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TBS篠原梨菜アナ、『ニューイヤー駅伝』で“タスキに込めた選手の思い”を、『THE TIME,』早朝グルメで“リアルなおいしさ”を伝えたい…中継リポートのこだわりを語る

TBSの朝の情報番組『THE TIME,』(毎週月~金曜、あさ5時20分~8時)は年末年始も毎日放送。2025年12月29日(月)~2026年1月2日(金)に『THE TIME, 年末年始も毎日“あなたと、とことん”スペシャル』と題し、豪華企画満載でお送りします。
さらに2026年1月1日(木・祝)は、特別編成でスタート。あさ6時~7時30分に『THE TIME, 年末年始も毎日“あなたと、とことん”スペシャル』を放送、あさ8時30分から第70回記念大会を迎える『ニューイヤー駅伝2026』を生中継します。
これらの番組に携わるのは、2019年入社の篠原梨菜アナウンサー。『THE TIME,』の「早朝グルメ」コーナーで中継先から食事リポートする姿が話題に。また『ニューイヤー駅伝2026』では中継所リポートを担当します。
そんな篠原アナウンサーに、出演番組の裏話や、まもなく放送する『ニューイヤー駅伝2026』への意気込みについて話を聞きました。
「早朝グルメ」は最長2分!緊張感のある生中継の裏側
まずは、『THE TIME,』で「早朝グルメ」コーナーが始まったきっかけを教えてください。
篠原 実は、2021年の番組開始当初はグルメコーナーではありませんでした。放送中の時間帯に活動している場所に赴く中継コーナーとして、地震や事件など有事の際に中継先から情報を伝えられるようにと設けられ、私がリポーターを担当することになりました。
はじめはイルミネーションなど、食に関係のない中継も行っていましたが、私がラーメンやそば、おにぎりなどを食べた回の反響が非常に大きかったため、次第に現在の「早朝グルメ」コーナーへと発展していきました。

日々、どんな流れで放送に至っているのでしょうか。
篠原 現在は、月曜から水曜の3日間を担当しています。前日は最後に食事をとるのが午後2時ごろで、午後6時には就寝します。その後、午前1時に起床し、会社で身支度や準備をしてから、みんなで車で現地に向かいます。中継班はディレクターさん、カメラマンさんと3人です。
現地でお店の方との打ち合わせやリハーサルを経て、午前5時台と5時55分ごろの2回、中継を行います。実際に食事する5時55分ごろの中継時間は、最長で1回2分。生放送番組なので、コーナーが始まるまで正確な尺がわかりません。スタジオに映像を戻す終わりの時間が決まっているので、毎回ハラハラしながら臨んでいます。

お店はどのように選んでいますか?
篠原 基本的にはディレクターさんが選んでいます。午前5時台に営業しているお店はなかなかなく、候補を見つけるのがとても大変なので、番組関係者が各自で見つけたら共有してくれています。また、私の場合はラーメンが好きなので、SNSを通じてラーメン店の方やラーメン関係のライターさんに教えていただくこともあります。
朝からおいしそうに食事する姿も話題です。リポートのこだわりを教えてください。
篠原 リアルであることを大切にして、一口食べ終わってから時間が許す限り、味の感想を伝えるように心掛けています。しっかり味を判断できる量を食べてからお伝えすることで、視聴者の方に信頼していただけるのではないでしょうか。そして中継が終わった後に、必ず食べきっています。
ちなみに元々、朝はたくさん食べる方ではありませんでしたが、このコーナーが始まってから、どの時間帯でも食べられるタイプだとわかりました。

特に印象に残っている中継はありますか。
篠原 中古タイヤ店の駐車場の一角に、うどん・ピザなどの食べ物を扱う自動販売機が90台ほど並ぶ、珍しいスポットから中継する回がありました。しかし当日到着してみると人気のあまり、ほぼ全て売り切れていたんです。朝5時で商品の補充をお願いすることもできず、「売り切れています!」とありのままをリポートしました。早朝ならではのハプニングとして、とても記憶に残っています。
そのスポットには後日、ありがたいことに中継に合わせて商品を補充いただけることになり、再び訪問。無事に自動販売機から熱々の天ぷらうどんを買い、リポートすることができました。
ほかにも、中継時間が短いので料理の完成が間に合わなかったり…いろいろなことがあったので、多少のことでは動じなくなりました。トラブルは避けなければなりませんが、何があっても「生中継だから」と受け止めるようにしています。100回のうち99回うまくいっても、1回は予期しないことが起こりますが、それでこそ生中継している意味、醍醐味があると考えています。
視聴者の方や、周囲からの反響はいかがですか?
篠原 中継で街に出ることが多いので話しかけていただいたり、手紙をいただくこともあり、とても嬉しいです。ご褒美をもらった気分になります。
年末年始の平日は、『THE TIME, 年末年始も毎日“あなたと、とことん”スペシャル』が放送されますね。
篠原 はい。2025年12月29日(月)から2026年1月2日(金)まで年末年始も毎日、放送があります。『第67回 輝く!日本レコード大賞』の裏側など、特別な企画が満載です。普段、お仕事などで見られない方も、この機会にぜひご覧ください。
元日は、総合司会の安住紳一郎アナウンサーがヘリコプターに乗り、富士山上空から初日の出を実況中継するスペシャルな企画を予定しています。ぜひ、ご期待ください。

選手の思いをタスキでつなぐ…駅伝の持つドラマ性に感動
『ニューイヤー駅伝』では、中継所リポートを担当していますが、どのようなきっかけで担当することになったのでしょうか。
篠原 TBSアナウンサーは情報番組や報道はもちろん、バラエティやスポーツ、ラジオと幅広い番組に関わることができます。入社前は情報番組中心に活動するのかなと漠然と思っていましたが、経験のない分野にも挑戦したいという思いからスポーツも担当させてもらえるようになりました。
転機は2022年、『クイーンズ駅伝』の「中継所実況」に挑戦させていただいたことです(※駅伝中継は、メイン実況・移動車実況・中継所実況に分かれてアナウンサーが担当)。2021年に先輩の日比麻音子アナウンサーが中継所実況に挑戦したのに続き、私も翌年、佐々木舞音アナウンサーと一緒に初挑戦しました。
スポーツに詳しくなかったのですが、中継所実況を経験して見方が変わりました。選手たちがどのような思いで準備して大会に臨んでいるのかを実際に知り、またレース展開を少しずつ理解できるようになり、スポーツへの関心がとても高まりました。
ちなみに、スポーツ局のスタッフから「せっかくだから『早朝グルメ』のようなリポートを入れよう」と提案され、2023年の『ニューイヤー駅伝』から、中継で食事リポートをするようになりました。これまでに群馬名物の鳥めし弁当、だるま弁当、焼きまんじゅうをいただきました。会社の皆さんが、私の「早朝グルメ」リポーターとしての仕事を大事に考えていてくれるんだな、と大変ありがたく思っています。


『ニューイヤー駅伝』に向けて、具体的にどんな準備をしていますか?
篠原 駅伝の中継に向けて、アナウンサーチームの準備としてはまず取材です。取材では常に「視聴者の方がレース展開の中で、選手の何を知りたいか」を意識し、より深くレースを見ていただくために、選手のコンディションなどもお伝えできるように心がけています。
特に注目選手の場合、世界的な大会に出場した後であれば、疲労の状態、いつごろから駅伝に向けて本格的な練習を始めたのかなど、詳しく伺うようにしています。
取材で得た情報は、チーム(歴史、設立年、目標順位など)や、選手一人ひとり(出場回数、自己ベスト記録、高校時代の成績など)の詳細をまとめた資料を作成し、徹底的にインプットします。
また、大会当日の準備として、ユニフォームを見たら即座にチーム名を認識できるよう、見たままを伝えるための準備もしています。

現場では、実況者やリポーターはどのように連携していますか。
篠原 常に皆で連絡を取り合うわけではないので、リハーサルや前日までの打ち合わせである程度の流れを把握します。
リハーサルは、本番を想定して全ての行程を通しで行い、実況方法や撮影する映像などを確認します。リポーターは放送中に移動があるため、本番と同じように中継所に集合してから移動する流れも実際に試します。
放送当日は、中継や実況の担当者間で直接会話をしなくても「情報という名のタスキ」を渡し合っているような感覚です。放送を確認して「なるほど。こういう展開だから、次はこういう情報が必要だな」と考えながら動いています。
駅伝の魅力を教えてください。
篠原 『ニューイヤー駅伝』や『クイーンズ駅伝』では、実業団の選手たちによるプロフェッショナルで高いレベルの走りはもちろん見どころですが、その走りにドラマ性があることも魅力です。
駅伝は、サッカーや野球など他の団体競技とは違って、タスキをつないでいくチーム競技です。一人ひとりが走るその先に、チームでつながるタスキがあるからこそ、感動的なドラマが生まれるのだと思います。
これまでの駅伝中継で、特に印象に残っていることは何でしょうか。
篠原 『ニューイヤー駅伝』で区間賞をとった選手へのインタビューです。その区間でトップに立った選手の生の言葉を、走り終えた直後、その瞬間に伝えるという仕事を担当できたことは、リポーターとして非常に光栄でした。
ただ、区間賞を獲得したからといって、手放しで喜ぶ方ばかりではありません。「本当は後続選手にもっと差をつけたかった」、「チームの優勝に貢献できたのだろうか」といった思いを抱えている選手もいます。そうした感情が伝わってくると、タスキに込められた強い思いが透けて見えるようで、内心、感極まってしまいます。
選手からあふれてくる真の言葉を引き出せるよう、「みんなが聞きたいことを、いかに自然な流れで選手から聞けるか」を常に意識しながら、今後も取り組んでいこうと思います。
2026年大会の見どころを教えてください。
篠原 『ニューイヤー駅伝』は、実業団のトップランナーたちの走りが地上波放送で見られる貴重な機会です。駅伝と聞くと「箱根駅伝」のイメージが強いかもしれませんが、 学生時代に箱根駅伝などで活躍した選手たちが、実業団の世界でどのように成長し、トップランナーとして戦っているのかを知ることもできます。世代を超えた日本を代表する選手たちの走りは、学生の駅伝とはまた違う面白さがあります。
元日に開催される「お祭り感」もありますし、日本陸上界のトップ選手たちの走りを楽しんでいただきたいです。
また1月1日も、もしかしたらどこかで朝の食リポをするかもしれませんので、早朝からTBSにチャンネルを合わせていただけたら、とてもうれしいです。

在京キー局女性アナで初めて、競馬実況に挑戦
駅伝だけでなく、2024年12月には在京キー局女性アナウンサーとして、初めて競馬実況に挑戦しました。
篠原 競馬との出会いは、入社1年目に配信の競馬予想番組を担当したのがきっかけです。その後、先輩から基本的な知識を教えてもらい、プライベートでもハマっていき、『S☆1』(毎週土曜、深夜0時~0時28分 日曜、深夜0時~0時58分)の競馬予想コーナー(土曜)も担当することになりました。
美しい馬の魅力と、レースまでに関わる多くの人の思いが集結していることにひかれたことに加え、馬のデータを見て分析することに面白さを感じています。
ラジオNIKKEIの藤原菜々花アナウンサーが競馬実況デビューされたことを知り、先輩からも勧められて、1年弱の研修を経て競馬実況を務めることになりました。
競馬実況の研修とは、どのようなものですか?
篠原 実際に競馬場に行って、研修します。実況者は、現地に行けないときはモニターを使いますが、基本的には双眼鏡を使って生で見て話すため、その訓練が必要です。
実際に競馬実況を担当してみて、いかがでしたか?
篠原 馬は人間より格段に速いため、すぐにポジションが変わり、あっという間に一周してしまいます。距離によりますが、スタートからゴールまでわずか1~2分程度。実況では全頭に触れますが、最後の直線コースになると残り30秒ほどしかなく、その攻防を伝えるのは、駅伝とは違った難しさがあります。
また、ありがたいことに日曜劇場『ザ・ロイヤルファミリー』の9話で実況担当として出演する機会をいただきました。まさかこんな形で競馬の仕事に関われると思っていなかったので、競馬ファンとしてとても光栄です。

今後も楽しみながら、多様なコンテンツ制作に挑戦したい
ところで、篠原さんはどんな経緯でアナウンサーになったのでしょうか。
篠原 元々、国語や英語といった教科が好きで、言葉を扱うアナウンサーには小さい頃から憧れを持っていました。しかし、テレビに出る人は自分とは別世界の人だと感じていたため、アナウンサーを目指して就職活動をすることは考えていませんでした。
転機となったのは、クイズ番組や情報番組に学生キャスターとして出演する機会を得たことです。そこでアナウンサーは、テレビを作るチームの一員であると気付きました。出演者ではあるものの、アナウンサーは制作の最後に視聴者に情報を届けるポジションだと知ったことで、「自分もチームの一員として、このような仕事をしてみたい」と思いました。
学生キャスターの仕事を機に、アナウンスの基礎を教えてくれる講座に通い、現役のアナウンサーの方から発声や発音、原稿読み、フリートークを教えていただきました。
ただ、自分にはアナウンサーの適性があるという自信がなかったので、運よくTBSに拾ってもらったという感覚がとても強いです。TBSの伸び伸びとした雰囲気や、個人を尊重する社風が魅力的で、自分に合いそうだと感じたことから、迷うことなく入社を決めました。
就職活動はいかがでしたか?
篠原 ベンチャー企業や外資企業のインターンシップや試験と並行して、アナウンサーの就職試験を受けました。就職活動でエントリーシートを書いたり、グループディスカッションの対策をしたりする中で、自分のキャリアへの考えを見つめることができたのはとても良い機会でした。
また、ベンチャーキャピタルでインターンをしていた経験も「TBS CROSS DIG with Bloomberg」(※以降、「TBS CROSS DIG」)の仕事で生きていると感じます。
これまでさまざまな挑戦をされていますが、特に印象に残っているお仕事は何ですか?
篠原 最近では「TBS CROSS DIG」で小説家の朝井リョウさんにインタビューしたことが印象に残っています。もともと読書が好きで、朝井さんの作品を読んで育った私にとって、1対1で1時間近くお話しできたことは、「いつか人生を振り返ったときに思い出すだろう」と確信できる、特別な体験でした。朝井さんの「言語化する力」に感服しました。
ほかにも、『報道1930』(BS-TBS 毎週月曜~金曜、よる7時30分~8時54分)や『JNNニュース』を担当していますが、元々ニュースが好きなので楽しく取り組んでいます。特に『報道1930』では、「スタジオが取材現場になる」というコンセプト通り、専門家の方から直接お話を伺う機会が多く、とても勉強になります。
アナウンサーとして多岐にわたる業界で活躍する方々の言葉に直に触れられるのは、本当に恵まれていると感じます。
アナウンサーとして大切にしていることを教えてください。
篠原 アナウンサーはさまざまな部署の人と、多様なコンテンツ制作に携われる立場にいるので、いろいろな仕事に挑戦することを大事にしています。
元々一つのことに集中するより、いろいろなことをしたいタイプで、人生を日記にまとめるとしたら、後で読み返したときに「楽しかったな」と感じられる人生にしたいんです。地上波放送だけでなく、配信やイベントなどジャンルを問わず多様な活動に取り組みたいと思います。
また、アナウンサーは社員の中で表に出ることが多いので、私自身が楽しんで仕事をしている姿を見てもらうことで、TBSにもいいイメージを持っていただけるのではないかと思うんです。そのためにも、自分が心から楽しいと思える仕事に全力で取り組み、常に楽しむことを心がけています。
ご自身の今後の展望は?
篠原 TBSには出水麻衣アナウンサーのように働きながら大学院に進学した先輩もいるので、アナウンサーとしての「伝える力」に加え、もう一つ軸となる専門性を身に付けたいと思います。
企画立案やインタビューなど、コンテンツ制作にもより深く携わったり、TBSの一員として社外で広報大使のような役割を担ったり、といったことにもチャレンジしていきたいです。
それと、生放送での長時間対談など、地上波では前例のない「誰も見たことがない番組」を作ってみたいです。地上波の強みは、他のメディアと比べて幅広い層からの反響があることです。「早朝グルメ」コーナーも多様な属性の方に届いていて、テレビの影響力を感じています。今後はそのテレビの強みを生かした挑戦をしたいです。
最後に、就活生に向けてメッセージをお願いします。
篠原 私が尊敬する竹下隆一郎さん(※2024年より「TBS CROSS DIG」チーフコンテンツオフィサーを務める)が常々おっしゃるように、これからはコンテンツの時代です。TBSならコンテンツ制作だけでなく、それを使ったビジネスにも携わることができるので、コンテンツに関わりたい人にはとても良い環境です。
従来通りのテレビの仕事をしたい人だけでなく、これからのテレビ作りに挑戦したい、あるいは「テレビはもっとこうあるべきだ」という考えがある人は、ぜひ積極的に飛び込んできてください。
また、学生時代は自分の志望業界以外の方とも積極的に会話して、人間関係を築いておくことをおすすめします。私が学生時代に親しくなった友人たちは、今も視野を広げてくれる大切な存在です。それは学生のうちしかできないことだと思うので、そうした友人や先輩、後輩を大事にしてほしいです。
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篠原梨菜
2019年TBSテレビ入社。
現在は『THE TIME,』(月~水曜)、BS-TBS『報道1930』、『JNNニュース』などに出演。
スポーツでは、『クイーンズ駅伝』中継所実況、『ニューイヤー駅伝』中継所リポート、『東京2025世界陸上』女子20km競歩を実況。藤井菜々子選手の日本女子競歩初銅メダル獲得を伝えた。『S☆1』の競馬予想コーナーを担当し、TBSラジオ『爆笑問題の日曜サンデー』で競馬実況デビュー。
「TBS CROSS DIG with Bloomberg」ではMCや企画を務める。担当するシリーズ「Human Insight」の動画は最多で170万回再生を突破(※2025年12月時点)。
