- People
なぜ人は『SASUKE』に熱狂するのか？グッズ＆海外番販担当者が感じた人気の高まり方
1997年からTBS系列で放送されている人気番組『SASUKE』。第41回大会を迎える今年は、12月27日に放送されます。10月には、2028年ロサンゼルス五輪で『SASUKE』を基に考案された障害物レースが採用されることが決定し、話題となりました。
放送の枠を超えた『SASUKE』の広がりについて、各分野の担当者に裏話などをうかがいます（全4回）。今回は海外番販などを担当するグローバルビジネス局の川畑恵美子と、グッズを担当するTBSグロウディアの関野修平に話を聞きました。
今年はレジェンド選手のグッズが初登場！番組キャラクターも誕生
今年の『SASUKE』公式グッズは種類が豊富に揃っています。グッズはどうやって考えているのでしょうか？
関野 グッズを製造するメーカー様などが集まる展示会やイベントに足を運んで調査しています。例えば、この3Dステッカーも、そのときに出会い思いついたものです。今回初めて山田勝已さんに協力いただき、ご本人を3Dスキャンして、フィギュアや立体ステッカーを作らせていただきました。
『SASUKE』はスポーツ番組なので、グッズ展開にあたって、ドラマと比べるとどうしてもマンネリしてしまう部分があります。だから、毎年少しずつ変化を出すように意識しています。
今年はCOIN PARKING DELIVERYさんとコラボしたオリジナルキャラクター“坂本さん”が誕生しました。
関野 そうですね。キャラクターがいるとグッズのバリエーションが広がるので、グッズの作り手としてもありがたいです。パーカーやロングTシャツなどもチャレンジしてみたいということで、今、オンエアに向けて急ピッチで作っています。
今年初開催された高校生向けの大会『SASUKE甲子園』のグッズも制作されたそうですね。
関野 『SASUKE甲子園』では、受注生産という形で出場する8校の名前が入ったTシャツやタオル、部活で使えるようなシューズケースなど、高校生向けに少しシフトしたグッズを作らせていただきました。今年の『SASUKE』は新しいものづくしで、嬉しい悲鳴をあげています。
ロサンゼルス五輪の実施競技として、『SASUKE』を基に考案された障害物レースを新たに加えた近代五種が採用されましたが、グッズの売上にも影響していますか？
関野 売上だけでなく、各企業様やグッズを製造するメーカー様などから『SASUKE』というコンテンツに興味と期待を持っていただいているように感じます。いろいろなお声がけをいただいているので、来年以降も新しい展開が生まれるのかなと期待しています。
海外における『SASUKE』レジェンドの知名度の高さに驚き
『SASUKE』は『NINJA WARRIOR』として海外でも放送されています。
川畑 そうですね。例えば、アメリカでは2009年から全国区で放送されていて、シーズン15まで続く大ヒット番組となっています。エンタメの世界は何でもそうですが、アメリカでヒットすると世界展開しやすい傾向があります。実際に、この十数年の間にドイツ、ポーランド、イギリスなど世界160以上の国と地域に広がっています。
グローバルビジネス部では、『SASUKE』(NINJA WARRIOR)を北米やヨーロッパのテレビ局や制作会社に営業し、販売する仕事をしています。これまで諸先輩方が築いてきた実績に甘んじることなく、さらに販路を広げていくことが目標です。
それぞれ、どんなときに『SASUKE』の人気ぶりを感じますか？
関野 『SASUKE』のグッズは、収録現場の緑山スタジオに来場される出演者の方や応援のご家族、観覧のお客様に向けて、会場物販するために作られ始めました。今でも放送日ではなく、収録日に間に合わせて作っています。それが、今では一般的にグッズを販売させていただけるようになったので、やはり年々人気が高まっているなと感じます。
川畑 私は海外のテレビ局のディレクターとメールでやり取りしているときに、「Yamada（山田勝己さん）」や「Urushihara（漆原裕治さん）」といった、『SASUKE』出演者の固有名詞が普通名詞のように使われていることに驚きました。
また、今回は海外からの挑戦者が出場されるのですが、「聖地・緑山にレジェンドと出られて嬉しい」と話していました。皆さん、日本へのリスペクトがすごいです。
関野 山田さんや漆原さんは、『SASUKE』に欠かせない選手の一人ですよね。毎年、レジェンドの皆さんを入れたTシャツを作らせていただいているのですが、皆さん「ここに自分も入れてもらってありがとうございます」と言ってくれて、本当に協力的です。商品化が成立するくらい知名度が高いのは、究極の一般人だなと思います。
川畑 こんなにもTBSの『NINJA WARRIOR』が世界の共通言語になっているとは知りませんでした。「TBS」というよりも、「『NINJA WARRIOR』をやっているテレビ局です」と言った方が認知されていることが衝撃です。各国に汎用できる強いメッセージ性を持ったIPを持っているのは、すごいことだというのがよくわかります。
なぜここまで人気が広がったと思いますか？
川畑 おそらく『SASUKE』のスポーツ的な要素だけじゃなく、リアリティがあるからではないでしょうか。失敗したらそこで終了ですし、やっていることがわかりやすいので、各国の文化や言語の違いを超えて受け入れられるんだろうなと感じます。
各国でスター選手も生まれているし、『NINJA WARRIOR』を見て育った子どもたちが大きくなって挑戦する人もいます。若い世代にリーチし続けるってすごく大事なことだと思います。
関野 国内での人気の広がり方は、YouTube施策も大きいと思います。ここ数年は年に一度の放送ですが、公式YouTubeチャンネルで過去の大会の動画や今年出場する挑戦者の方の動画が公開されています。若い世代はYouTubeを見る人が多いので、リーチしやすいのではないでしょうか。
ちなみに、今年は「SASUKEツアーin沖縄」という、レジェンド5名と一緒に行く2泊3日の沖縄旅行を企画しました。当初は『SASUKE』出場を目指して憧れている人が集まるのかなと思っていましたが、実際は小さいお子様を連れたご家族や、『SASUKE』がきっかけで付き合ったというカップルの方といった、『SASUKE』ファンの方が約60名参加されていました。来年もぜひ何かできないかと話を進めています。
現場で感じた『SASUKE』の規模感、出演者の熱量に感動
そもそも、お二人はなぜTBSに入ろうと思ったのでしょうか？
川畑 私は報道記者になりたかったからです。実際、報道記者になって20年近くやっていました。今はグローバルビジネス局で『SASUKE』に携わるようになりましたが、入社当初は自分がこの仕事をやるとはまったく思っていませんでした。この年で新しいことにチャレンジできることは、セカンドキャリアとしてすごく楽しいです。
それと、メディアが置かれた環境の変化を知ることができるのもよかったです。やっぱり、『SASUKE』のような強いIPを持っていないと世界で勝負できないんだなと感じました。TBSは番組というコアの部分を持っているので、これから世界にどんどん発信していきたいし、そこにチャレンジできる環境があることは、とても魅力的だと思います。
関野 僕はテレビ番組が好きということがきっかけです。番組制作に携わってたこともありますが、今は事業という形でグッズ制作を担当しています。番組出演者の皆さんのパワーをお借りしてグッズを制作し、自分が携わった商品を視聴者の方が買って喜んでいただけることは、すごくやりがいを感じます。これは、テレビ局ならではですね。
お二人とも『SASUKE』に携わるようになりましたが、今年の収録をご覧になっていかがでしたか？
川畑 今年、初めて見ましたが、現場の熱量がすごかったです。『SASUKE』は自分との戦いだから、出場者の皆さんはライバルではなく、ワンチームのように感じました。
それと、この時代にこの規模の番組を地上波でできることは、本当に数少ない機会だと思います。
関野 放送を見ていただくとわかりますが、出演者の皆さんは「大丈夫、時間はあと何分何秒だよ！」と挑戦者に声をかけながら並走してやっているんですよ。皆さん、本当に“SASUKE愛“がすごくて、プライベートでグッズを買ってくださいます。2021年に出したバッグを会場に持ってきてくださった方もいて嬉しかったですね。
最後に、テレビ業界を目指す就活生にアドバイスをお願いします。
川畑 就職活動では、「これだ！」と思えるものに出会えることが大事なんじゃないかなと思います。自分の直感を信じて行動してみてください。
テレビ業界は過渡期と言われるので、10年後どうなっているのかわからない部分もありますが、ぜひいろいろなものに興味を持った方に来てほしいと思います。
関野 仕事は楽しければそれがベストだと思いますが、実際は楽しいだけではできないものです。でも、TBSグループなら、新しいことにチャレンジさせてくれる環境が整っているので、楽しみながらものづくりをすることができます。
僕は山田さんの日めくりカレンダーの「人生変えてこい。今までの人生やめてまえ。俺は変えたからな。自分の力で行ってこい」という言葉がすごく好きなんです。この言葉のように、信念を持ってやっていけば未来につながると思うので、頑張ってほしいと思います。
川畑恵美子
1999 年入社。報道局社会部、報道特集などを経て、『Nスタ』『news23』で編集長。2023年7月よりグローバルビジネス局。
関野修平
2011年入社。以前は映像・写真などのフッテージ販売を担当。現在はTBS番組のIPを使ったライセンス事業の窓口を担当。主に『SASUKE』『ラヴィット！』『TOKYOMER』などのグッズ商品化を担当。
■関連記事
