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TBSラジオ『コジ10 小島秀夫の「最高の10時にしよう」』制作陣が明かす誕生秘話

TBSラジオで放送中の『コジ10 小島秀夫の「最高の10時にしよう」』(毎週月曜よる10時~10時55分)が、2025年9月29日(月)に最終回を迎えます。

この番組は『メタルギア』シリーズ、『DEATH STRANDING』シリーズを手掛け、世界で活躍するゲームクリエイターの小島秀夫氏が「今、一番自由にしゃべるラジオ番組」として誕生。2024年10~12月に10分番組として放送後、2025年4月から約1時間に拡大して新たにスタートしました(※すべてPodcastでアーカイブ配信中)。

最終回を迎えるにあたり、番組プロデューサーの岩﨑友明(TBSラジオ)と、共に企画を担当した宮崎陽平(TBSテレビ)による対談を実施。番組の立ち上げ経緯や収録裏話などについて聞きました。さらに番組を楽しみにしてくれたリスナーに向け、小島監督からスペシャルメッセージが寄せられました。あわせてご紹介します。(※写真左から、宮崎陽平、岩﨑友明)

番組誕生のきっかけは、SNSでの小島監督とのやりとり

まずは、番組を立ち上げた経緯を教えてください。

小島秀夫監督、日比アナウンサー

宮崎 SNSをきっかけに小島秀夫監督ご本人とお話させていただくことになりまして、その中でコジマプロダクションさん(※小島監督設立のクリエイティブスタジオ、以下「コジプロ」と併用表記)のYouTube映像(※TBSとのコラボ)を撮影させていただいたり、僕がドラマ監督をしていた日曜劇場『アンチヒーロー』(2024年)、『御上先生』(2025年)の撮影現場の見学にお越しいただいてTBSアクトとコジプロさんの技術交流をさせていただいたり、ドラマ内に登場する美術品のグッズをお借りしたりして、がっつり“仕事”というより、その延長線上で日々刺激をいただいています。そのつながりで「ラジオ番組を作りませんか」と話にあがったのがきっかけです。

そもそも学生の頃、KONAMI在籍時代の小島監督のインターネットラジオ番組を聞いていたので「当時のような、“小島秀夫監督という日本のクリエイターの素顔”が分かるようなラジオ番組を地上波で作れないか」と思い、TBSラジオの同期の岩﨑くんに相談しました。

岩﨑 小島監督は、僕がプロデューサーを務める『アフター6ジャンクション2』(毎週月曜~木曜よる8時~10時 以下『アトロク2』)に過去2回ほど出演していただいたことがありました。「『アトロク2』のスタッフでラジオ番組を作れないか、とおっしゃっている」と宮崎くんから聞き、「あの小島監督が言ってくださっているなら!」と動き出しました。それが2024年3月頃。すでに4月の番組枠は決まっていたため、次の改編期の2024年10月を目指して動き始めました。

小島監督には企画概要を説明したり、「ラジオとはどういうものか」という話をしたりと打ち合わせを重ねて詳細を決めていきました。その後、『アトロク2』内の10分コーナーとして、2024年10月に番組を開始。宮崎くんに話をもらってから開始までとても早かったです。

宮崎 僕が相談した後、岩﨑くんが番組立ち上げに尽力してくれました。2024年10~12月のシーズン1にパートナーとして参加してくれた宇内梨沙さん(※元TBSアナウンサー)はゲームファンであり、僕たちの同期だったのでスムーズに進められましたね。

岩﨑 10分という限定した時間での地上波OAだったので、小島監督の過去作『メタルギアソリッド3』の「人生最高の10分間にしよう」という名ぜりふにちなんで『コジ10 小島秀夫の「最高の10分間にしよう」』という番組名で小規模にスタートしました。

宮崎 タイトルコールの文章は小島監督と一緒に作りました。ゲーム作品内で実際に名ぜりふを言っていた声優の井上喜久子さんを小島監督にご紹介いただき、タイトルコールをお願いしました。

『コジ10』10分時代の初回収録の様子
『コジ10』10分時代の初回収録の様子

おふたりは、もともと小島監督のファンでしたか?

宮崎 はい。小中学生の時に小島監督のゲームをプレイしていたので「青春時代のエンタメを作ってくれた神様」のような存在です。

小島監督とのSNSでの交流のきっかけは、僕が日曜劇場『日本沈没ー希望のひとー』(2021年)で監督デビューしたことでした。小島監督が僕の担当回についてSNSで感想をつぶやいてくださったのに対し、僕がすぐ返信して交流が始まりました。監督を務めた日曜劇場『VIVANT』(2023年)について投稿してくれたり、日曜劇場チーフ監督デビューとなった『御上先生』を撮影する前には「学園モノ」をどう作るべきかと悩みを話したり、オンエアが始まってからは感想を送ってくださったり…普通にお話しする中でいろいろなことを気付かせてくださる、昔も今も神様のようなありがたい方です。

それと僕たちの入社と同じ2015年に、小島監督が独立してコジマプロダクションを立ち上げ、今まで歩んでこられたことに、勝手にシンパシーを感じています(笑)。同時期に世に放たれた僕たちが小島監督という存在をラジオを通して伝えることで、小島監督のクリエイティブに関する考え方を知ってもらい、「ものづくりって面白そう」と思ってくれる方が一人でも増えないかという、ちょっとした“一方的な使命感”から番組を企画した気持ちもあります。

岩﨑 宮崎くんがいなかったら『コジ10』ができることは100%なかったので、ありがたいですね。僕はあまりゲームをしてこなかったので、宮崎くんに相談を受けてからPlayStation5 を買って『DEATH STRANDING』を一気にプレイしました。これに感動して、ぜひ一緒に番組を作りたいと思ったんです。

打ち合わせの様子

TBSラジオとTBSテレビの社員が共同で番組制作するのは珍しいことですか?

岩﨑 そうですね。ドラマのスピンオフとしてPodcast番組を作ることはありますが、ラジオ地上波の放送枠を設けて番組を立ち上げるのは、なかなかないと思います。

ですが社内調整は大変でした。ありがたいことに「TBSラジオで番組を持ちたい」と言ってくださる著名人の方は多いですし、ラジオはスタジオと出演者と少人数のスタッフがいれば番組を始めやすいことなどから、企画書の数はとても多いです。

そんな中で企画を通すのはなかなかハードルが高いことではありますが、『アトロク2』はカルチャー番組でゲームとの親和性も高く、リスナーの皆さんにも喜んでいただけるはず。そして世界的クリエイターである小島監督の名前がTBSラジオのタイムテーブルに載るのは放送局としても嬉しいことですし、一旦地上波番組として実績を作っておけば次につなげやすいかなと思ったので、『アトロク2』内の10分間でうまく編成することができました。実際に、TBSラジオの同僚も小島監督の番組が始まると知って驚いてくれました。

宮崎 それと番組のパートナーであるアナウンサーはTBSテレビの社員ですが、僕のようにドラマ制作部にいる人間がラジオ番組をずっと一緒に作り続けることは今までなかったと思うので、新しい試みだと思います。

岩﨑くんがラジオ側の調整をしてくれて、僕がコジプロさんに確認をしつつ、最終的にラジオのスタッフの皆さんと番組を構成しています。TBSテレビ、TBSラジオ、コジプロさん、3つの会社の枠を超えて1つの番組を進行しています。もちろん僕はラジオの専門的なことは分かりませんが、同期や社内外の皆さんのおかげでこういう新しい枠組みを生み出せることは発見でした。

自分の部署で全力を尽くすのは当然ですが、そこで得た交流や知識を活用して新しいことを探求できるはずだと思っていたので、まさにそれが実現できた形です。TBSグループの皆さんに、社外での貴重な出会いから得られる刺激を大切にし、社外クリエイターとの積極的なコラボレーションに挑戦してみることもおすすめしたいです。

収録の様子

番組のテーマはどのように決めたのでしょうか。

宮崎 小島監督は、ものづくりに携わる世界中のクリエイターには非常に著名な存在ですが、日本ではゲームファン以外で詳しく知る人がいないのが現状です。「SNSで見かけるけれど、どんな人か分からない」、「ちょっと怖そう?」といった印象を持たれることもありますが、実際は気さくで面白い関西人。他の番組では真面目な話を求められることが多い小島監督ですが、この番組では飾らない素の部分を引き出すことを意識しました。

岩﨑 そこで「小島監督が今一番自由にしゃべるラジオ番組」をテーマに掲げて作っていきました。時にはリスナーさんと電話をつないで相談に乗ったことも。フリートークから強引に恋愛の話に持って行くときもあるので、そういう話がお好きなんだと思います(笑)。

宮崎 僕自身、学生時代に関西の芸人さんの深夜ラジオを聞いて、人生を考えるきっかけを得たり、「大人ってこう考えているんだ」と知ることができたりした時代を通ってきたので、今の学生さんやリスナーさんたちにもそのような体験をしてほしいという思いもあります。ラジオはくだらない話もありながら、ハッとさせられることがあるんですよね。

岩﨑 特に小島監督はたわいない話の後、急に「人間とは」「人生とは」といった真理を突くような話をさらっとされるんです。その、人としての深みもリスナーの皆さんに届いていたら嬉しいですね。

社内調整を乗り越え、1時間番組として再出発

その後、2025年4月から『コジ10 小島秀夫の「最高の10時にしよう」』として地上波番組がスタートしたのは、どんな経緯があったのでしょうか。

岩﨑 2024年12月に一旦『アトロク2』内の番組が終了したものの、新しく1時間枠があるという情報を聞きつけたので、10分番組時代のPodcast再生数などを企画書にまとめて編成に出し、枠を勝ち取りました。この調整が一番苦労したと思います。

宮崎 実は岩﨑くんは10番組ぐらい掛け持ちしていて、2025年4月に『コジ10』を入れて新番組が2つ始まったんだよね。忙しい中、番組を立ち上げてくれたことに感謝しています。私事ですが、僕も『VIVANT』続編の準備があって4月から参加できるか微妙なところでしたが、無事番組が立ち上がりました。

岩﨑 小島監督とコジプロさんも「DEATH STRANDING WORLD STRAND TOUR 2」(※PlayStation5用ソフトウェア『DEATH STRANDING 2: ON THE BEACH』〈以下『デススト2』〉の発売を記念した世界ツアーのイベント)を控えたお忙しいタイミングでしたが、スケジュールの合間を縫い参加してくださって、なんとかやってこられました。

宮崎くんも忙しそうだけど、ちょこちょこ参加してくれたね。宮崎くんの笑い声のおかげで、良い感じの放送になっていると思います。

宮崎 ロケが終わるタイミングで、たまたまちょうどこの番組の収録が入ることが多かったのはラッキーでした(笑)。ドラマの地方ロケが終わってからラジオを収録して、また別のロケに行ったことも。小島監督もイベントで世界を飛び回っている中での収録、TBSラジオの皆さんも多くの番組を掛け持ちしながらでしたので、僕も苦ではなかったです。むしろ小島監督から刺激を受けられてリフレッシュしながら参加できました。

そしてパートナーは、宇内さんが退社したタイミングだったので、一年後輩の日比麻音子アナウンサーにバトンタッチして再スタートしました。ゲーム経験がほとんどない日比さんには負担でないか心配でしたが、先ほどお話しした通り、小島監督のトークとクリエイティブの心に触れてもらいたかったので、『コジ10』はそもそもゲームの話を主軸にしようと思っていなかったんです。ですのでゲームを知らないリスナーさんにとっては、ゲーム初心者の日比さんの存在が“入り口”になりました。特に『デススト2』の発売時期にシーズン2の放送期間が重なったのは、日比さんがその世界に入っていく様子も含めて良いタイミングだったのではないでしょうか。

お酒好きという切り口や映画や本にも興味があるので、小島監督との息も合い、より間口の広い番組になったと思います。小島監督も「ぜひ日比さんで」ということで、彼女のトークスキルにも感謝しています。

収録の様子

リスナーからのメールはどのように選んでいますか?

岩﨑 小島監督の話を広げられるかどうかを意識しながら選ぶことが多いです。時にはお話したい内容と若干違うかもしれませんが、新しい一面を引き出せるだろうと希望を持ちながら取り組んでいます。小島監督のキャラクターが前面に出ている番組なので、他の番組とは選び方も違うと思います。

キービジュアルにはどんなこだわりが?

『コジ10 小島秀夫の「最高の10時にしよう」』キービジュアル
『コジ10 小島秀夫の「最高の10時にしよう」』ロゴ

宮崎 TBSテレビ デザインセンターの種村博善さんと一緒に作り、小島監督にも監修していただいています。元になった写真は小島監督から提供いただきました。
ロゴは、小島監督作品に「A HIDEO KOJIMA GAME」と付いているので、それにならって「A HIDEO KOJIMA RADIO」と入れています。約1時間番組になるにあたり、「よる10時から」であることを示す時計の針を追加しました。

10分番組から約1時間番組になったので、苦労があったのでは?

宮崎 でも10分時代も結局、Podcast版では40分話していたので、そんなに苦労はなかったんですよね。今、約1時間になっても足りなくてどうするか毎回議論になっているくらいで(笑)。

岩﨑 僕がしゃべり手だったら、いきなり約1時間になるなんて不安になると思いますが、小島監督はおしゃべりがとても得意な方で、時間拡大の苦労はあまりなかったかもしれません。

そして音楽に非常に詳しいので毎回3曲選んでもらうようお願いしていましたが、初回からしゃべりすぎて今まで一度も3曲オンエアできたことがありません(笑)。

TBSラジオ岩﨑友明

収録中の印象的なエピソードを教えてください。

岩﨑 まずは『デススト2』発売イベントに潜入取材したことです。押井守さんや星野源さん、津田健次郎さんといった名だたる方々からコメントをいただけたのは、とても貴重な経験でした。コジマプロダクションの歴史が刻まれる日に立ち会えて、嬉しかったですね。

居酒屋での収録も面白かったです。4時間半ほど収録して、みんな酔って楽しそうにしていました。日比さんもすごく楽しそうでしたね。宮崎くんも言っていましたが、宇内さんから引き継ぐのは大変だったと思いますが見事にやり遂げてくれています。

宮崎 これまでで特に刺激的だったのは、Podcast限定の特別編として、松坂桃李さんをゲストにお迎えした『御上先生』とのコラボ企画です。シーズン1終了後でしたが、松坂さんが小島監督作品のファンだったため、岩﨑くんにお願いして急きょ1本だけ復活させていただきました。

「好き」という共通の想いを持つ人々が集まると、本当にさまざまなことができると感じましたし、ドラマとラジオの架け橋となるレギュラー番組は他にないと思うので、非常に面白い試みだと感じています。実現して改めて、松坂さんと小島監督という2人のトップスターが出会い、会話を交わすコンテンツは非常に価値が高いものだと実感しました。

ゲスト・松坂桃李さん
ゲスト・松坂桃李さん

ほかにも北村匠海さん、髙石あかりさんといった俳優陣にゲスト出演していただいたことがあります。これはTBSテレビとのコラボならでは。皆さん、小島監督ファンの方が多く、実際に会うと子どものようなキラキラした目をされていたのが印象的でした。

ゲスト・髙石あかりさん
ゲスト・髙石あかりさん

小島監督も親交が深い方を呼んでくださって、西島秀俊さんや三浦大知さん、津田健次郎さんといった豪華なゲストの皆さんに常に出演していただけたのも小島監督ならではの強みだと思います。

ゲスト・西島秀俊さん
ゲスト・西島秀俊さん

放送翌日には、海外ファンによる英語版まとめの投稿も

番組を通して小島監督から影響を受けた部分は?

岩﨑 ものづくりをする上で“とにかく突き詰める”ところです。小島監督は「何か作るなら突き詰め続けて、その先に何かあるんじゃないか」と常におっしゃられて、それを体現している方。この番組においても「本当にこれで大丈夫か?今までのラジオ作りでいいのか?」と度々僕たちに問い掛けられます。毎回ベストだと思うテーマや全体の流れを提案しますが、最後の最後まで悩みながら一つずつエピソードを作っている感覚です。

ラジオのリスナーさんの多くは「毎週この時間にこの人が話して、この時間にこのコーナーが始まる」と決まった流れでの安心感を愛してくださっていると思いますが、この番組に関しては毎週全く違ったことをしようという方向性で全然違います。こんなラジオ番組は珍しいのではないでしょうか。毎週、刺激的でエキサイティングです(笑)。

宮崎 小島監督は常に刺激を受けて時代の流れを感じ、ご自身をアップデートし続けていらっしゃるので「毎週同じことをしていていいのか?」と僕たちに投げかけてくれます。確かにリスナーさんは面白がってくれますし、「こんなに毎回違って面白いラジオってあまりない」というSNSの書き込みを見たことがあります。

また、僕にとって非常に大きいのが、普段からドラマ制作部でお世話になっている福澤克雄監督と小島監督という同い年のお二人の存在です。日本のトップクリエイターであるお二人に共通しているのは、世の中の人々のことを深く考え、作品がどうあるべきかを常に追求していること。ユーザーに対する最善のアプローチを考えていらして、要求するレベルが高いことも同じです。それは、ものづくりをするうえで特に大事なことだと改めて実感しました。「ここまでできればいいや」と自分で線引きしてはいけないと身に染みて思います。

僕が知る狭い日本のドラマの世界ではなく、世界に通用するコンテンツを生み出す小島監督が持つ制作への考え方は、今後のドラマ制作においても非常に勉強になることばかりです。こうしたことをお二人から直接、肌感をもって感じられることは僕にとってとても大きく貴重な経験です。感謝しています。

小島秀夫監督

リスナーからの反響で印象的だったことは?

岩﨑 海外のリスナーさんが反応してくれることです。オンエア翌日に放送内容の英語全訳版がまとめられていたり、YouTubeで動画がアップされたりします。これは初めての経験かもしれません。他の番組に比べ、海外からのメールも多いです。これは小島監督と監督の作品のパワーのおかげです。

宮崎 世界中から聞かれていると思うと発信しがいがあるなとは感じますが、特に『デススト2』発売前は情報の取り扱いに気をつけながらの放送になりました。いつも生放送の収録時はコジプロのスタッフの皆さんがソワソワしています(笑)。

岩﨑 それから、実は『コジ10』リスナーさんの3割くらいは小島監督のゲームをプレイしておらず、単純に小島監督のしゃべりや番組を好きになって聞き続けてくれている方です。小島監督のトーク力のおかげですね。逆に作品のファンで初めてトークを聞いた方は驚いたかもしれません。作品のイメージとかけ離れた関西弁でのトークですから(笑)。でも、このギャップがすてきですよね。

宮崎 僕は同じ神戸出身なので個人的にとても親近感を持ってお話ししやすいです。実はおしゃべりが大好きなフランクな方で、映画やドラマ、小説、ラジオをこよなく愛している小島監督を、もっといろいろな人に知ってほしいんですよね。

特に映画や小説についてのお話を聞けるのはすごく面白いです。おそらく多くのリスナーの方々も、小島監督おすすめのエンターテインメント情報を求めているのではないでしょうか。小島監督のフィルターを通していち早く一番面白い作品を知ることができ、そして自分の世界が広がる―。これは番組を聞いてくださる大きな理由の一つだと思います。

宮崎陽平

番組は一旦最終回を迎えますが、今後の展望を教えてください。

岩﨑 小島監督もよくおっしゃっていますが、誰かの救いになれたり、人格形成につながったりするような番組になれば嬉しいです。

そして番組を復活させたいということと、もっと大がかりな何かができたらいいなと思っています。ラジオ放送だけではなく、それこそTBSテレビの皆さんの力を借りて何かができたらいいですね。

宮崎 ラジオ番組は、他の作業をしながらでも気軽に楽しめる点が、コンテンツのあふれる現代において非常に魅力的だと改めて感じます。この手軽さを生かして『コジ10』としてさまざまな展開ができればと思います。小島監督とは『コジ10』の数字にちなんで番組を長く続けたいという夢を語り合っていますが、TBSラジオさん次第なのでぜひお願いしたいです(笑)!TBSは多くの媒体を持っているのでラジオの枠だけに留まらない何かも考えていきたいです。

最後に、リスナーの皆さんにメッセージをお願いします。

宮崎 まずは聞いてくださってありがとうございます!熱心なファンの方は何度も聞いてくださっているようなので、その期待に応えるため、次に何ができるか模索していきます。小島監督が作品でも日常でも大事にされる“つながり”のおかげで番組が生まれ、リスナーの皆さんともつながることができました。僕はその連鎖は簡単には生まれない、かけがえのない大切なものだと思うので、これからも大事に育てていきたいです。さらにこれから再開できるよう見守ってください。応援よろしくお願いします!

岩﨑 皆さんの声が復活につながると思います。SNSの投稿やメールも全部読んでいますので、引き続き応援してもらえるとありがたいです。9月29日(月)の最終回は公開生放送を行う予定なので、こちらもぜひチェックしてください。

【小島秀夫監督より『コジ10』リスナーへメッセージ】

僕は深夜ラジオを聞いて育ちました。親兄弟、友人や学校の先生にも切り出せないような悩みの相談をペンネームで自分を偽り、番組宛てに送ったりしていました。自分のハガキが読まれた時の、あの不思議なラジオとの“つながり”の感覚は今も忘れられません。スマホはもちろん、自分用のテレビもない時代ですが、だからこそラジオは僕らにとって特別な存在だったのです。

このSNS時代の若者たちに、あのアナログな“つながり”をなんとか体験してほしい。そう思って、この番組を始めました。忙しい中の収録もありましたが、リスナーだった昔の自分を思い出しつつ、楽しく続けられました。ただ発信しているだけではなく、この番組を心待ちにしていてくれる全国のリスナーの皆さんとの“つながり”が確実に存在することがわかったからです。“シーズン2”は終わりましたが、またどこかでお会いしましょう。

小島秀夫

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TBSテレビ宮崎陽平、TBSラジオ岩崎友明

岩﨑友明
2015年TBSラジオ入社。コンテンツ制作局 制作部。
TBSラジオ『アフター6ジャンクション2』、『ダイアンのTOKYO STYLE』、『スタンド・バイ・見取り図』、『TALK ABOUT』などのプロデューサーを務める。
Podcast番組では『LOOM』、『真空ジェシカのラジオ父ちゃん』、『N93 カナメストーンのカナメちゃんシティ』、『深夜徒歩』などを手掛けている。

宮崎陽平
2015年TBSテレビ入社。コンテンツ制作局 ドラマ制作部。
日曜劇場『日本沈没ー希望のひとー』で監督デビュー。日曜劇場『DCU』、『マイファミリー』、『VIVANT』、『アンチヒーロー』、火曜ドラマ『君の花になる』ではボーイズグループ・8LOOMのMVなどの演出を担当。
近年では、2025年1月期日曜劇場『御上先生』のチーフ監督を務め、現在は2026年放送予定の日曜劇場『VIVANT』の続編制作に取り組んでいる。

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