- CHALLENGE REPORT
TBS×ソニー共同実験 「ボリュメトリックキャプチャ」で相方を転送! リモート漫才から見えた新しい表現のかたち
「ボリュメトリックキャプチャ」とは
今回ご紹介する「ボリュメトリックキャプチャ」とは、数十台以上のカメラを使用し、人物の立体的な動きや場所の空間情報を映像としてキャプチャする技術。
ひとつひとつのカメラから得られる2D映像を集約することで、3D映像を再構成し、3Dモデルデータを生成。
再生しながらも自由に視点や質感などを変え、3DCGと合成することにより、被写体の色やライティングをリアルタイムに変化させる演出効果を可能としています。
このボリュメトリックキャプチャを使えば、離れた場所に存在する人物やものを“転送”したかの様に見せることが出来るのです。例えば、同一人物が東京のスタジオに生出演した数分後、大阪のスタジオにそのままワープして生出演するといった演出も可能となります。
TBS×ソニーの共同実験から「リモート漫才」への挑戦
『TBS Tech Design Lab』でも、テレビ番組で多く使用されているCG技術の知見を活かしつつ、新しい表現のかたちとして、何か出来ないか日々研究を重ねてきました。
そんな中、品川の本社に専用スタジオを構えるソニーグループ株式会社が実施した、ボリュメトリックライブを見たことがきっかけで、TBSからの熱いラブコールにより共同実験がスタート。
今年3月にTBSで行われた社内向けの配信イベントでは、品川・ソニーグループ本社と赤坂・TBS放送センターのスタジオに、コンビそれぞれが出演する形で、リアルタイム伝送での「漫才」に挑戦。2人が同じスタジオにいるかのようなリアルタイムでの掛け合いを披露しました。
ソニーミュージックアーティスツ所属の漫才コンビ「まじん」にご協力いただきました
周囲を80台以上のカメラに囲まれたクロマキーの空間から、相方の待つスタジオに伝送中
品川・ソニーグループ本社(2022年3月撮影時)
実際に合成された赤坂・TBSのスタジオ
ボリュメトリックキャプチャならではの演出
さらに、「通常の漫才では出来ない演出も入れてみたい」という思いから、事前の打ち合わせで大きな盛り上がりを見せた映像エフェクトが本番でも大活躍。
片方がツッコミを入れると同時にエフェクトで“消す”、動きに合わせて体が“発光する”など、デジタルエフェクト芸とも呼べる新たな笑いも生まれました。
普段の動きに合わせたエフェクト活かし、より迫力のある表現を演出
この技術を使えば、放送やイベントで展開したコンテンツデータを利用して、自宅に帰ってからも楽しめるようにするなど、テレビ局発のコンテンツをテレビ以外の場所でも楽しめるという大きな可能性を秘めています。
また、将来的には、見たままを再現できるようになり、空間そのものを伝送できる世界もそう遠くないところまで来ているようです。
「ボリュメトリックキャプチャ」を使って、どのようなコンテンツが生まれるのか、ぜひ今後の活動にご注目ください。