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舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』舞台手話通訳付き公演

舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』では、聴覚に障がいのある方にもお楽しみいただけるよう、2025年5月に2回、舞台手話通訳付き公演を実施。両公演とも舞台手話通訳対象席は完売しました。
【対象公演】
5月17日(土)12時15分
5月24日(土)12時15分
舞台手話通訳者:田中結夏(1幕)、江副悟史(2幕)
手話監修:森田明
コーディネート:株式会社momocan、となりのきのこ、株式会社エンタメロード
サポート内容について
ロビーや客席で手話通訳スタッフがご案内をサポートし、場内アナウンスの際も手話通訳を実施。字幕機器の貸し出しスペースも設け、筆談ボードやコミュニケーションボードも追加設置して対応しました。
本番中は、舞台に向かって左側のエリアに舞台手話通訳対象席を設け、客席エリアに設置した台の上で舞台手話通訳を行いました。通訳者はキャストが着用している衣裳と同じグリフィンドールのローブを着用。緻密に構成された舞台手話通訳で、聴覚に障がいのあるお客様にも舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』の世界を臨場感たっぷりに堪能していただきました。
また、舞台手話通訳対象席の一部に設けた“抱っこスピーカー対象席”では、持参いただいたスピーカーを音響機器と接続し、音の振動も楽しんでいただきました。
カーテンコールでは、ハリー・ポッター役の吉沢悠が手話で通訳者を紹介。そして、最後は出演者全員で、手話で挨拶しました。




舞台手話通訳について
本作の舞台手話通訳付き公演の実施が決まったのは2024年7月。その後舞台手話通訳を務める田中結夏さんと江副悟史さん、手話監修の森田明さんと打ち合わせを重ね、台本をお渡ししてから約3か月の準備・稽古を経て、本番を迎えました。
舞台手話通訳は、講演会等の通常の手話通訳とは表現方法が異なり、登場人物の性格や雰囲気、演技を手話通訳に反映させることが求められます。ただ台詞を手話で表すだけだと伝わらないため、観客が感情移入できるような表現の工夫が必要なのです。すべての台詞を訳すと時間が足りない場合は、複数人のシーンにおいて、その中の1人のセリフの通訳に絞りながら、話している相手のセリフを受けているようなリアクション等も取り入れる「ミラー通訳」という手法を使うことも。
また、役の名前についても、指文字で表現するだけではなく、役によってはサインネーム(手話で表現するあだ名)を決めています。例えば、ハリー・ポッターは額の傷を表すような仕草がサインネームです。主要な人物のサインネームを決めるのにも一苦労でした。さらに本作では、魔法や、架空の物の名前が多数登場するため、それらの表現をどのようにするかなど、検討を重ねました。5月に入ってからは通し稽古を何度も行い、本番に備えました。

観劇したお客様からは、「臨場感があって楽しめた」「字幕機器だけだと感情を追えないので、舞台手話通訳のおかげで感情移入できた」などの感想が寄せられました。
今後も、舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』は多くのお客様に楽しんでいただけますよう、鑑賞サポートに取り組んでまいります。
【舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』公式Webサイト】
https://www.harrypotter-stage.jp