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「人の命を守る報道を」報道局・赤川史帆が語る、”国内最速の防災情報”NEWS DIGアプリへの思い

TBS NEWS DIG Powered by JNNはTBS系JNN28局のニュースをまとめて扱うニュースメディア。ブラウザ版に加えてアプリもリリースしていて、幅広い世代にニュースを届けています。

NEWS DIGアプリは2022年10月に大幅アップデートを行い、テレビよりも詳細な地震情報を素早く発信できるようになりました。その背景にはどんな思いがあったのでしょうか。アプリの企画を担当している、報道局総合編集センターデジタル編集部・JNNネクストメディア準備室の赤川史帆に話を聞きました。

報道カメラからディレクター、デスク…報道業務を一通り経験しデジタル編集部へ

入社からNEWS DIGに関わるまでの経歴を教えてください。

赤川 僕は報道のディレクターや記者にも興味はありましたが、映像を撮るのが好きだったこともあって、入社当初のメイン業務は報道現場でのカメラ撮影でした。ニュースはもちろん、ドキュメンタリー系の企画撮影などいろいろな映像を撮っていましたね。入社2年目の3月に東日本大震災が起きて、自分の無力さを強く感じたこともあり、災害のニュースや取材への向き合い方が大きく変わったと思います。

その後、「Nスタ」のディレクターや社会部の記者を経験し、2014年からの4年間は報道カメラとしてニューヨーク支局に赴任していました。同じ時期にロンドン支局にいた南部さんとは日常的に連絡を取り合って、厳しい環境での取材ノウハウなどを情報交換していました。とてもお世話になりましたね。

帰国後は報道カメラの映像デスクという立場で、日々のニュースを担当しながら、より良い災害報道が出来るように取り組んでいました。放送とは違う伝え方を勉強してみたいと思っていたところ、ちょうどNEWS DIGの立ち上げ時期で。人手が足りなくて逆におもしろそうだったから自分から手を上げて参加しました。入社以来、ずっと報道局で働いていて、今は災害に関わる情報をデジタルの世界でどう伝えるか、日々取り組んでいます。

豊田くんとは、報道での大きなイベント、例えば平成から令和に変わった「改元」や、天皇陛下の即位パレード、衆議院選挙の特番などで一緒に仕事をしていました。でもまさかデジタルの仕事を一緒にするとは思っていませんでした。

NEWS DIG運営チームの一部 左から 豊田和真、南部諒生、赤川史帆
NEWS DIG運営チームの一部 左から 豊田和真、南部諒生、赤川史帆

同じ報道局でも、業務の内容は幅広いですね。

赤川 そうですね。報道でカメラをやっている頃は、何かあれば外にすぐに飛び出して、映像を素早く撮って、急いで放送用に送って…という流れをずっと繰り返していました。報道の取材は1日3~4本。基本的には関東エリアがメインですが、どこかで大きな事故が起きたり、大雨が降ったり、雪が沢山積もったりしたら全国どこへでも行くし、例えば米朝首脳会談など世界で大きなニュースがあれば海外にも飛んでいきました。

今はほとんどデスクワークなので、びっくりするくらい肩がこります。異動して2週間ぐらいで首が動かなくなり、異動早々、出社前にリハビリ通いをしていました。(笑)。まさに転職したような気分です。違うことをしたかったのでちょうど良かったんですけどね。

NEWS DIGアプリの地震速報は国内最速レベル

NEWS DIGの地震速報について詳しく教えてください。

赤川 NEWS DIGでは、防災アプリ「特務機関NERV防災」を運営しているゲヒルン株式会社をパートナーに迎えています。ゲヒルン社の強力な防災情報配信基盤を通じて「国内最速レベル」の地震速報がユーザーに届いています。

例えばテレビで緊急地震速報が出ても、怖い音は流れますけど、実際にいつ揺れるのかわからないですよね。でもNEWS DIGアプリでは、今いる場所があと何秒後にどれぐらい揺れるのかの予報が届くんです。例えば10秒後に大きい揺れが来るという予報がカウントダウン付きで届きます。そうすると「丈夫な机の下に入ろう」とか身の安全を守る行動を具体的に考えられるようになります。

NEWS DIG 地震速報

特務機関NERV防災の地震速報は「テレビの速報よりも早い」と言われていますよね。実際、一緒に取り組んでみてどうですか?

赤川 自分たちだけでは何もできなかったと思います。ゼロから取り組んでいたら、こんな短期間に多くのことはできないです。防災に対する強い思いがあって、特別な能力を持ってるゲヒルン社の協力があったからこそ今があると思います。

仮に、また大きな震災が起きたとしても、テレビでの情報発信に加え、アプリでより詳しい情報を少しでも多くの方に届けることで、津波の被害に遭う人を減らしたり、避難生活の負担を少しでも減らしたりして、人の生活や命を守る一助になれれば良いなと思っています。

赤川史帆

被災地取材で感じた無力さを胸に、今後も防災につながる報道を続けていく

防災情報、特に地震の情報に力を入れているのはなぜですか?

赤川 一番大きい理由は、東日本大震災が起きた当日、日本にいなかったことです。当時海外にいて、同期の記者が瓦礫が落ちるビルの前でレポートしていた様子を国際放送で見ていました。日本が大変なときに、自分はホテルの小さなテレビの前で地震や津波の映像を見ることしかできない。何の役にも立たないなと。日本に戻ってから、南部さんたちと被災した場所を取材しに行きましたが、どうしても頭や心から離れない負い目みたいなものが常にありますね。

被災地では何を感じましたか?

赤川 どうしようもない無力さですかね。一生懸命伝えようと思うけど、これは果たして誰かのためになっているのか?と思ったし、撮りながら涙が止まらなくなったことも少なくありません。ただ、せめて起きたことを記録して、今後生まれてくる震災を知らない子どもたちに伝えるために、被災地に立つものとして、まずはしっかり残しておこうという思いで取材していましたね。伝えるために記録を残すと。ただ災害が起きてしまってからでは取り返しのつかないことが多いんです。

情報だけでは人の命は救えませんが、適切な情報をいち早く伝えて防災につなげたいという思いで、NEWS DIGアプリの開発に取り組んでいきます。やっぱり、もう二度と悲しい現場を見たくないですから。

報道志望の若者には、同じ思いを持つ人も少なくないと思います。TBSの報道局を目指すなら、何をやっておけばいいでしょうか?アドバイスをお願いします。

赤川 自分の好きなものをとことん突き詰めていけばいいんじゃないかなと思います。ちなみに僕は物理の研究に没頭していて「時間はなぜ戻らないのか」を数式を使って調べていました(笑)。結局、自分がやりたいことを突き詰めることが大切だと思います。仕事は大変なこともあるけどすごくやりがいがあるし、やりたいからやっているという感覚があります。

僕は報道局しか経験していませんが、TBSは何かやりたいことがあれば、引き止める人よりも応援してくれる人の方が圧倒的に多いので、主体的に動ける人にとってはすごく良い環境だと思います。「自分が変えてやる」という気持ちで来てくれたら嬉しいですね。

赤川史帆

■TBS NEWS DIG Powered by JNN

https://newsdig.tbs.co.jp/

アプリ(iOS版)(Android版)

赤川史帆
2009年入社、東日本大震災時は報道カメラ。以後、ディレクター・記者として被災地の取材を続ける。2014年からニューヨーク支局へ赴任。2021年12月からNEWS DIG立ち上げに参加し、アプリや防災の企画・開発を担当。ときどきドキュメンタリーの撮影も。

 

 

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