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自身のライフワークを番組に『不夜城はなぜ回る』大前プジョルジョ健太の挑戦

不夜城はなぜ回る』は、真夜中に灯りが灯っている建物=「不夜城」で何をしているのか、体当たり取材を通じて明らかにする番組です。2022年10月にレギュラー化し、2023年3月に終了したものの、5月4・11・18日に特番として帰ってきます。番組誕生秘話や特番の見どころについて、企画・総合演出の大前プジョルジョ健太に聞きました。

不夜城探しは出たとこ勝負!毎回台本なしでロケに挑む

『不夜城はなぜ回る』の企画が通ったのはいつ頃ですか?

大前 2021年10月頃です。当時は『ラヴィット!』のディレクターになった頃でした。若手育成プロジェクトとして、編成とプロデューサーの方が企画を募集していたので、挑戦してみました。出社中に企画が通ったと連絡がきて、嬉しくてスキップしました(笑)。

番組の企画は、大前さんがTBS入社前から趣味として不夜城の探索をしていたのがきっかけとなっています。なぜ不夜城をまわっていたんですか?

大前 夜に働く人たちに興味があったからです。例えば、花火師さんとか。夜働いているのはお金や家族、自分のプライドなど、いろいろな事情があるんだろうなと考えていました。当時、僕は大学の社会学部メディア学科でずっとドラマを作っていて、制作代を稼ぐためにバイトをたくさん掛け持ちしていたのですが、深夜のバイトが終わってから街に繰り出していました。東京以外にも神奈川や、震災復興に関心が高かったので宮城にもよく行っていました。

番組では全国各地を回っていました。ロケ場所はどうやって選んでいましたか?

大前 自分でリサーチしたり、視聴者から募集したり、パターンはいろいろあります。場所を知っていても、メディアって夜に取材することがあまりないので、夜の情報ってなかなか出てこないんですよね。

ロケは何人ぐらいで行くんですか?

大前 プロデューサーやディレクターを含め、2~3人です。全員先輩なので、どうやってVTRにするか意見をいただきながら進めています。同行してくださるディレクターさんは全員フリーの方で、いろいろな現場の経験があるのでとても勉強になりました。年齢は10~15個離れていますが、一回のロケで長い時は3~4泊するときもあり、ロケ中はずっと一緒にいるので仲良くなります。お世辞かもしれませんが「やってきたことのないタイプのロケだから今までで一番おもしろい」と言ってくれる方が多くて嬉しいですね。チームの皆さんは全員良い人で、僕が感じたことを形にするようにすごくバックアップしてくれます。ありがたいです。

ロケで苦労したことは?

大前 台本がないので、何をするかその都度決めなきゃいけないし、取材NGだったら別のロケ地を探さなきゃいけないので、出たとこ勝負なんですよ。夜ずっと働いてるのに一週間くらい何も撮れない時は、精神的にキツイですよ。撮れてもいろいろな事情で放送できない場合もありました。
あと、行っても光ってないことが結構多くて。だから光ってたら「光ってた!」って思わず叫んじゃいます(笑)。毎回ハラハラしながらやってましたね。

大前プジョルジョ健太

特番では自分のルーツを辿り、インドネシアへ

5月11日、18日の放送では、インドネシアロケの様子が放送されます。ロケ先をインドネシアを選んだ理由は?

大前 僕はインドネシアのハーフなので、自分のルーツがある場所に行ってみたいと思いました。大学の卒論でもインドネシアのプロパガンダをテーマに論文を書き、実際にインドネシアへ取材したのですが、当時お世話になった人と一緒にロケをしました。例えば、火事の現場に行ったりとか。

ロケは夜がメインだと思いますが、日中は何をしてましたか?

大前 実は、ホテルの鍵をなくして部屋に入れなくなってしまったので、取材相手のご自宅に泊まらせていただいたんですよ。だから、日中はその方と一緒にお昼ご飯を食べたりして、すごく深い関係になりました。心配性なので昼夜に限らずほとんどロケしていましたけど。

すぐに打ち解けられるのはすごいですね。取材相手とはどんな風にコミュニケーションをとってるんですか?

大前 他の人よりは人に興味があるとは思いますけど、特に意識していることはないですよ。もしかしたら、良い意味で取材っぽくしないのがいいのかもしれません。普通なら背景を気にして事前に「ここでインタビュー撮ります」と伝えますが、僕は最初に取材交渉したらずっとカメラを止めないので。
あとは、一緒にいる時間が長いから心を開いてくれるのかもしれません。普通の撮影は二時間くらい撮ったら一旦帰りますけど、僕はどの現場も「いつまで撮影するの?」と言われるくらいずっといますから(笑)。

特番の見所は?

大前 取材相手の方が「日本人だろうとインドネシア人だろうと同じ人間だから人間っていいよな」と言っていました。そのお言葉を借りて、人間っていいなと改めて感じられるのが見どころの一つだと思います。

大前プジョルジョ健太

今後はバラエティに限らずドラマや報道、事業にも意欲

そもそも大前さんは何をやりたくてTBSを志望したんですか?

大前 学生時代、ドラマを作る学科にいたので、最初はドラマ制作を希望していました。でも、面接で「ドラマ志望」と言ったら自分を出すのが難しいと思ったので、バラエティ志望と言っていました。

就職活動の時は何業界を受けていましたか?

大前 出版社とテレビ局を中心に受けました。「なぜTBSを選んだのか?」という質問は難しいですよね。テレビ局志望なら、他局も受けるじゃないですか。でも、TBSとは運命を感じていて一次面接の段階で受かると思いました。不思議ですよね。結果、内定をいただきましたし。TBSだけはインターンやアナウンサー試験、美術試験も受けました。当時、就活用のスーツを持っていなくて、物々交換でゲットしたタイミングだったんですよ。その勢いもあったのかもしれません。

入社後から今に至る過程は?

大前 入社当初は報道局と情報にいて、『ラヴィット!』立ち上げのタイミングでバラエティに配属されました。報道もやりたかったので、いろいろ経験させていただいて感謝してます。

今後の展望は?

大前 不夜城に関しては、レギュラーであれ単発であれチャンスをいただけるのであれば応えられるように努力したいです。ご縁がなかったとしても、不夜城探索はライフワークの一つであるので、引き続き趣味として続けていきたいと思います。もちろん、新しい企画も考えてますし、バラエティに限らず報道やドラマ、事業、営業などいろいろなことに挑戦したいです。

TBSグループをはじめ、テレビ業界を志望する若者に向けて、アドバイスをお願いします。

大前 僕がアドバイスできることはないですが…と前置きしたうえで言うならば、この仕事は人に興味がある人は向いていると思います。人に興味があると、それを突き詰めようと思うじゃないですか。実際に、自分はそれが番組に繋がっているので、人を突き詰めていくマインドはすごく大事だと思います。

大前プジョルジョ健太

大前プジョルジョ健太
2018年TBSテレビ入社。「あさチャン!」など朝の情報番組を担当後、報道局経済部で記者を経験。21年から「ラヴィット!」「サンデー・ジャポン」などの情報バラエティを担当。企画した「不夜城はなぜ回る」は22年3月から3度の特番を経て、22年10月からレギュラー化。3月末でいったんレギュラー放送は終了したが、5月4日、11日、18日に特番放送。

不夜城はなぜ回る

https://www.tbs.co.jp/fuyajo_tbs/

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