• AKASAKA REPORT

昼は名物かき揚げ丼、夜は江戸前天ぷらコース。創業60年超の味を受け継ぐ「天茂」

つゆの味まで楽しめる天丼を食べたいときは、天ぷら店「天茂」へ。

1964(昭和39)年にオープンした同店。昼は天丼を気軽に味わえる店として、夜は江戸前天ぷらのコースを楽しめる店として、長年にわたり赤坂で働く人や地域の人に親しまれています。

2025(令和7)年春、旧店舗が入っていたビルの解体に伴い、約200メートル東の「赤坂サンビル」へ移転。以前の店で使っていた看板なども新しい店舗へ運び、営業を続けています。

若い人にも天ぷらを食べてほしい

同店を開いたのは、新潟県生まれの倉重富男さん。銀座の天ぷら店「天一」で技術を学んだ後、28、29歳のころに独立しました。

創業当時の赤坂は、店を営む人がその建物で暮らす、生活と商いが隣り合う街でした。同店も一軒家の1階に店を構え、2階を住まいとし、隣には靴店があったそうです。現店主・高畠粧由里さんが幼いころには料亭も多く、着物姿の芸者衆を日常的に見かけ、路地からは三味線の音が聞こえてきたそうです。その後、2階建ての商店は次第にビルへと建て替わり、住民が減る一方で会社が増え、街はオフィス街へと姿を変えていきました。

父・富男さんが店を開いた当時は、「天ぷらは夜にコースで味わう料理」という印象が強く、若い人には手が届きにくいものでした。そこで、「若い人にも天ぷらを食べてほしい」と、昼にかき揚げ丼をはじめとする天丼や天ぷら定食を提供。「若いころにランチで店を知った人が、年齢を重ねた後に夜のコースを食べに来てくれれば」という思いを込めていました。

粧由里さんが店を継承したのは約30年前。もともとは教員として働いていましたが、富男さんが病気になったことをきっかけに店を手伝い始めました。その約10年後には、会社員だった夫・久雄さんも店に入り、現在は夫妻で店を切り盛りしています。

店内の様子
店内の様子

父が築いた味と、目の前で揚げる臨場感

同店は、創業以来、油や食材の仕入れ先など、料理の基本をできる限り変えずに受け継いできました。長い年月の中で取引先が廃業することもありましたが、新たな仕入れ先を紹介してもらいながら、富男さんが築いた味を守っています。

ランチの大きな特徴は、創業以来受け継いできた丼つゆです。この味を気に入り、足を運ぶ客もいるそうです。

カウンター席から、目の前で天ぷらを揚げる様子を見られるのも魅力の一つ。揚げたての天ぷらが丼つゆをまとい、ご飯にのせられるまでを、音や香りとともに楽しめます。

昼は二つの丼、夜は一つのコース

ランチメニューは、「天丼」と「かき揚げ丼」の2種類(各1,600円)。「天丼」には穴子とキスを使い、名物の「かき揚げ丼」には小海老と小柱を使った大ぶりのかき揚げをのせます。いずれも赤だしとお新香付きです。

小海老と小柱を使った名物の「かき揚げ丼」
小海老と小柱を使った名物の「かき揚げ丼」

ランチには近隣で働くビジネスパーソンが多く訪れるほか、かつて赤坂で働いていた人が、懐かしい味を求めて足を運ぶこともあるそうです。

夜は予約制で、天ぷらコース1種類を9,900円で提供。天ぷらは8品ほどで、海老や穴子といった江戸前天ぷらに欠かせない食材に、季節の食材を組み合わせます。最後は、かき揚げとご飯で締めくくります。

父が決めた基本を大切に、味を守っていきたい

粧由里さんは「父が店を始めたころから、昼は気軽に食べられる天丼・かき揚げ丼、夜は天ぷらのコースという形を続けています。若いころに昼に来てくださった人が、年齢を重ねて夜にも来てくれたら、というのが父の思いでした。父が決めた基本を大切にしながら、これからもこの味を守っていきたいです。

赤坂は、私が子どものころとは大きく変わりました。新しくなることへの期待がある一方、昔の面影が少なくなる寂しさもあります。この街で、昔からのお客さまにも、今赤坂で働いている人にも来ていただけたらうれしいです」

と話してくれました。

店主の高畠粧由里さん
店主の高畠粧由里さん

東京オリンピックの年に生まれ、赤坂の街とともに歩んできた「天茂」。昼の丼と夜のコース、それぞれに創業者から受け継がれてきた江戸前天ぷらの味があります。仕事の合間には名物のかき揚げ丼を、ゆっくりと食事を楽しみたい夜には季節の天ぷらを味わってみてください!

<店舗情報>

「天茂」
住所:港区赤坂3-12-10 赤坂サンビル6階
営業時間:11:30~14:00、18:00~21:00
※夜は予約制。19:30ごろまでの入店を推奨
定休日:土曜・日曜・祝日
公式Instagramページ:https://www.instagram.com/akasaka_tenshige/

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