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「アートは背中を押してくれる」TBS横井雄一郎に聞く、アートが番組制作に与える影響

2022年7月、TBSグループは現代アートのスタートアップ「The Chain Museum」への出資と業務提携を締結しました。アートをコンテンツクリエイティブのヒントとして、知育教育・人材開発・まちづくりなどにつなげる狙いがあります。早速、社内で現代アート推進プロジェクトを始動し、今後様々な施策を行う予定です。

「The Chain Museum」とのタッグを記念したインタビューでは、現場で活躍する社員3人が「TBS×ART」をテーマに語っています。「ニュースそこだけファイル」総合演出の横井雄一郎は、番組制作でアートからどんな影響を受けているのでしょうか。
 

アートに関心を持ったきっかけは?
横井 前衛美術家の篠原有司男(しのはら・うしお)さんを取材しにニューヨークへ行ってからアートに興味を持ちました。篠原さんは当時90歳間近で、現在も現役で活動されているのですが、作品からエネルギーが溢れていて、すごく好きになりました。ニューヨークではギャラリーへ行ったり、街中に普通にアートがあったりして、とても感銘を受けましたね。

アーティストのface氏に依頼した「ニュースそこだけファイル」の番組ロゴについて。
横井 番組を始める段階で「こういう世界観のものを作りたい」と思って臨むのですが、自分が想像していたものを良い意味で超えて、新しい解釈と新しい世界観で出来上がりました。キャラクターの肌の色にこだわりがあったようで、「そこに強いこだわりがあるんだな」と知るのも楽しかったです。アーティストさんにロゴを依頼するのは初めてだったので探り探りでしたが、ちょっと病みつきになりそうです。
 

face氏に依頼した「ニュースそこだけファイル」番組ロゴ
face氏に依頼した「ニュースそこだけファイル」番組ロゴ

face氏との出会いは?
横井 僕はギャラリーに行ったらInstagramにその様子を投稿するようにしているのですが、faceさんの六本木ヒルズでやっていた個展の写真を投稿したことがきっかけで、やり取りをするようになりました。後日、別の展示会へ行ったときに初めて挨拶したのですが、そのときに「いつか一緒に仕事できたらいいですね」と話しました。その後、「ニュースそこだけファイル」がゴールデンで放送されることになり、ロゴを依頼したという流れです。

現代アートから受ける影響は?
横井 アーティストの皆さんは、誰かに寄せたり何かに似せたりせず、自分の信念を持って作っているので、改めてその気持ちを見習わなきゃなと思うようになりました。「これが評判良さそうだから、こういう風にしよう」という考え方もありますが、それで既存の何かと似たものになって、結果としてダメなものになってしまうより、自分がおもしろいと思うものを突き詰めて、それでダメだった方が納得がいくし、結果が出たときも嬉しさが倍増するんじゃないかな。

自分も制作過程で迷いや不安がありますが、最後の最後に「やっぱり自分はこれがおもしろいと思ったんだよな」と自信を持つきっかけをくれるのは、アートを見たときに感じる気持ちに近いんじゃないかと思います。

The Chain Museumとの取り組みについてどう思う?
横井 日本にはアートに触れる場が少ないと思うので、そういう場が増えるのはいいことだと思います。自分のアンテナ外のものに触れたり、創作を見たりするのは、絶対にプラスになるはずです。理解の範疇から出ているものも、それはそれで個性や美しさを放っていて、いろいろな表現や形があっていいですし、どう感じるのかも自由です。自分がおもしろいと感じるものを信じていいと思えるんじゃないかな。自由な表現を力強くやっているアートを見ると、背中を押してもらえると思います。

 

横井雄一郎
2004年入社。「学校へ行こう!MAX」「リンカーン」「水曜日のダウンタウン」などを経て、「クレイジージャーニー」「有吉ワールドリポート」「ニュースそこだけファイル」などを企画・演出。

■「ニュースそこだけファイル」
https://www.tbs.co.jp/program/news_sokodakefile_20220921/

■The Chain Museum
https://t-c-m.art/

 

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