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日韓合同アイドルバンド「Hi-Fi Un!corn」を手掛ける・駒塚英人の挑戦

TBSは、 韓国放送局SBSグループと韓国の芸能プロダクション・FNC ENTERTAINMENTの3社で日韓合同のバンドオーディション 『THE IDOL BAND:BOY’S BATTLE』を開催。オーディションバトルを勝ち抜いた「Hi-Fi Un!corn」が、6月26日に日韓同時デビューしました。このプロジェクトを手掛けたDXビジネス局の駒塚英人に、企画意図やオーディションの様子、今後の展望などを聞きました。

グローバル展開とIP開発を見据え、史上初の日韓合同バンドオーディションを開催

今回のプロジェクトはFNC ENTERTAINMENTとSBSグループと3社合同で行っていますが、どんな流れで始まったのでしょうか?

駒塚 FNC ENTERTAINMENTという韓国のバンドに強い芸能事務所があり、その日本支社であるFNC ENTERTAINMENT JAPANの社長から話がきたことがこのプロジェクトの発端です。3社合同でオーディションを開催し、新たなグローバルアイドルバンドを誕生させようということになりました。

今、日韓ともにダンスグループがたくさんあるので彼らと差別化したかったのと、日本の音楽シーンにおいていつの時代も人気バンドが必ずいて、馴染みがあると思ったので、バンドという形にこだわりました。

各社の役割は?

駒塚 TBSは日本におけるプロモーションと、オーディション番組の放送・配信を担当し、SBSはオーディション番組の制作と韓国での放送・配信、オーディションから出てきたグループのマネジメントをFNCが担当しています。流れとしては、まずSBSから番組の企画や構成が上がってきて、それに対してTBSが提案していくという作り方でした。

TBSとしてはどんな意図がありましたか?

駒塚 一つは、韓国のエンターティメントのあらゆる部分を学ぶことが目的です。韓国のコンテンツはスタートからグローバル展開を考えプロモーションしており、K-POPは日本や韓国だけでなく、東南アジアでもすごく人気があります。FNCやSBSは東南アジアのマーケットにも強いので、そちらのノウハウも学んでいるところです。

また、今回は番組を制作したSBSは、あらゆる面においてスケールが大きく、番組のフォーマット作りや最先端の技術の取り入れ方も参考になりました。

もう一つは、IPビジネス開発の一環としても捉えています。3社合同なので、IPを100%持ってるわけではありませんが、彼らが活躍することでTBSに収益が入ってくるので、ほぼIP保持に近い状態だと考えています。

記者会見の様子
記者会見の様子

オーディション本選の舞台は韓国、日本人参加者は韓国で共同生活も

オーディションの流れは?

駒塚 まず、去年8月から日本および韓国でオーディションの予選を行い、そこで総勢54名を選出しました。10月に韓国で本選が始まり、日本からの参加者は韓国で共同生活をしていました。参加者はラウンドごとにプロデューサーが決めたメンバー同士でバンドを組み、パフォーマンスを披露するのですが、毎回組む人が違うので大変だったと思います。

日本人の参加者の様子はいかがでしたか?

駒塚 僕も収録のときは、TBSグロウディアの韓国ビジネスチームと一緒に毎回現地へ行っていましたが、オーディションだからライバルでありつつ、共同生活を通して友情も芽生え、楽しんでいたようです。宿舎では韓国語を勉強していて、現地のメンバーとはスマホの自動翻訳を使いながら一生懸命コミュニケーションをとっていました。

番組内の投票で優勝が決まったHi-Fi Un!corn。5人にお会いして、どんな印象でしたか?

駒塚 予選会の頃から見ていますが、顔つきが変わって別人のようにかっこよくなりましたね。特に、グローバル展開を目指すうえで、ボーカルの福嶌崇人くんとオム・テミンくんのツインボーカルはすごくいい組み合わせだと思います。5人は今、日本で共同生活をしているので、韓国人メンバー4人は日本語を相当頑張って勉強しています。唯一日本人の福嶌くんも韓国語を話せるようになっていました。

Hi-Fi Un!cornは自分の息子のような存在

ここまで振り返っていかがでしたか?

駒塚 TBSはオーディション番組の放送をしたことはありますが、このように主催したことはないと思うので、新しい取り組みに携われるのはすごく光栄に思っています。日韓合同のオーディション番組自体が初めてでしたし、100%いけるという保証があったわけではないので、途中でトラブルが起きて中止になる可能性もありました。だから最終的にデビューまでたどり着いて、すごく感慨深いです。

どんな苦労がありましたか?

駒塚 数え上げるとキリがないですが、一番は韓国という異国の方々との初の仕事で音楽番組を一緒に作り上げることですかね。やはり言葉や文化が違うので、伝えることや共有することが難しかったです。

また、当時はコロナ禍だったので、オーディション本選を行う韓国への渡航もハードルが高かったです。ビザを取得するために韓国領事館へ10回以上行き、最終的には韓国領事館の警備員さんとも顔見知りになりました(笑)。振り返ると様々な壁にぶつかる度にTBSやTBSグループ会社のいろいろな部署の方にご協力していただきました。

Hi-Fi Un!cornの今後の展望は?

駒塚 現在はCNBLUEのヨンファさんが楽曲も含めて彼らをプロデュースしているのですが、今はTBSのグループ会社の日音やTBSスパークルの方々達と楽曲作りも進めています。年末にアルバムを出せるように、どんどん曲を作る予定です。

テレビ出演に関しては、韓国ではSBSに限らず、各局の音楽番組への出演が決まっています。TBSグループのTBSグロウディアの韓国チームが日本や韓国のイベント出演を決めたり、TBSの他にも日韓のみならず世界のLIVEイベントなどにもどんどん出ていく予定です。

Hi-Fi Un!cornの5人は自分の息子だと思うくらい愛情を込めてプロデュースしてきました。日韓だけでなく、世界的に人気になってほしいですね。

Hi-Fi Un!cornと駒塚英人

自分次第で何でも挑戦できるのがTBSの魅力

そもそも駒塚さんが今回のプロジェクトに関わっているのはなぜですか?

駒塚 当初はDXビジネス局の局長が話を進めていましたが、僕が前職で韓流コンテンツを手掛けることが多かったので、2022年2月にTBSに入社してすぐに担当させていただくことになりました。

TBS入社前は何をしていましたか?

駒塚 新卒のときはグローバルビジネスをしたかったので、発電関係のメーカーで海外に向けて営業をしていました。その仕事もおもしろかったですが、もともとコンテンツが好きだったので、このままで終わりたくないという思いがあって。当時30代になる頃で、そこから異業種への転職は難しいと思いましたが、ビジネスの経験値を評価していただき、Amazonに転職しました。

Amazonでは何をされていましたか?

駒塚 コンテンツの調達や、ライブ配信事業の立ち上げなどです。2022年4月に行われた、ボクシングの村田諒太VSゴロフキンのライブ配信も責任者をしていました。Amazonとしてこれが初めてのライブ配信でした。企画から契約締結も勿論ですが、どれくらいの同時接続になるのかという試算や、それに合わせてサーバーを強化するなど設備投資の判断も本当に大変でしたね。企画から配信まで約2年半かかりました。

それでなぜTBSへ転職したんですか?

駒塚 いろいろなコンテンツに携わっているうちに、日本においてコンテンツ関連の会社はやっぱりテレビ局が圧倒的に強く、制作力や発信力など全て揃っていると気付いたからです。動画配信サービスが普及しているといっても、日本における世帯カバー数はテレビの方が断然多いので、一度スペシャリストたちのいるところで仕事してみたいと思いました。

それと、テレビは衰退してきていると言われるなか、TBSはEDGE戦略を掲げていて、放送以外にもデジタルやグローバルの分野など多角的に取り組もうとしているのも非常に魅力的でした。実際に入社してみると、TBSの皆さんは本当にEDGE戦略を意識して業務に取り組んでいると感じています。

DXビジネス局ではどんな人材を求めてますか?

駒塚 僕が所属するDXビジネス局DX戦略部はTBSの地上波コンテンツの価値を最大化することが主なミッションとなる部署なので、社内外含めいろいろな窓口と繋がれるようなコミュニケーション能力がある人がいいですね。そのためには英語というツールを使える方がいいですし、いろいろなものに興味を持つことも大事だと思います。

あと、オリジナルコンテンツを作り始めているので、制作に興味がある人も歓迎します。うちの部署は半分がキャリア採用で、さまざまなバックグラウンドを持つ人がいておもしろいですよ。

就活生に向けてTBSの魅力をアピールするなら?

駒塚 テレビ局=ものづくりのイメージが強いかもしれませんが、TBSなら自分次第でいろいろなことに挑戦できます。放送とは関係のない不動産や新規事業投資、メーカーのような商品開発や小売り、イベントなど、逆に言えばできないことはないくらい。まるで総合商社のようです。ここまで何でも揃ってる会社はなかなかないと思います。部署によって全然雰囲気が違い、部署異動が転職のようなので、合わないと思ったら別の部署に行くのもありです。

最後に、就活がうまくいかなかったとしてもそんなに気負わなくていいと伝えたいです。一社目で人生が決まるわけではありません。僕も新卒の頃は、将来Hi-Fi Un!cornのプロデュースをすることになるなんて思わなかったですからね(笑)。

駒塚 英人


駒塚英人
2022年2月キャリア入社(2005年新卒)
総合編成本部DXビジネス局DX戦略部にて、国内有料配信(SVODサービス)を担当。その他、TBSグループのコンテンツ価値を無限大に拡げるべく日々取り組んでいます。

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