• CHALLENGE REPORT

メタバースで変わるドラマ制作のワークフロー 日曜劇場『ラストマンー全盲の捜査官ー』での活用事例

まったく新しい「メタバース」の使い方

近年、撮影前にシミュレーションをしてイメージを共有するワークフローは「プリビズ(Pre Visualization)」と呼ばれ、ハリウッドでは盛んに行われていますが、日本の制作フローの中ではいまだ一般的とは言えません。

そこで、メタバースの「インターネット上の3DCG空間」を「大勢の人が同じ空間で過ごすことができる」特徴に着目しました。 
チーム全体でイメージを共有する「ツール」としてメタバースを使用することで、よりクリエイティブなディスカッションを深めていくことが狙いです。 
 

ドラマ監督の想いが形に

今回は、日曜劇場『ラストマンー全盲の捜査官ー』のスタジオセットをメタバース空間に再現しました。これにより、実物のセットがスタジオに建つ前に、セットの空間イメージについて美術デザイナーがプレゼンテーションすることを可能にしました。
かねてよりプリビズの重要性について考えていた監督と、メタバースの可能性について検証していた開発陣がタッグを組んで今回の試みを実現することができました。

監督、ディレクター、撮影監督、美術デザイナー、それぞれの目線で空間を動き回り意見を出し合い、イメージが共有されていく光景が印象的でした。

 

会議室に演出・技術の主要スタッフが集結

VRゴーグルを付けてメタバース空間へ

 

カメラツールを使い撮影プランを共有

 

 

プリビズがドラマ制作にもたらすもの

将来的には、より本物に近い質感のセットを再現することでライティングシミュレーションを可能にし、素材の質感や陰影などについても事前に検証できることを目指しています。

また、美術セットが建つ前にカメラワークや照明プランをイメージする力を養う意味では、セットに不慣れな若手ディレクターのスキル向上にも役立てていけると考えています。

 

最新技術を組み合わせて、さらにリアルなシミュレーションを!

さらに今回、ソニー株式会社から、可搬型ボリュメトリックシステムと呼ばれる、動きのある人物などを 3D でまるごとキャプチャする技術 (※1)と、そのデータをメタバース空間に表示させる技術の提供を受け、これらを取り入れることにもチャレンジしました。キャストを想定した3次元の収録データを作成してメタバース空間の中で再生することで、アクションを伴った3Dアバターによる検証が可能です。
撮影しながらリアルタイムに空間に出現できるようになれば、監督からの指示に応じて空間内を動き回るなど、よりリアルな代役リハーサルを行うことができると考えています。
 


TBSが誇るドラマの制作現場を支える新しい技術、今後の活躍にご注目ください。

(※1) Portable Volumetric System: Reality into the Metaverse | CES 2023 | Sony Official
 

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