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TBS10月期金曜ドラマ『フェルマーの料理』で初めてGP帯プロデューサーに!ドラマP 中西真央の挑戦

2023年10月20日より、10月期の金曜ドラマ枠(毎週金曜よる10時)にて『フェルマーの料理』の放送がスタートします。原作は「月刊少年マガジン」(講談社)で連載中の小林有吾氏による同名漫画。現在4巻まで刊行されており、作中に登場する料理がファンによって再現されるなど人気を呼んでいます。

本作のプロデューサーを担当するのは、ドラマ制作部の中西真央。GP帯(ゴールデン・プライム帯)の連続ドラマを初めて手掛ける彼女に、ドラマ化までの道のりや自身のキャリアについて聞きました。

『フェルマーの料理』はドラマオリジナルのストーリーに注目 

『フェルマーの料理』の企画が始まったのはいつ頃ですか?

中西 2022年の夏頃です。過去には編成として『パパとムスメの7日間』で連続ドラマに携わった経験はありますが、プロデューサーとしてGP帯の連続ドラマを手掛けるのは今回が初めてです。

原作は漫画作品ですが、これをドラマ化しようと思ったのはなぜですか?

中西 最初はオリジナルドラマとして数学が得意な女の子の料理の企画を考えていましたが、自分が思い描いたことと一致する部分が多い『フェルマーの料理』を見つけてドラマ化することにしました。

企画の時点では3巻までしか出ていなかったので、原作サイドからはドラマオリジナルの展開を提案してほしいという要望がありました。先方と何度もやり取りしながら丁寧に脚本を作っています。

金曜ドラマ『フェルマーの料理』台本

数学と料理は意外な組み合わせのように感じますが、その設定にしようと思ったのはなぜですか?

中西 数学と料理にはどちらもロジックがあるところが似てると感じたからです。どちらにも興味がありますし、良い組み合わせになるだろうなと思いました。

本作では高橋文哉さんと志尊淳さんがダブル主演を務めます。この二人を選んだ理由は?

中西 原作のキャラクターに合いそうな雰囲気の方で、これまで自分が作品を見て好きだと思った二人にお声掛けしました。高橋文哉さんが演じてくださる岳という数学少年は、挫折するけど前向きだったり、喜ぶけど寂しくなったり、複雑な感情の持ち主です。私は高橋さんの「真顔」のお芝居は人を惹きつける不思議な魅力があると思っていて、ほんの少しの目の動きや口元の変化でいろいろな感情を表現してくれるはずだと思ってオファーしました。

志尊淳さんが演じてくださる海という天才シェフは、ドラマの中で圧倒的な存在感を放つキャラクターです。志尊さんは、近年の作品を拝見する中でとにかくオーラがすごいなと思っていて。なんだかもはや発光している感じがしていて。絶対にこの役が似合うと思ってお声がけしました。このミステリアスなキャラクターをどう演じるのか見てみたいと思ったのが大きな決め手になりました。

脚本を担当するのは渡辺雄介さんと三浦希紗さんです。お二人を選んだ決め手は?

中西 やっぱり、自分が好きな作品を過去に手掛けていたことが一番大きいです。渡辺さんはTBSでは『ブラッディ・マンデイ』を書かれていたので、当時のスタッフさんに連絡先を教えていただいて直接連絡してみました。

三浦さんは、講談社さんから原作権をいただくときの企画構成案を作る際にプロットを手伝っていただいたのですが、そのプロットがダントツでおもしろかったんです。これだけで終わらせてしまうのはもったいないと思ったので、脚本もお願いすることになりました。

TBS中西真央

ドラマを見るのも仕事!編成部で感じた大事な視点

中西さんは2020年10月の単発ドラマ『書類を男にしただけで』で初めてプロデューサーを担当されました。これはどんな経緯で立ち上がったんですか?

中西 入社1年目のときからお世話になっている植田博樹さんと雑談していたら、「その話、企画書にした方がいいよ」と言ってくれたことがあったんです。その頃、ちょうど若手を対象に単発企画を募集していたので、出してみて初めて通ったのが『書類を男にしただけで』でした。

私は結構ダラダラしちゃうタイプですが、植田さんが脚本家さんを紹介してくれたり応援してくれたりしたおかげで進められたのかなと思います。

初のプロデュース作品はいかがでしたか?

中西 この作品は女性の働き方をテーマにしているので、2023年の今放送されるとしたら、すでにやり尽くした感があるかもしれませんが、タイミングとしてすごくよかったなと感じました。

その後、編成部へ異動になるんですよね。

中西 そうです。『書類を男にしただけで』のプロデュースが終わってから、またADに戻るのかなと思っていたら、編成への異動が決まったので結構驚きました。

編成に入ってからは、先々放送するものをいかに早く決めていかねばならないのかなど内情が見えてきました。これまでは時間をかけてオリジナルドラマの企画書を出すことが多かったのですが、とにかく企画をたくさん出そうと思って原作モノのドラマの企画書も書くようになりました。

編成部へ異動して変わったことはありますか?

中西 異動してからは、当たり前ではありますが、ドラマを「見る」のも仕事なんだと気付かされました。それまでは、現場で忙しいのを言い訳に見る時間を作れなかったり、興味のないジャンルのものを後回しにしてしまったりすることも多かったのですが、見ないと世の中の視線がどこに集まっているのかわからなくなってしまうと気付いて、反省しました。それと、この業界特有かもしれませんが、とにかく見ることが誠意なんだなと気付いて。とにかく多くの作品を見ておくべきだなと考えるようになりました。

どんなところに注目して見ていますか?

中西 脚本家さんが誰かとか、どういうチームで作っているのかという点は見るようになりました。あとは、「このドラマはTBSで放送するならどの時間帯がいいんだろう」などと考えるようにもなりました。

現在はドラマ制作部に戻ってきました。今後どんなプロデューサーになりたいですか?

中西 ドラマは何かにスポットライトを当てるという役割が大きいと思うので、実際に世の中にいるけどまだスポットライトが当たっていないところに当てていきたいです。例えば、貧しい人や困っている人など社会的な問題もそうですが、「こういう変な人いるよね」というようなところにフォーカスするのもいいなと思っています。おもしろく人間を描けるようになりたいです。

TBS中西真央

TBSドラマ制作部の強みは、各ジャンルのエキスパートが揃っていること

そもそも、中西さんがドラマを作る仕事をしたいと思ったのはなぜですか?

中西 昔からドラマだけでなく、映画もマンガも小説も好きでしたが、なんとなくみんなで作る仕事をしたいと思っていました。特に好きなジャンルはコメディですが、セリフの間や雰囲気で笑わせるのは、小説だとなかなか難しい。映像じゃないとできないなと考えるようになり、映像の中でもテレビドラマならより多くの人に届けられるので、ドラマを作ってエンタメを届けたいなと思いました。

明確にドラマの仕事をしたいと思ったきっかけは?

中西 大学で放送研究会というサークルに所属していて、ちょっとした映像作品を作っていたのが楽しかったことかもしれません。一言でドラマ制作といっても、プロデューサー以外にも演出、監督などいろいろな業種がありますが、ゼロから企画を考えるのが好きなので、プロデューサーを目指すようになりました。

就職活動をしていた頃はどんな業界を見ていましたか?

中西 テレビ局や出版社を中心に片っ端から受けていました。それとは全然関係ない会社も受けましたが、落ちまくってましたね。とある企業の書類選考で「あなたにとって仕事とは?」という設問があり、「入る前はめんどくさいけど、入ったら気持ち良いからお風呂みたいなものだと思います」のようなことを書いて落とされた記憶があります(笑)。

TBSに入社して、どんなところに魅力を感じていますか?

中西 真面目なところと、ちょっとおかしなところが混在しているところですかね。真面目だけどちょっと変わった人が多いし、番組もそういったものが多く作られているように感じます。

ドラマ部にもいろいろな人がいますが、皆さんキャラが強いです。先輩方が各々の得意ジャンルをしっかりと確立しているのがTBSドラマ部の強みなんじゃないかなと思っています。

ドラマ業界を目指す就活生に向けてアドバイスをお願いします。

中西 すごく一般的なことですが、映画やドラマをたくさん見ておいた方がいいと思います。自分が好きなものはこれ、というのを持っておくとそれが自分の強みになっていく気がします。あと、いろいろな人に会うというのは意外と大事かもしれないです。日常で出会った変な人や、ちょっとムカつく人などを観察しておくと、ドラマのセリフとして使えるし、おもしろいキャラクター作りに繋がると思います。

TBS中西真央

中西真央
2016年TBSテレビ入社。制作一部(バラエティ)、編成部などを経て、2023年からコンテンツ制作局ドラマ制作部。手掛けた作品は『書類を男にしただけで』(20年)、『パパとムスメの7日間』(22年)など。本作がGP帯ドラマ初プロデュース。

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