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TBSで体操界をもっと盛り上げたい! スポーツ局・村松麟太郎の挑戦
TBSで放送されるあらゆるスポーツ番組を手掛けるスポーツ局。今年8月の『世界陸上2023 ブダペスト』や9月の『アジア競技大会』といったスポーツ中継や、『S☆1』や『news23』、『Nスタ』など、日々いろいろな角度からスポーツの魅力を伝えています。そんなスポーツ局での仕事内容や魅力について、学生時代は体操競技に打ち込んでいたという村松麟太郎に聞きました。
入社後、初めて担当したのは『東京VICTORY』
入社5年目の村松さん。スポーツ局に入って最初の仕事は何でしたか?
村松 スポーツの番組制作を志望していたこともあり、入社して最初に担当した番組は『東京VICTORY』でした。チーフADとしてAD、ディレクター、チーフプロデューサーと日々コミュニケーションをとりながら隔週の収録、毎週のOAに向けて作業していました。収録では、スタジオのフロアディレクターを担当し、経験豊富な先輩ディレクターと2人で、日々指導を受けながらやっていました。それから、当時の部長に「『SASUKE』が大好きでやりたいです!」と伝えた結果、嬉しいことに1年目から特番の『SASUKE』チームにも入れていただきました。
当時は苦労も多かったのでは?
村松 AD時代は、何も知らないところからスタートなので、まずは番組がどう作られていくかを学ぶことから始まりました。大変なことはたくさんありましたが、「苦労」と捉えるよりも、「誰もが通るディレクターになるための試練」として、当時はポジティブに考えるようにしていた気がします(笑)。
『東京VICTORY』の収録に関しては、フロア業務での反省も多かったです。例えば、「あのときこういうカンペを出せばよかった」、「演者さんにはこういうアドバイスをしておけばよかった」といった基本的なことですが、入社して初めての番組だったので、思うようにできませんでした。それでも、1年目から様々な経験をさせていただいたことはとてもありがたかったですし、『東京VICTORY』や『SASUKE』でのAD時代は、番組制作について学ぶことができた貴重な時間だったと、今は自信を持って言えます。
『東京VICTORY』で特に印象的な回は?
一番記憶に残っている回は、番組の最終回(#113)です。プロデューサーが「若手にチャレンジの機会を」と、最終回の演出を自分に任せてくださいました。この回のテーマは『2022年 冬季・北京五輪』で、どうすれば収録が盛り上がるのか?どうすれば伝わるのか?と、ああでもない、こうでもないと、不器用ながら毎日遅くまで考えていました。当時のことは、今でも鮮明に覚えています。
『情熱大陸』や『S☆1 PLUS』ではアスリートの密着取材も
2022年11月6日放送の『情熱大陸』ではディレクターとして体操選手の橋本大輝さんに密着していましたね。そのきっかけは?
村松 『情熱大陸』は本来、MBS(毎日放送)が制作していて、橋本選手の企画もMBSが制作する予定だったそうです。しかし、ありがたいことに「TBSに体操の経験があるスポーツディレクターがいる」という話を、情熱大陸のスタッフにしてくださった方がいて、「一緒にやりませんか?」と自分に話がきました。あの時はめちゃくちゃ嬉しかったです。『情熱大陸』に携われることも幸せなことですし、何より体操をやっていた身として、世界王者・橋本大輝選手の密着ができると分かった時は、今まで頑張っていてよかった...と思いました。密着期間は2022年8月から11月の3カ月と短かったですが、「世界選手権の金メダル」という大きなゴールに向けた道のりを追いかけました。
橋本選手の密着はいかがでしたか?
村松 なかなか試合以外の橋本選手を撮る機会がなかったので、「お兄ちゃんといる時は、弟としてこんな風に振る舞うんだ」とか「チームメイトといる時はふざけたりするんだ」など、素顔を垣間見れたのは、とても貴重な時間でした。もちろん競技に対する思いも人一倍大きくて、勝つために真摯に練習に取り組む姿も印象的でした。
橋本選手は2024年のパリオリンピックでも金メダルが獲れるアスリートだと思うので、それまでの間、何かしらの手法でもう一度追いかけたいと思っています。
現在はどんな仕事をしていますか?
村松 スポーツ局は今年、8月に世界陸上、9月にアジア大会と、2つの大型中継が控えています。自分はアジア大会班の一員として中継本番に向けて準備をしているところです。現場スタジオのフロアディレクターを担当するので、競技ルールや競技の進行方法、今大会の注目選手などの勉強をしています。
また、スポーツニュース部の競技担当も兼任しています。体操、新体操、フィギュアスケート、テニス等々。日本代表選考会のような重要な大会へ出向き、選手の取材をやったりしています。それと、ちょうど今『S☆1 PLUS』というアスリートのドキュメンタリー番組の企画で、体操選手に密着しています。今年のアジア大会日本代表にも選ばれた、次世代を担う注目の若手選手です。
『S☆1 PLUS』体操・川上選手の見どころは?
村松 川上選手に密着したいと思った理由はたくさんありますが、純粋に「川上選手が魅せる体操がかっこいい」と思ったのは大きいです。そして、19歳という若さにも関わらず見せた体操に対する冷静な分析と、心に秘める強い自信も、彼に惹かれる魅力なのかなと思っています。「体操は全然知らなかったけど、川上選手を応援したくなった!」放送を見た人が、こんな気持ちになってもらえたら嬉しいです。
川上翔平選手を密着取材した『S☆1 PLUS』は7月27日(木)深夜1時30分から放送予定(※関東ローカル)です。ぜひご覧ください!
社内短期留学では、事業投資戦略部でビジネスを学ぶ
村松さんは、TBSの社内短期留学という人事制度を利用されていました。そのきっかけは?
村松 社内短期留学をするには、自薦と局長・人事部推薦の2パターンがあります。自分は後者のパターンで、スポーツ局長から推薦していただいたと聞いています。2023年1月~3月の3か月間、事業投資戦略部にお世話になりました。
具体的にどんなことをしましたか?
村松 事業投資戦略部は、会社が掲げた「VISION2030」を達成するために、新規事業の開発やスタートアップ企業への投資を行うなど、TBSの将来の利益やマネタイズを考えるプロフェッショナルチームです。
自分が入って即戦力になるというよりも、部署の先輩方がどんな言葉を使って、どんな仕事をしているのか、マネタイズするために何を大事としているのか、先輩らの業務に一緒に同席して勉強していくのがメインでした。
最初に参加した会議では、交わされる言葉の9割が、何を言っているのか分かりませんでした(笑)。短期留学の期間は、担当の先輩メンターが知識を蓄えるための課題図書を与えてくれたり、投資先の情報をレクチャーしてくれたり、スタートアップ企業の面談を一緒に受けたり等、3か月間面倒を見てくださり、大変お世話になりました。
やったことで一番大きなことで言うと、新規事業提案をしたことです。留学の卒業制作として、ビジネスのテーマを考えて新規事業を発表しました。自分は『フィットネス型体操教室の導入』というテーマで提案しました。市場分析や他企業の施策分析など、今後ビジネスを考える上で欠かせない要素を、この機会に学べたのは大きかったのかなと思います。
社内短期留学での経験は、スポーツ局の仕事に活かされそうですか?
村松 そうですね。今後スポーツで何かビジネスを考える際に大切な要素を予習することができたと思います。また、今までは身内(スポーツ局)の意見に囲まれた環境下で仕事をしていましたが、事業投資戦略部の人たちが持つ「スポーツに対するフラットな意見」を知れたのも良かったです。この3か月の経験を生かしていきたいと思っています。
TBSのスポーツ局は、スポーツが好きな人なら絶対受けるべき
そもそも村松さんがTBSを志望したのはなぜですか?
村松 幼い頃になんとなくテレビ局には憧れを持っていましたし、学生時代に体操競技をやっていたこともあり、スポーツに関わる仕事は絶対にしたいと思っていました。「体操を世の中にもっと広めたい」という野望もあった中で、最終的にテレビ局を志望しました。他局と同時進行で試験が続いていく中で、ご縁があってTBSに採用していただきました。実は、スポーツ志望で一般職を受ける前は、アナウンサー試験も受けていました…(笑)。
スポーツ局で働く魅力は?
村松 世界陸上や世界バレー、WBCやマスターズなど、TBSが中継権を持つビッグイベントや、オリンピックに携われるのは、スポーツ好きな人にとって魅力的だと思います。自分もオリンピックの現場へ行きましたが、特に2022年・北京オリンピックのフィギュアスケート女子シングルFSの現場は印象的でした。坂本花織選手が銅メダルを獲った試合ですね。「失敗したらメダルがとれない」、そんな緊張感が漂う中、完璧な演技を見せて観客を盛り上げる光景は、言葉に表せないほどすごかったです。
また、『SASUKE』や『バースデイ』といったTBS独自のスポーツ番組の制作に関われたり、取材ディレクターとして自分の目で見たアスリートたちの活躍を伝えることができたりと、スポーツが好きならやりがいを持って楽しく働けると思います。興味がある人はぜひ受けてほしいです。(インタビュー時期は2023年5月※1)
今後TBSでどんなことをやりたいですか?
村松 「ドラマと言えばTBS」のように、それぞれの局のイメージが多少あると思いますが、自分は『体操と言えばTBSだよね』と、いつか言われるようになるのが最大の野望です。
現状、体操の世界選手権を中継しているのが他局なので、TBSに体操の印象は無いかもしれませんが、大好きな体操の魅力をたくさん発信していき、1人でも多くのファンを生み出したいと思ってます。
そしていつか、『TBSは体操のことを面白く伝えられているね』と認識してもらえたら嬉しいですね。そのためにも、アスリートとの信頼関係を築き、何をどう伝えたら視聴者に共感してもらえるか、丁寧に考えていきたいです。
短期留学の際に出したビジネス提案も体操に関連する内容なので、ハードルは高いかもしれませんが、実現できるように頑張りたいと思っています!
(※1)TBSテレビのスポーツ局は2023年7月から新体制に。現在は新規部署として立ち上がった「コンテンツプロデュース部」に加え、「スポーツニュース部」、「業務推進部」の3つの部署がスポーツ局を担っています。コンテンツプロデュース部は、スポーツが持つ価値を最大限生かすためのマルチユース施策に取り組む部署です。
村松麟太郎
2019年TBSテレビ入社。スポーツ局配属後、スポーツ番組制作部で『東京VICTORY』と『SASUKE』のチーフADを務める。東京五輪・北京五輪では現場ADを経験。2022年4月からスポーツニュース部へ異動。『S☆1』のディレクターをしながら競技担当(体操・フィギュアスケート)の取材Dとして現場に出向く。情熱大陸では『体操・橋本大輝』の制作も担当。現在はスポーツ局コンテンツプロデュース部でアジア大会に向けた中継業務を担当している。
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