- CHALLENGE REPORT
TBSが海外戦略の新会社設立や新スタジオ建設などコンテンツ拡張戦略「EDGE」の推進プランを策定
VISION2030達成に向けたコンテンツ拡張戦略
「EDGE(=Expand Digital Global Experience)」を推進するプランを策定。
「EDGE」とは、5 月に発表した「TBS グループ VISION2030」の中核となる、コンテンツ価値の最大化を目指す拡張戦略で、「デジタル分野」「海外市場」「エクスペリエンス(ライブ&ライフスタイルなど体験するリアル事業)」の 3 分野を最重要領域としている。その「EDGE」戦略のうち、対「Global(海外市場)」として現在公表している主な施策は以下の通り。
グローバル・プラットフォームとのビジネス展開として、Netflix での配信(2021 年 10 月から地上波放送同日に世界配信している日曜劇場『日本沈没―希望のひと―』、2021 年 12 月から全世界独占配信予定のオリジナル恋愛リアリティ企画『未来日記』、2023 年に全世界独占配信予定のオリジナルドラマ『離婚しようよ』)や、Disney+では 2021 年 7 月期放送の日曜劇場『TOKYO MER~走る緊急救命室~』を 10 月から世界配信。他のグローバル・プラットフォームへのオリジナル・コンテンツ供給も複数進行中だ。
さらに 2022 年 1 月期放送の日曜劇場『DCU』は、イスラエルの Keshet International、カナダの FACET4 Media と共同開発・制作。また、韓国の CJ ENM と、ドラマやバラエティ、映画における共同開発・共同制作、そして音楽、演劇等、ライブエンタメでの協業などを行う戦略的パートナーシップ協定を締結するなど、グローバル・パートナーとのコンテンツ共同開発も進んでいる。
「EDGE」戦略を加速させる組織を新設
10 月 15 日付けで TBS ホールディングスに「EDGE 戦略推進本部」を新設。その下に、「デジタル&グローバル戦略推進室」「エクスペリエンス戦略推進室」を設置した。
「エクスペリエンス戦略推進室」は「赤坂エンタテインメント・シティ計画」の一環として、2022 年夏に開幕する舞台「ハリー・ポッターと呪いの子」を機に赤坂の街をリブランディングするなど、ライブエンタテインメント&ライフスタイル、つまり「体験する」事業の拡張戦略を担う。「デジタル&グローバル戦略推進室」はデジタル分野や海外市場、特にグローバル・プラットフォームに向けたコンテンツの拡張戦略を担い、その最初の取り組みが「海外戦略の新会社」を設立することになる。
制作予算300億円規模の「海外戦略の新会社」を設立
「海外戦略の新会社」は 2022 年 3 月に TBS ホールディングス 100%子会社として本格稼働を予定している。見据える相手は“世界"、見据える品質は“世界水準"。
“制作実働部隊を持たない" コンテンツ・プロデューサー&IP 管理集団で構成し、グローバル・プラットフォームの要求に応える、ドラマをはじめとしたハイスペックな「映像」コンテンツを企画開発、プロデュースする。さらに、グローバル・プラットフォームにとどまらず、映画、ライブエンタテインメント、ライセンス事業等、IP を核とするマルチユース展開を目指す。「海外戦略の新会社」は戦略の原資として、総額 300 億円規模のコンテンツ制作費予算を準備。これは 5月に公表した「TBS グループ 中期経営計画 2023」で掲げる 1,000 億円以上の成長投資の一環となる。この「海外戦略の新会社」を中核として、地上波の常識を超えた「コンテンツ」を起点とする「IP ポートフォリオ」へ挑戦する。
世界標準に対応する「新スタジオ」建設も
緑山スタジオ・シティに「EDGE」戦略推進のため建設する「新スタジオ」は、コンテンツ・スタジオとして日本最大級の約 300 坪を誇り、2023 年 3 月に竣工予定だ。
この「新スタジオ」は、TBS が生み出すコンテンツをグローバル展開するための新たな「インフラ」となるため、その挑戦を担う若手をグループ内から選抜しプロジェクトチームを編成して、“世界標準のスペック"に向けて検討、4K HDR 等の高精細映像や 5.1サラウンドサウンドに対応できるスタジオ機能を実現する。また SDGs への取り組みとして、屋上に太陽光発電パネルを設置。緑山スタジオ・シティは 21 年4月から実質再生可能エネルギー100%化を達成しているが、その動きを重層的に推進する。そして「海外戦略の新会社」の本格稼働後は、さらなるスタジオの増設も計画している。
「(株)マンガボックス」の連結子会社化
TBS ホールディングスの子会社であり、(株)ディー・エヌ・エー(DeNA)とともに運営する「(株)マンガボックス」は、2021 年度の業績が好調に推移している上、TBS グループ挙げての「EDGE」戦略推進の観点において、オリジナル IP 創出企業として重要性が大きく向上している。
例えば、2021 年 4 月期放送の金曜ドラマ『リコカツ』は、TBS テレビでの地上波放送と「マンガボックス」でのコミカライズを同時に進行。また「マンガボックス」最大のヒット IP『にぶんのいち夫婦』を TBS スパークル制作で連続ドラマ化、5 月から Paravi で先行配信、6 月からテレビ東京にて地上波放送。さらに今後、TBS グループ内で多くの連携施策が計画。「IP ポートフォリオ」の起点となる「コンテンツの種」を「マンガボックス」が生み出す可能性がますます高まっているため、第 3 四半期から連結子会社化する。
「最高の“時"で、明日の世界をつくる。」TBS は、これらの挑戦を通じて、放送の枠を超え、あらゆる「最高の“時"」へ、コンテンツを無限に拡げる。