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BS-TBSのドキュメンタリー番組が第77回文化庁芸術祭のテレビ・ドキュメンタリー部門で優秀賞を受賞

文化庁芸術祭のテレビ・ドキュメンタリー部門で優秀賞
BS-TBSで2022年8月14日(日)に放送したドキュメンタリー番組『通信簿の少女を探して~小さな引き揚げ者 戦後77年あなたは今~』が、令和4年度(第77回)文化庁芸術祭のテレビ・ドキュメンタリー部門で優秀賞を受賞した。
今回、テレビ・ドキュメンタリー部門で優秀賞を受賞した本番組は、ディレクターがたまたま古書に挟まっていた一枚の通信簿に出会った事が発端となり制作された。それは昭和23年、別府市の小学6年生の少女のものであり、内容はとても興味深いものだった。通信簿の持ち主の少女を探す旅が始まる。それは歴史に埋もれた日本の戦後史をひも解く旅の始まりでもあった…。
番組では山田洋次監督、歌手の加藤登紀子さん、ジャズピアニスト秋吉敏子さんに「引き揚げ」体験のインタビューも敢行している。また、旅人として三浦透子が出演、仲村トオルがナレーションを担当した。もう一つの日本の戦後史を浮き彫りにするドキュメンタリー番組である。
プロデューサー・初瀬川啓太(BS-TBSコンテンツ編成局編成制作センター編成部)コメント
私の父も大陸からの引き揚げ者でした。生前、その詳細を聞くことはありませんでしたが、もしかしたら、この“通信簿の少女”のように壮絶な思いをして日本に戻り、戦後を送ったのかもしれません。たった一枚の通信簿から導き出された女性の人生は、私たちの身の周りにまだまだ語られずにいる物語があることを教えてくれました。
制作のなか、あまりにも手がかりが掴めず、放送が危ぶまれる時期もありましたが、先の見えない取材を粘り強く、そして丁寧に交渉を続けた匂坂ディレクターの強い想いが、この作品を結実させました。
ご協力いただきました、通信簿の少女、ご家族、皆様に心より感謝申し上げます。
企画・演出 匂坂緑里(TBSスパークル)コメント
ゴールの見えない旅でした。けれど何かに導かれた6年でした。
しかし、雲をつかむような“通信簿の少女”探しの旅は、ひとたび動き始めると多くの方々が伴走を始めました。別府の地方新聞社、高齢者の集う喫茶店、毎日共同温泉にやってくる地元の方々…同じ湯舟につかり話をすると、みな身を乗り出して捜索隊となってくれるのです。なぜでしょう? 気づくと少女を追っていたのは、私だけではなくなっていました。
やがて、少女探しの旅は思いがけない展開と結末をみます。図らずも浮かび上がった「引き揚げ」という重い歴史。一人の少女が見せてくれたのは、日本の、市民の、もう一つの戦中戦後史でした。この旅が終わった今、通信簿の少女がディレクターである私に問いかけている使命とは何だろう? と考えています。
通信簿の少女に、そのご家族に、そして別府の方々に、ご協力くださったすべての皆様に感謝申し上げます。
受賞作品 番組概要
■タイトル:『通信簿の少女を探して~小さな引き揚げ者 戦後77年あなたは今~』
■初回放送:2022年8月14日(日)よる9:00~10:54
■受賞記念再放送:2023年2月18日(土)午後1:00~2:54
■出演者:旅人 三浦透子(俳優・歌手)
■ナレーション: 仲村トオル
VTR出演 山田洋次(映画監督)、加藤登紀子(歌手)、秋吉敏子(ジャズピアニスト)
[スタッフ]
制作プロデューサー 初瀬川啓太(BS-TBS)
プロデューサー 尾賀達朗(TBSスパークル)
企画・演出: 匂坂緑里(TBSスパークル)
制作 BS-TBS TBSスパークル
[番組ホームページ]https://bs.tbs.co.jp/news/tsushinbonosyojo/