世紀初頭は、日本では女性の選択肢が限られた時代。画家を目指すフジコは結婚して家庭に入ることを望まれたり、バレエに心ひかれる千鶴は“なぎなた”の名手として家を継ぐことが当然とされたり…。当時、女性が夢を語ることは、寝言のようなものとして流されていたのだと思います。そんな中で、フジコと千鶴は初めてお互いの夢を「叶えるための夢」として受け取り合うことができた、世界でたった一人の存在だったのかなと感じました。そういう存在って、本当に貴重だと思います。

劇場アニメ『パリに咲くエトワール』場面写真

私は学生時代に芸人を目指してスクールに通っていたのですが、劇中のフジコと千鶴を見て、同じく芸人を目指していた当時の大親友を思い出しました。「芸人になりたい!」なんて、家族や大学の友達からは、「笑笑笑」といった雰囲気で見られていたと思いますが、目指している私たちはいたって真剣で、毎日「どんなネタならウケるのか?」といった戦略会議をしていました。お互いに何の根拠もないけれど、それぞれの夢を叶えられると信じていたから、真剣に相談しあうことができた。そういう存在が世界に一人いてくれるか、いてくれないか、それだけで人生は大きく変わると思います。

『パリに咲くエトワール』は、見る方によってそれぞれ違うものを受け取ることができる作品だと感じます。今、夢を追いかけている方も、まだ夢に出会っていない方も、かつて夢を追いかけていた方も…「夢」というと大層なものに聞こえるかもしれませんが、一歩踏み出したその先に、まだ見ぬ世界があるものかもしれない、というワクワクを持って帰っていただけるのではないかと思います。

夢見るふたりの少女とともに、100年前の「華の都」でお待ちしています!

劇場アニメ『パリに咲くエトワール』場面写真

面白い仕掛けを目指す!アニメの宣伝業務の魅力とは

ところで、村田さんは2025年の9月にキャリア入社されましたが、どんな経緯があったのでしょうか。

村田 新卒で人事コンサルティングの営業職、2社目でウェブプロモーションのプランナーと営業職を兼任する業務に従事し、3社目である前職ではエイベックス・ピクチャーズでアニメや映画の宣伝業務を担当していました。

もともと漫画やアニメが好きで、大学の卒業論文は、ジェンダー論から見た『美少女戦士セーラームーン』をテーマに、女性ヒロインの変遷についてまとめました。本や漫画を読めるようになる前の幼少期から接することができるアニメが、人の考え方や世の中に与える影響はとても大きいのではないかと思い、漠然とアニメに関わる仕事は面白そうだなと感じていました。

2社目の会社でエイベックスの方とお仕事する機会があり、アニメの領域で人を募集していると聞きました。「アニメの仕事がしてみたい!」と応募したのをきっかけに、そこから約10年間、エイベックス・ピクチャーズで、TVアニメ作品、劇場アニメ作品、2.5次元舞台、さまざまな作品の宣伝に関わらせていただきました。

宣伝を通じて、より作品を世の中に伝えていくにはどんな手法があるのかを考える中で、転機となったのは、とある作品の放送前プロモーションを通じて、テレビ局のインフラが持つ、圧倒的なブランド力とその活用可能性を目の当たりにしたことでした。「テレビ局という場所でなら、これまで見たことがないような面白い宣伝を仕掛けることができるかもしれない」と感じるようになりました。

ただ通常、TVアニメの宣伝は、製作委員会の中で「宣伝幹事」といって、宣伝を中心となって担う会社が主体となって行われており、テレビ局が宣伝幹事を行う場合も、外部の宣伝会社さんに依頼をしていたりと、宣伝幹事を会社内部で担っているイメージがありませんでした。

そんな中、たまたまTBSが「アニメの宣伝プロデューサー」を募集しているのを見つけました。テレビ局でアニメ宣伝のピンポイントな求人を私が見たのは初めてだったので、求人ページをのぞいたら「これからのTBSアニメはきっと面白いことになります!」と書いてあって。私も「面白いことになりそう…!」と思って、そのまま応募しました。

アニメの宣伝プロデューサーとは、具体的にどんな業務を行っているのでしょうか。

村田 担当する作品が決まったら、まずは作品の強みやターゲット層などを考慮し、その作品をどのように打ち出していくのか、宣伝コンセプトとプランを立てていきます。

それを制作プロデューサー、製作委員会各社や監督、原作者など関係者の方たちにご提案をして、宣伝として向かう方向性をすり合わせます。

その後、宣伝としての目指すゴールに到達するために、どんなタイムラインで何をしていくのか、スケジュールを決めます。どこでどんなビジュアルやPV、新規情報を出していくのか、パブリシティはどんなところを狙っていくのか、どんな宣伝施策や宣伝タイアップを行っていくのか、SNSはどんな戦略で運用していくのか…状況に応じて、都度ブラッシュアップしながら考え、進めていきます。

TBSテレビ村田奈津実

これまでのキャリアで、特に転機になった作品を教えてください。

村田 前職で宣伝アシスタントとして関わった、とあるオリジナルアニメです。「作品がヒットすると、こんな風に反響があるんだ!」と強く印象に残っています。

当時、アニメの宣伝業務に携わるようになって2年目くらいでしたが、一番最初に脚本を読んだときに面白すぎて鳥肌が立ち、その足で「何でもいいのでこの宣伝に関わりたいです!」と上司に伝えに行きました。

私の担当業務はパブリシティを獲得することとSNSの運用でしたが、原作がない作品なので各媒体の皆さまも「どれくらい人気が出る作品なのか」、判断が難しいところがあります。そのため、各媒体さんに作品の魅力を伝えてファン作りをするところから始めていきました。その中で「めちゃくちゃ面白いですね」と応援してくれた媒体さんでは、オリジナルアニメでは異例の放送開始翌月に表紙を飾らせていただくなど、大きく打ち出していただくことができました。

ほかにも、当時は横断的なSNS運用をしているアニメ作品はまだ少なかったですが、Instagram、Facebook、Twitter(現X)を手掛けていました。この作品を通して得られた経験は、今の業務にも生きていると感じています。

TBSのアニメ事業部にはどんな印象がありますか?

村田 TBSアニメをどう盛り上げていくかを前向きに考えている、すてきな方が多いなと思います。現状はまだアニメ事業部の宣伝班が立ち上がったばかりなので、部のメンバーとしては制作プロデューサー陣がほとんどなのですが、アニメ業界のさまざまな会社からここ2年以内に転職してきた方が多く、さまざまなバックグラウンドを持っているので、話している中でいろいろ勉強させていただけることがとても多いです。

今後、アニメ事業部が制作した作品のヒットに、宣伝として少しでも貢献できるように、日々精進していきたいと思っています。

最後に、村田さんのような、アニメの宣伝の仕事を目指す就活生に向けて、メッセージをお願いします。

村田 アニメ作品は、さまざまなクリエイター様が心血を注いで、長い年月をかけて創り上げられます。宣伝担当として、そのとても大切な作品を世の中にお届けする部分を担わせていただくのはプレッシャーもありますが、とても面白いです。日々試行錯誤ではありますが…!

良くも悪くも反響を直に感じられることも、魅力の一つだと思います。大きな反響が得られると、やりがいもひとしおです。

この仕事を目指すなら、たくさんの作品を見たり、宣伝に触れたりすることももちろん大切ですが、比較的自由に時間を使える学生のうちに、自分の好きなことを追求したり、好きなものに没頭しておくことも大事だと思います。将来、その好きなものが何か面白い宣伝企画につながるかもしれませんし、今のうちにいろいろなものにアンテナを立てて、その中で興味があるものを深掘りしておくと、きっといつか役に立つと思います。

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TBSテレビ村田奈津実

村田奈津実
エイベックス・ピクチャーズでのアニメや映画の宣伝業務を経て、2025年TBSテレビ入社。アニメ映画ビジネス局 アニメ事業部所属。現在は劇場アニメ『パリに咲くエトワール』(2026年)や今後放送予定のアニメ作品の宣伝業務に携わっている。

『パリに咲くエトワール』©「パリに咲くエトワール」製作委員会 

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