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TBSアナウンサーがなぜマッチョに?齋藤慎太郎アナが「フィジーク」全国大会出場へ

TBSには個性豊かなアナウンサーが揃っており、日々のニュースやバラエティ、スポーツ番組などに携わっています。

中でも今回は2024年で入社5年目となる齋藤慎太郎アナウンサーに注目。サッカー番組『KICK OFF! J』(毎週日曜 深夜0:58~)などで活躍する一方、「フィジーク」競技に打ち込んでいます。それぞれどんな思いで取り組んでいるのでしょうか。競技を始めたきっかけや魅力、アナウンサー業への思いなど、話を聞きました。

YouTube企画で始めたフィジーク、3年目で初の全国大会へ

まずは、フィジークを始めたきっかけを教えてください。

齋藤 きっかけは、私が出演していたYouTubeチャンネル「アナウンサーのゆるちゃん/たりかしCh.」の企画(※現在は活動休止中)です。出演していた4人のアナウンサーがそれぞれ企画を出すことになり、普段から動画でよく見ていたフィジークに挑戦しようと決めました。

大学の時にサッカー部に所属していたため、多少の筋トレはしていましたが、見よう見まねのトレーニングでは“理想的な身体”は手に入れられません。正式な企画になってからトレーナーに教えてもらうようになり、今も続けています。

最初は2022年に「マッスルゲートベイ東京大会」というコンテストに出場し、新人部門で2位でした。2023年からより競技性の強い大会に出場し始め、競技歴3年目の今年、2024年8月には、二大会に出場。「東京メンズフィジーク選手権大会」で4位、「三重県メンズフィジークオープン大会」で2位。特に三重県の大会は優勝を目指していたので、とても悔しい結果でした。

フィジークのどんなところに魅力を感じますか?

齋藤 フィジーク競技は“海が似合う体”がコンセプトです。逆三角形で筋肉がバランス良くついていて腹筋が割れている。そんな競技者がかっこよくて、大学生の頃からやってみたいと思っていました。

かっこよさが評価される競技のため、体が大きい選手でも、体脂肪率が高かったり、筋肉のバランスが悪かったりすると敗退することもあります。審査員によって評価が変わることもあるので、負けた理由がわからないことも。そこが難しくもあり、面白いところだと思います。

大会に向けて、どんな準備をしていますか?

齋藤 大きく分けると“オーバーカロリーで筋肉を増やす期間”と、“減量して、ついた脂肪をそぎ落として筋肉を掘り出す期間”の二つです。

フィジークの大会は夏が多く、大会が終わったらまた次の大会に向け、準備を始めます。大会直後は体脂肪率が低い状態なので、少しずつカロリーを増やしながら、大体1年弱くらいかけて筋肉を大きくする作業に入ります。
そしてその期間についた脂肪を削ぎ落とすため減量をして、大会に臨むというサイクルが一般的です。

シーズン中の今は次の大会に向けてカロリーを少しだけ上げて体を維持しつつ、リカバリーをしています。この準備期間も楽しいです。

筋トレのモチベーションを保つ秘けつは?

齋藤 大学までずっと打ち込んでいたサッカーは、どんなに練習しても結果につながらないことも多々ありました。しかし筋トレは努力の成果が見えやすく、その過程が間違っていなかったという証明にもなります。私が何かを頑張る時に重視しているのは、「努力が結果に結びついていると実感できること」で、それが得られているのがすごく楽しいんですよね。

「辛くない?」と聞かれることもありますが、食べすぎて身体のコンディションが崩れる方が辛いです。昼は食べ物に気を付けて、夜はみんなが飲んでいるときにトレーニングをする。これを徹底することで身体を作り上げています。

2024年9月末には、全国大会出場を控えているそうですね。

齋藤 東京選手権で6位以内の入賞者が出場できる全国大会「オールジャパン フィットネス チャンピオンシップス 2024」に、今回初めて出場します。私は筋肉のサイズは大きくないものの、「綺麗だ」と褒めていただくことがあります。でも全国大会の選手は“大きくて綺麗な筋肉”の方たちばかり。

予選を突破するのは難しいかもしれませんが、「予選突破させてもいいかもな」と審査員の方々を迷わせたいですね。

TBS齋藤慎太郎アナウンサー

まずは仕事ファースト、フィジークは競技者として高みを目指す

フィジークで活躍されつつ、普段はアナウンサーをされています。どのように両立していますか?

齋藤 当たり前ですが、仕事ファーストでやっています。仕事がなかったらフィジークはできていません。仕事の合間でトレーニングしますし、できないときは潔く諦めます。

ですから、食事制限をしている大会の一週間前でも、食リポの仕事で日本酒を飲んだりワッフルを食べたりすることも。多少イレギュラーなことがあっても崩れないようなコンディションを作っておくことが、仕事と両立する上で大事だと思います。

実際、フィジーク競技を始めたことを公表するようになってから、「仕事のクオリティは保たなければ」という責任感が芽生え、より一層意識高く仕事に取り組むようになったと感じています。

実は8月の三重大会の直前には台風中継も担当しました。事前にスプレータンニングを塗って肌を黒くしていましたが、その状態でレインコートを着たので、雨で落ちないか心配しました(笑)。

衣装が入らないこともあるのでは?

齋藤 スーツを破ってしまったことがあります。体重の増減幅が約10kgあるので、増量期に合わせて作ったものでないと入りません。ちなみに今は減量期ですが、過去の増量期に作ったジャケットがきつかったので、増量したら確実に着られません。衣装スタッフの方には申し訳ないですが、高みを目指しているので、もっと大きくならせていただきます(笑)。

TBS齋藤慎太郎アナウンサー

関東のJリーグの応援番組『KICK OFF! J』では、MCを担当。2023年の放送開始からもうすぐ1年ですが、手応えはいかがですか?

齋藤 スタジアムへ取材に行くと、サポーターの皆さんから「見てます」と声を掛けていただくこともあり、徐々に番組の認知度が上がっているようで嬉しいです。この番組は映像や編集に非常にこだわっていますし、SNS運用にも力を入れていて、制作スタッフの熱量も高いです。

あまり知られていないと思いますが、関東の各チームを番組ディレクターが一人ずつ担当して、取材しています。ホームゲームをほぼ毎回観に行っているので、担当チームについてはかなり詳しいです。というのも、過去に放送していた『スーパーサッカー』(※2021年終了)の制作陣が携わっていて、その時代からの積み重ねもあります。こういった地道な作業が実を結び、今に繋がっていると思います。

ご自身がずっとサッカーをされてきた経験も生きているのでは?

齋藤 そうですね。例えば、番組ゲストの方に試合のハイライトを解説いただく場面では、私も選手の視点に立ったコメントを加えてみたりと、コアなサポーターの方にも楽しんでいただけるように意識しています。

それと、日本代表の三笘薫選手や板倉滉選手への取材や、遠藤渓太選手にヒーローインタビューできたのは嬉しかったですね。高校時代、一緒にプレーした仲間に仕事で関われるのは感慨深いです。

特に経験が生きていると感じるのは、テレビ番組ではありませんがサッカー実況の仕事です。「DAZN」で月に一度、サッカー実況を担当していますが、解説者の方の解説を深堀りすることで、プレーが分かりやすく伝わるよう心掛けています。

元々サッカー実況と『スーパーサッカー』に携わりたくてアナウンサーになったので光栄ですし、熱が入りますね。サッカーの現場に行けることが嬉しいです。

ほかに『Nスタ』(月・火曜日に出演)や『ひるおび』にも出演されています。

齋藤 『Nスタ』『ひるおび』といった、スポーツ番組とは対極の番組も任せていただいているのはありがたいです。『Nスタ』ではスタジオでボードを使いながらプレゼンしていますが、見ているものに対して補足しながら伝えるというのは、スポーツ実況の仕事と似ている部分があると思うんです。どちらかがうまくいくと、もう一方も調子が良くなるように感じるので、それぞれの仕事が良い影響を与えてくれています。

将来、どんなアナウンサーになりたいですか?

齋藤 まずはサッカー実況を突き詰め、サッカーファンに「この人なら」と認めてもらえる実況ができるようになりたいです。目標は土井敏之さんと佐藤文康さん。お二人は『スーパーサッカー』、サッカーワールドカップの実況も担当した大先輩です。特に、土井さんは私が今「DAZN」で担当している横浜FCの試合を以前実況していたということもあり、顔を合わせるとずっとサッカー談義。時間を忘れてしまうほど盛り上がることもあります(笑)。

またフィジークを始めたばかりの頃は、番組でその様子を取り扱ってもらっていましたが、今は競技者として真剣に取り組みたいと思っているので、アナウンサーの仕事にフィジークは可能な限り持ち込まないようにしています。8月の大会は優勝する意気込みで出場しましたが悔しい結果だったので、「本気で取り組みたい」と今はより強く思っています。

実際に、アナウンサー業とフィジークを切り離して考えるようになってから、良いバランスを保てていると思うので、このまま続けていきたいですね。

TBS齋藤慎太郎アナウンサー

アナウンサー主体で作られたTBSのインターンに感動

ところで、齋藤さんはどんな経緯でアナウンサーになったのでしょうか。

齋藤 私は小学生から大学までずっとサッカーを続け、プロ選手を目指していた時期もありましたが、大学生になり民間企業へ就職することにしました。就活を始めたばかりの頃は、立教大学サッカー部のOBが多く就職していた金融業界(銀行や保険会社など)の企業をこれから見ようかなと、なんとなく思っていましたが、アナウンサーは募集の時期が早く、練習のつもりで受けたのがきっかけです。

インターンに参加し、そこでアナウンススクールの存在を教えてもらいました。当時は「テレビ局の中に入れるんだ!」と気軽な気持ちで全く緊張せずに参加していたので、良くも悪くも目立っていたと思います。

その後、採用試験に向けてアナウンススクールに通うことに。その過程で「アナウンサーになりたい」と思うようになりました。幼い頃からサッカーの試合をテレビで見て、言語化して分析するのが好きだったこともあり、実況者になりたいと。

面接では、「サッカーの番組と実況を担当したいです」と話し続け、ご縁があってTBSに入社しました。

入社前後で感じた、TBSの魅力を教えてください。

齋藤 まず、今でも変わらないことですが、TBSのインターンはアナウンサーが主体となって作っているところが魅力的でした。インターン当日に玄関に迎えに来てくれたのが山本恵里伽さんで、「テレビで見たことある!」とテンションが上がった記憶があります。アナウンサーから直接レッスンを受けられるのも、貴重な体験でした。

入社してからは、良い意味で“個人の集団”のような雰囲気を感じています。それぞれ思いや目標があり、そこに向かって突き進んでいますが、仕事では心強い仲間になります。行動に起こすと意外と実現できる環境もあって、私も当初から「サッカー番組をやりたい」「サッカー実況をやりたい」と言い続けて動いた結果、幸運なことに今があります。

入社5年目、現在の自分をどう評価しますか?

齋藤 入社からわずか5年ですが、今はありがたいことに、「やりたい仕事をやらせてもらっている」という感覚です。サッカー関連の仕事に加え、『Nスタ』や『ひるおび!』等の仕事も担当できて、贅沢な環境だと思います。

でも、最初は心が折れましたよ。入社早々『スーパーサッカー』が終了。その後、ワールドカップの放送権を手放してしまったので、目標を見失いかけたこともあります。三笘選手たちとチームメイトだったと認知されたことをきっかけに、徐々にサッカーの仕事が増え、自身でも「X」などでサッカーに特化した発信をするようになりました。

最後に、アナウンサー志望の学生をはじめ、テレビ業界を目指す就活生に向けてアドバイスをお願いします。

齋藤 アナウンサーになるために、もちろん早くから動いて基礎知識や技術をつけることも大事ですが、人としての幅を広げる方が重要かなと思います。

自分のやりたいことがあって大学に入る方が多いでしょうし、新しく好きなものを見つけた方もいらっしゃると思うので、それを本気で突き詰めていただきたいです。

サッカーの道に進まないことを決めた後は、海外留学をしたり、サーフィンを始めてみたりと、いろいろなことを経験する中で気付いたことも多々あります。志望する業界を問わず、興味を持ったことに打ち込むのがおすすめです。

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TBS齋藤慎太郎アナウンサー

齋藤慎太郎
2020年TBSテレビ入社。『KICK OFF! J』のMC、『Nスタ』(月・火曜日に出演)等で活躍中。サッカー・Jリーグの実況やリポーターを担当。

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